萬スタジオ 7/25〜7/27
「SUPER SONIC GiRL」
7/26(土)観劇。座席 F-5(招待)
作・演出 モリタユウイチひきこもりの過去を持つダーリン(仲田真一郎)は、精神の安定を「ウルトラセブン12話」を観る事で保っていた。しかし、そのビデオが何者かに盗まれてしまう。精神崩壊を防ぐ為には「ウルトラセブン12話」を再び手に入れるしかない。体の震えが止まらないダーリンは、恋人のサカナリカ(芳賀淳子)に助けを求めた。一目散にビデオ屋に向かうリカ。しかし、リカは、その作品が、ビデオ化も再放送もされていない幻の作品だとは知らなかった・・・。リカが向かった先は“アミューズランドちゅたや”と呼ばれる新型レンタルビデオショップ。そこは、ビデオショップとアミューズメントパークを一緒にし、ビデオ探しすら楽しんでしまおうという近未来型店舗らしい・・・。ちゅたや店員(芦澤セリコ)に新規会員の手続きをしてもらい、いざ店内へ向かうも、右も左も操作もわからず。そこで、AVオタクのサルキチ(森田祐一)にAV女優に間違われた事をいいことに、ビデオ探しを手伝ってもらう。特撮コーナーでビデオを見つけるも、探している12話が入っているだろう(本当はないんだけど)3巻は、レンタル中になっていた。そこで出逢った、ひきこもり少年の山田君(園田裕樹)と彼に取り憑いている妖怪りつこもり(森律子)。彼は、借りようとリストアップしたビデオを借りて、自宅まで帰れれば、ひきこもりが治ると考えていた。そんな彼のリストに入っていたのが「ウルトラセブン第3巻」。山田君の手元にビデオがまだあると知ったリカは、そのビデオを貸して欲しいと頼む。しかし、山田君は、ひきこもり治療の為に、そのビデオを手放す事はできなかった・・・。かくして、ビデオを巡っての争奪戦が展開される・・・。その追跡の過程で出逢う様々な人々との関わり合いを描いて行くのが前半。
後半――第3巻に12話が入っていない事を知ったリカは、レンタル王(井俣太良)の催すプレミアビデオ争奪戦に参加する。勝てば「ウルトラセブン12話」のビデオが手に入るってのは容易な展開だが、まぁ、気にしない・・・4人でパーティを組み、時間内に30階にあるレンタル王の所まで辿り着き、王の冠を取れれば、欲しいプレミアビデオが手に入るというルールであった。サルキチ、山田君、クドカン似の男(吉川マサカズ)とパーティを組み、レンタル王に挑戦するリカであった・・・。リカは「ウルトラセブン12話」を手に入れる事ができるのか?
そして、その先には、思わぬ結末が待っていたのであった・・・。ストーリーはごくシンプルで、おバカなノリを気軽に楽しむのが、今回の『gagエレカ』らしい。でも、そんなおバカなノリもなかったし、笑えないし・・・。ストーリーのコンセプトはいいと思う。ただし、ラストの気持ち悪いハッピーエンドが大いにマイナス。思い返すだけでもヘドが出る。人の心を試す為に騙すって何の意味があるのだろうか・・・。自分だったら、時間に間に合わずダーリンは自殺してしまうという展開の方が、興味がそそられる。愚者一得となるかわからないが、自分だったら、こんなストーリーを考える。スクリーンに流れる「ウルトラセブン12話」(実際に手に入れて流したら演出効果バツグンだと思う・・・)泣き崩れ、自分を攻め、殻に籠りそうなリカ。そこに登場する山田君を更正させた妖怪りつこもり。「あんたが悪いんじゃないよ。彼が弱かっただけ」と寄り添い、エンディング。そのくらい突き放して欲しかった。それが現実であり、その現実を踏み越えてこそ未来が開けるっちゅーもんです。
そうそう、観ている最中も感じたのだが、ビデオ探しに翻弄するリカより、ひきこもり少年の山田君を主人公で観てみたいと思ってしまった。山田君とりつこもりの関係も面白かったし。まぁ、それじゃ全然『SUPER SONIC GiRL』じゃないけど。エレクトロ・カーディオグラムを観るのは今回で2度目だが、自分的にはもう少し、ストーリーで魅了して欲しかったと思う。まぁ、ストーリーで勝負するのは次回公演らしいので、次回を期待したい。それと、役者が相当変わってしまっていたのは、非常に残念であった。以前観た時、役者に魅力を感じたもんだから余計にそう感じてしまった。今回、正規の劇団員が少ないのもあるが、ゲスト出演の芦澤セリコ【動物電気】がとてもいい味出していたと思う。あと余計な事かもしれないが、主宰がでしゃばり過ぎなのが気になる。
余談だが、劇団名の意味は、「人の「心音」を表現する奴等」みたいな意味らしい。なら、もっと心に届くものを作ってくれよー。
“エレクトロ・カーディオグラム”自分が観た公演ベスト
1.Q.E.D 2.SUPER SONIC GiRL