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希望は絶望のど真ん中に

書名:希望は絶望のど真ん中に
著者:むのたけじ
発行所:岩波書店
発行年月日:2011/8/19
ページ:190頁
定価:700円+税

この本は講演集ではなく、書き下ろしです。ちょっと難しい。いのち、若者、人類へのラブレーターと銘打っている。テーマは戦争。人類史700万年を振り返って、この悲惨で愚かな行為が、いつ、なぜ始まり、人間に何をもたらしてきたか。戦争がはじめたのは5000年前からと、したがって昔から人間は争って戦争することが得意ではなかった。人間が人間を支配すること。支配されることは得意ではなかった。これは歴史が証明している。戦争を地球上からなくしていくためにはどうすれば良いか?96歳の時の本です。2011年3月11日以降の日本と世界の状況も見据えながら、絶望のただ中にこそ希望が見出されうるのだ、と熱っぽく論じています。「微笑しながらの死」を願うむのさんがたどり着いた、そのための道とは?
 
むのたけじ「希望は絶望のど真ん中に」刊行記念講演会, Recorded on 11/09/16
http://qrl.jp/?359328

本書より
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目次
序 章
歴史の歩みは省略を許さない
ジャーナリズムの本来の任務/日本の現状はすでに過去に幾度も/憲法第九条に遅すぎた目覚め

第一章
現在を刺す700万年の歩み
人間性の本質には四つの側面/ホモ・サピエンスに至るまで/女性主導の世へ、若者中心の世へ/「国際」なんてトンテリーア(愚かなこと)/吉野ヶ里と三内丸山は語る
第二章
農耕の中から何ゆえに戦争が?
戦争は23時58分58秒から/民衆は戦争にどう対応したか/戦争が公認された根拠は皆無/日本は中国に決して勝てなかった/新聞社の内部にすら、真の会話が欠落/「沖縄戦新聞」の衝撃
第三章
人類の余命は40億年か40年か
ユートピアの夢から四本の道標へ/「自由・平等・友愛」はどこにも成立していない/間接デモクラシーは民意に背く/社会主義の失敗が残した教訓/資本主義の四本柱が崩壊した/労働者の首切りという資本主義の罪悪
第四章
みんなの課題にみんなで取り組む
私を救えるのは私だけだ/国際主義の正体は国家エゴイズム/絶望すべきことにしっかと絶望する/「いのちがけで」「死にもの狂いで」「いばるな」/血縁や地縁を超えた人間関係へ/80の年齢差で同じまなざしの輝き
結 章
足元から世界を耕す
アメリカ市民よ、戦争否定の側に立って!/「世界連合」を中国に設けてはどうか/幼な子たちと一対一の付き合いを/「開拓だましい」を開拓しよう/微笑しながら死にます