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港北百話 古老の話から

書名:港北百話 古老の話から
著者:「古老を囲んで港北を語る」編集委員会
発行所:港北区役所
発行年月日:1976/3/25
ページ:319頁
定価:非売品

本書は横浜市が昭和48年より3年間にわたって老人福祉(老人の生きがい増進)のために行った「古老を囲んで港北を語る」の事業をまとめたものである。区内の8地区で、区長・社会福祉協議会長・地区連合町内会長・民生総務などとともに古老が昔話を語り合った。期日と場所は以下の通りである。

新田地区~S48.11.29 新羽西方寺本堂 (参加者20名)
中川地区~S48.12.04 横浜北農協中川支所研修所 (参加者21名)
日吉地区~S49.11.20 横浜銀行日吉支店会議室 (参加者16名)
綱島地区~S49.11.26 綱島諏訪神社社務所 (参加者19名)
大樽地区~S49.12.04 師岡熊野神社社務所 (参加者23名)
城郷地区~S49.12.11 小机青少年の家 (参加者14名)
篠原地区~S50.01.30 富士塚会館 (参加者18名)
菊名地区~S50.03.03 師岡熊野神社社務所 (参加者23名)

昭和48年当時の港北区は上記8地域他に渡っていた。現在は都筑区に編入された地域は中川地区です。古老たちが語った話を寺社にまつわる話、生活のいとなみ、地域の言い伝え、鶴見川にまつわる話、港北を知るためにの5分野に分類して紹介している。都筑区関連で茅ヶ崎八景、中川町名決定の間違い、暴れ川「鶴見川、早渕川」にまつわる話など興味を持って読んだ。役所が主導して編集したということで盛んに、はじめ、おわりでも老人福祉が声高に謳ってある。これも高度成長時代の終焉の時期(石油ショックなど)を経て福祉がキーワードの時代になった象徴かもしれない。役所老人の生き甲斐、役割を模索して時代を色濃く反映しているように思う。後世に残し、伝えていきたい内容が一杯の本です。

茅ヶ崎八景(元治、慶応年間1864~1868年幕末)茅ヶ崎村の金子家から養子に入った岸宇作という人が名付け親となり、近江八景になぞらえて茅ヶ崎村の景色のすぐれた風物、地点を八ヵ所決め、語り継がれたもので、大正年間までは実際に風景を楽しむことが出来たとのこと。

茅ヶ崎八景(谷の中の蛍と堅田の落雁、清水の夕照、境田の暮雪、四五六峠の夜の雨、正庵の一本松、大塚の青嵐、観音の晩鐘、城山の秋の月の八ヵ所)地図と共に紹介してあるが、いま探すとなると難しい。城山とは茅ヶ崎城址のこと。四五六峠は自性院(センター南のスキップ広場辺りにあった)そこから茅ヶ崎富士に至る道のこと。場所の特定は古地図を紐解けば判りそうですが、その場所を探ることは難しそうです。まして風景はどうしょうもないようです。

昭和48年当時中川町は昔大棚町の一部で上大棚と呼ばれていた。中川村の中心が現大棚町の地域である下大棚にあったため、ここを中川町と命名するため、役所に届けた時、上大棚と間違えて受け取られた。ある説には届けた人が間違えたという。結果的に下大棚は大棚町、上大棚が中川町となってしまった。今でも茅ヶ崎地区では有名な話とのこと。