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コズミック・マインド

書名:コズミック・マインド
著者:西垣 通
発行所:岩波書店
発行年月日:2009/2/10
ページ:222頁
定価:2200円+税

西垣通といえばIT社会論、ネットワーク関連する著作などで知られる学者。その著者の小説それも岩波書店からの発行。

団塊世代のSE朽木庸三はシステム会社から銀行に派遣されているSE。若い頃から銀行のオンラインシステムに携わり、数々のこんなシステムの構築に手腕を発揮していた。晩年銀行が合併するということになり両行のシステムを統合という巨大なプロジェクトとのリーダーとして期待されていた。ところが何故かリストラに遭ってしまう。何故?と考えながら新しい職場で過ごす。

そんなとき、設計仕様書にも残っていないプログラムがあって、その解読は後任者達では手に負えないソースコードが出てきた。これは隠し口座の処理プログラム。銀行内部でも殆ど知られていない隠し口座からランダムに手数料を徴集する処理(勿論法的にも問題がある)。この処理を考えたときに朽木庸三は設計仕様書を作成して提出したが、結果的には採用されず、ボツになったことがあった。

ソースコード入手して苦戦しながら解読した朽木は誰がこのプログラムを書いたか?その謎解きに挑む。小説としてはあまり良い出来ではないが、楽しめる作品だ。2007年問題(その頃団塊世代が定年になって過去の巨大システムに精通した人たちが退職する)を扱った作品です。