ブラジルを知るページ


  

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番外編
〜ブラジルの習慣〜


   今回はブラジルの習慣に付いて少し触れてみましょう。
 
 ブラジルの道徳は多分にカトリックの考えに基づいているものが多いようです。
 電車は65歳以上は無料で、たとえ長距離でもそれは変わりませんでした。更に年老いた人が電車に乗ってくると、私が見た限り殆どの人が席を譲りました。
 ただし、電車に乗るときに日本のように並ぶ事はありませんでしたので、降りる人と乗る人が何時もぶつかりあって混乱していました。
 若い人の方が早く乗るので先に席に座りますが、年老いた人が前に来ると直ぐ席を譲るのです。私のような日本人には半ば滑稽にも見えましたが、それも一つの習慣のようになっていたのでしょうか?
 ただし、総じて日系人の若い人は譲らないと言われていました。

 また、年老いた親の面倒は、兄弟のうちでも一番年下、更に女の子が見るということになっていたようです。
 これは日系人の社会では割と少数派だったように思いますが、ブラジル社会全体では割と多数派だったようです。
 理由としては、一番年下が親と暮らす時間が一番少ないので、最後は親と過ごすべきと言う考えがあった様です。

 道を聞くと大体の人が自分も良く分からないのに、懇切丁寧に教えてくれるというのも道徳のうちに入るでしょうか?
 初めての所や、分かり難い場所に行く時、向こうの人は殆ど地図を持たないので、良く人に聞くことが多かったように思います。聞いたり聞かれたりすることが割と多かったのですが、「私は良くわかりません」と答える人は非常に少なかったように思います。
 ただ、良く知らなくても答えることがあったようで、ある時、道を聞くと懇切丁寧に教えてくれたので、言われた通りに行くと全く違う場所に行ってしまい、また聞きなおして、やっとたどりついたことがありました。
 後から分かったのですが、距離によって聞き方を変えるのが良いということを思い出します。
 遠い距離だと大体の場所を聞き、段々近くになるにつれて詳しく聞く方が良いということが分かってきたのですが、何回も聞くことになるので、煩わしかったのは覚えています。

 総じて、困っている人には最大限努力するという観念があったように思いますが、残念ながらそれを逆手に取る人も居たようで、段々世知辛い世の中になってきたと、ブラジルの人もよく言ってた事を思い出しました。


                                              寺田 崇裕



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