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日本国王抹殺

書名:日本国王抹殺
著者:黒須 紀一郎
発行所:実業之日本社
発行年月日:2006/2/10
ページ:302頁
定価:1800円+税

室町幕府三代将軍、足利義満の生涯を綴った時代歴史小説。11歳で将軍となり、公家社会にも顔を出して、有識故実、和歌、蹴鞠など公家文化を吸収しつつ、公家には染まらず、自ら将軍としての地位を築いていく、そして華麗な室町文化の推進、後醍醐天皇によって一天二帝となってしまった天皇家。それを初代尊氏以降の悲願、一天一帝に。南北朝の合一、そして明国との朝貢貿易、日本国王として明に認めて貰う。天皇をも越えた実力をもった義満は天皇を越えた存在「日本国王」を意識する。
このあたりは諸説入り乱れているところ。継体天皇は5代前が天皇だということで天皇になった経緯がある。其の例で言えば義満は後円融天皇と従兄弟、義満にも王位継承権があるのでは?と意識したかしなかったか?そこでこの物語では卑賤な能楽師、占い師、行者、修験者達の水銀によって殺されてしまう。

この人達の論理は天皇は血統ではなく、霊統だと。天から降りてくる天皇の霊を受け止めることが出来るか、出来ないかで天皇は決まる。したがって南朝は其の資格がなくなったので、北朝に返すべき。そこまでは義満の味方をしていた。南北朝の合一がなった時点で義満が変わってきた。これを止めなければと蠢く、影の人々を描いている。天照大神の成立時期を持統天皇の頃、影の仕掛け人は藤原不比等、持統天皇は31回も吉野へ御幸している。また何度も宮を変えながら伊勢神宮を伊勢の地に置いた。日本書紀の謎解きもあっておもしろい。