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ブラジルを知るH
〜 日本仏教の役割 〜


   ブラジル社会は基本的にはキリスト教、しかもカトリックを主な宗教と置いているのですが、移民で成り立つ事情もあって、戦後他の宗教にも寛容になりました。

 その一例として、公立学校に異なる文化を教えるプログラムがあり、その中に仏教が入っている事からも伺えます。

 日本の公立学校で、宗教の話をなかなか出来ない現状から考えますと、かなり寛容とも言えますが、移民で成り立つ国の事情もかなり影響しているとも言えます。
 移民で成り立つと言う言うことは、それぞれの出身の国の文化や宗教があると言うことであり、その事が現地での移民の生活に大きく影響している事をあらわしています。

 国を形成する人たちはみな移民であり、現地固有の人種や文化が移民当初無視されていたことから、それが益々出身の国の文化や宗教を取り入れざるをえない状況を生み出したのでしょう。
 その中で日系移民は、数々の文化をブラジル社会にもたらした様です。それがいわゆるコーヒーを入れる麻袋に始まり、緑色野菜、頼母子講など多岐に渡っていますが、寺院もその一つだったと言えます。

 いまだ南米奥地では新部族が見つかる土地柄ですから、人種間の違いは日本から見ますと比べようもないぐらいあると言えます。
 その中で、それをただ単に違うと言うことに留まらず、活かす方向に働いるのも数々の移民で成り立つお国柄なのかもしれません。

 日本の仏教の場合、カトリックに対する東洋の宗教という印象を持たれるようで、戒律の厳しいカトリックに比べ、例えば離婚、中絶などを受け入れているという点で評価しているようです。
 ブラジルに限らず海外寺院では仏前結婚式を執り行うことが多いのですが、ブラジルにおいて日系人以外での結婚式で仏式を選択する理由で一番多いのが、カトリックでは絶対に許されない離婚を認めてくれることに安堵を感じる点と、中絶せざるを得ない状況であることに対して寛容を示す点です。
 カトリックに少なからず疑問を持つ人々の一つの受け皿になっていたのかも知れません。

 様々な考え方を知る。その事が人生の選択肢を増やし、より良い生活を送ることが出来る。その考えの中で、ブラジルでは小さい頃から色々な考えを聞くべきという考えができ、公立の学校でも遠い国の宗教である日本の仏教にも視点があてられました。
 これも一つの違いを活かす方法としてとらえられているのでしょう。


                                              寺田 崇裕



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