仏教ちょっと教えて 




055 旧盆・新盆


Q:旧盆・新盆なぜ?なに?


A:    「新盆」と漢字で表記して何を示すのかまぎらわしくなってしまったのは、明治6(1873)年に太陽暦(新暦・グレゴリオ暦)が採用されてからです。

 それまで「新盆」は「にいぼん」もしくは「あらぼん」と読んで、前年のお盆以降になくなった方が初めて迎える盂蘭盆、初盆(はつぼん)のことでした。ところが、太陽暦が採用されると状況が変わってきました。本来、盂蘭盆は7月15日を中心とした13日から15日(16日まではいるとする場合もある)までの期間ですが、これを日本全土で新暦に対応させることができませんでした。ですから現在でも「お盆はいつ?」と聞いた場合半数以上の人が「8月」と答えるのではないでしょうか。

 このように明治に新暦が採用された時点で、新暦の7月にお盆を営みはじめたところと、旧来の時期のまま8月に営むところとの二つのお盆がはじまりました。そこで7月に「新暦」で営まれるお盆を「新盆(しんぼん)」と呼ぶようになったのです。

 ではなぜこのように7月のお盆と8月のお盆との二つになってしまったのでしょうか。
 それは太陽暦での7月中旬はまだ梅雨が明けきらず農村部では農作業の関係でお盆どころではない、ということだったようです。また、旧来の7月は“初秋”ですので、暦上、秋の行事ということもあったでしょう。

 さて、ではもう一方の8月のお盆は果たして「旧盆」なのでしょうか。一般にはそう思われる方が多いと思います。
 しかし厳密にいいますと、8月のお盆には2種類あります。多くの方が「旧盆」だと思っている8月15日を中心としたお盆は「月遅れ」と呼ばれるものでお盆の日付を生かしてひと月遅らせたものです。
 一方、「旧盆」とは旧暦である太陽太陰暦で7月15日を中心に営まれるものです。しかしこの「旧盆」は新暦と対応していませんから、新暦の8月上旬から9月上旬までの間を毎年移動していますので、暦で確認しなければなりません。

 7月8月いずれにしても盂蘭盆を営むうえで肝心なのは、亡き人の縁によって今私が念仏に遇うことができ、仏のみ教えにめざめさせていただくことによって、生かされていることを知った喜びをあじわうことです。
 ですから盂蘭盆会は「歓喜会(かんぎえ)」ともいうのです。
                                                                       北條 祐英



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