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〜ブラジルの宗教事情〜
浄土真宗事情について

  前回はブラジルの宗教・仏教事情を少しご紹介いたしましたが、今回は、ブラジルの浄土真宗事情を紹介いたします。本願寺派が掲げるスローガン「お念仏の声を子や孫に」そのものが、生き続けている実情をお伝えいたします。

  1908年、ブラジルへの日本人移民781名を乗せた笠戸丸はサントス港に着きました。本願寺派の南米開教区として正式な開教が始まるのは、第二次世界大戦後のことですが、それまでの間、移民のなかの門信徒の方々は、国教がカソリックという事情のなか、信仰を表に出すことなく、心のなかでお念仏を拠り処としてきたそうです。その後、1950年に四邨覚勝氏が初めてサンパウロに開教所を設け、53年には初代開教総長として渡辺静波氏が日本より着任し、本格的な開教が始まりました。伯国別院の建設も始まっていた54年4月に、勝如門主の初めてのご巡教がありました。このご巡教は歴史的出来事と言っても過言ではありません。このことが、門信徒の大きなよろこびでもあり、念仏の輪が広まる弾みにもなりました。

  56年には2年間の工事が終え、伯国別院落成慶讃法要が営まれ、境内地に「響流十方」の記念碑が建てられました。伝道の場がサンパウロにできたことをきっかけに、お念仏は都心部から地方各地に広がり、瞬く間に教線ごとに寺院が建立され、開教使が足りないほどでした。

  73年ブラジルの首都ブラジリアに、ブラジル政府より土地が寄贈され、ブラジリア本願寺が建立されました。

  また、この年、京都の本山で営まれた親鸞聖人生誕800年法要に、400名の南米教団参拝団が参拝いたしました。その時の参拝者たちは、この法縁の機に30年ぶり、40年ぶりに母国へ帰ったという人がほとんどでした。

  現在34ヶ寺、仏教会22ヶ所を拠点として布教伝道活動がおこなわれています。仏教婦人会、壮年会、青年会、ボーイスカウト活動などは活発に活動がおこなわれていて、大会を開催するなど新しい輪を広げています。

  戦後開教がはじまってから時は流れ、50数年を経て、ブラジルの日本人移民たちは、3世、4世の時代となっていますが、本山から遠く離れた地にあってもお念仏を伝える活動の日々がいまも継続して展開されています。

                                              本持 信慈



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