@ 〜ブラジルの宗教事情〜 |
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第1回目はブラジルの宗教事情と題して、この国をみることにする。まず少しブラジルの歴史を繙かなければならないであろう。ブラジルの歴史は、バスコダガマがインドを発見し、その富を求め1500年に再び大船団を派遣したが、航海中強風に流されてしまい、予期せぬ陸地に漂着してしまうのである。その時の大船団長官ペードロ・アルバレス・カブラールは陸地を島と間違え、ベラクルス島と間違え、ベラクルス島を名付けた。これが現在のブラジルである。その後、独立するまで322年間が経過するが、そん間スペイン統治時代を含め第一期植民地時代、第二期帝政時代、第三期共和国時代と移り変わる。現在の正式な国名は、ブラジル連邦共和国であり、日本では「伯剌西爾」と書き、略して「伯国」と表記するが、由来は発見された当初より染色用の木材「パオ・ブラジル」からだと言われている。 さて、以上のようにポルトガル人によって発見されたブラジルは、ベラクルス島(真の十字の島)の名が示すとおりの島として植民地化され、南方はポルトガル人、北方はスペイン人によって開拓された。後にポルトガル国王ドン・マヌエール1世がサンタクルスの地(聖十字の地)と改め、文字通りキリスト教国になるのである。従って多くの宣教師派遣も当然頻繁に行われ、必ず教会が中心となるよう都市計画が図られてきた。よって、どのような小さな町でもその計画によってつくられたので、ブラジルはカソリックを国教と定めている所以である。現在は、信教の自由が憲法によって保障されているので、他の宗教活動も自由である。主に白人たちによりもたらされたカソリックの生活習慣が踏襲されているとは言え、それでも黒人系移民の宗教やラテン系移民の宗教が混在し、現在のブラジルの宗教事情となっている。つまり、この国は多くの民族の移民で構成された社会であるので、多民族の文化が重なり、さらに先住民のインディオ文化も引き継いできている。そういう背景のなか宗教に対する基本的な考え方は、とても大切に考えていて、それぞれの宗教を尊重していると考えられる。またそれぞれの宗教の教導者は特別な存在として認知されている。仏教も日本人の移民と共に、次第に日系社会はもとよりブラジル国内でも一宗教として受け入れられてきている。 次回はブラジルの仏教事情について紹介してみる。 |
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本持 信慈 |
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