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プロメテウスの罠6 ふるさとを追われた人々の、魂の叫び!

書名:プロメテウスの罠6 ふるさとを追われた人々の、魂の叫び!
著者:朝日新聞報道部
発行所:学研パブリッシング
発行年月日:2014/3/11
ページ:261頁
定価:1238円+税

「釣ったら放せ!」「踊りを残そう」「原発城下町」「イノシシ膨張」「ローンを減らせ」「追いかける男」事故からまる3年が経過したが、被災地の復興はほど遠い。政府、マスコミ、世間の感心もすっかり福島を離れてしまった。でもこれは長い長い戦い、継続して追いかける必要がある。故郷を追われた人々をレポートです。

日光中禅寺湖の「ニジマス」赤城大沼「ワカサギ」は釣りメッカ、でもここでも放射能汚染で基準値以上のニジマス、ワカサギが釣れる。勿論出荷は出来ない。でも釣り客に釣りを楽しんで貰おうと、釣り禁止をしないで釣った魚は放す、焼却することで乗り切ろうとしている人達を取り上げてる。

郷土の伝統芸能を残そうとして、避難先から通って太鼓、踊りの練習する人々、結局町は東電の下請けのようなものだった。除染をしても効果が少ない。戻れない場所にこだわって時間を無駄にすべきではない。東電や国への怒りはあるが、一番汚れている場所からゴミを持ち出すよりも、汚れた場所に持ち込んだほうが放射能の拡散は少なくなる。「大熊町の明日を考える女性の会」の苦渋の決断。

被災後豚を野に放った。イノシシと交配してイノブタがどんどん増えている。住民が戻ってくる場所にイノシシが。元福島第一原子力発電所で炉心の運転をしていた木村俊雄が地震直後、2分足らずで安全機能である炉心の冷却は停止していたというデータを東京電力に出させた。いままで過渡現象記録装置のデータは一切東京電力からは出されていなかった。

地震で壊れたか、津波で壊れたかを知る手段として過渡現象記録装置のデータが適切。しかし殆どの人は知らなかった。巨大なシステムに精通している人は少ない。適切な技術者、科学者による徹底した事故原因の追及が必要、でもその適任者は東京電力が殆ど、自分のおこした犯人が調査の人員に加わるとそれだけで信用されない。これは巨大科学の重要な問題点。これを動かす人達の良心に任せて本当に大丈夫、純技術も大切だが、それを動かす人、作る人、調査する人これらを全て制御できない。巨大システムは動かすべきではない。これが普通の感覚ではないか?

本書より
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除染作業で出た汚染物質を、大熊町に置いてもいいかどうか。「大熊町の明日を考える女性の会」では、木幡ますみのほかにも中間貯蔵施設を受け入れたほうがいいと考えるメンバーがいた。〔…〕
 東電や国への怒りはあるが、一番汚れている場所からゴミを持ち出すよりも、汚れた場所に持ち込んだほうが放射能の拡散は少なくなる。
戻れない場所にこだわって時間をむだにするべきでない。
 そう合理的に考えただけだ。福島に帰る高速バスの中で、メンバーの携帯が次々と鳴った。大熊の人たちからだった。
 テレビで女性の会が中間貯蔵施設の受け入れに賛成したことを知ったようだ。ますみは「みんな怒ってるよ。覚悟しょうね」とメンバーにいった。