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「花まつり」は、お釈迦さまのお誕生をお祝いする仏教行事です。 本来は、灌仏会(かんぶつえ)・仏生会(ぶっしょうえ)などと申します。「花まつり」と呼ぶようになったのは明治以降のことのようです。
花まつりでは、お花で飾られたお堂(花御堂)のなかに甘茶を入れたお盆(浴盆)を置き、そこに、右手で上を、左手で下を指し示したお釈迦さまのお誕生の姿をあらわしたお像(誕生仏)を安置し、柄杓で甘茶を頭上からそそぎます。 子供の頃、甘茶をもらって飲んだ記憶のある方も多いのではないでしょうか。
花御堂は、お釈迦さま誕生の地ルンビニ園を、誕生仏は、お生まれになってすぐ七歩あゆまれて「天上天下唯我独尊」と言われたそのお姿をあらわします。 そして、お釈迦さまの誕生を慶び、天に九匹の龍が現れて、甘露の雨を降り注いだ、という様子を模して甘茶をかけるのです。
ちなみに、経典では「甘露の雨」は香湯あるいは香水となっており、昔は五香水とか五色水という香水を用いていたようです。 今のような甘茶を使うようになったのは江戸時代からと言われますがはっきりしません。
現在使われている甘茶は、アジサイ科のヤマアジサイの変種、「小甘茶(こあまちゃ)」から作ります。年間消費量は約50トン。長野県、富山県、岩手県などで契約栽培されています。
甘茶の作り方ですが、9月ころに葉をとり、水で洗い日干しをします。その後、水を噴霧してからむしろをかけて発酵させます。むしろに広げ、よく揉んでから乾燥すれば甘茶のできあがりです。 こうして手を掛けて、そのままではやや苦いだけの葉っぱが、砂糖の数百倍もの甘味のある甘茶に変化するのです。
その甘みから、花まつり以外にも、漢方薬の苦み消し、糖尿病患者の砂糖代わり、あるいは歯磨きの甘味、醤油の味付けなどに使われています。
この甘茶とは全く無関係で間違いやすいのが、アマチャヅルです。アマチャヅルはウリ科の多年草で、葉をかむと甘いのですが、ここで言う「甘茶」にはいたしません。
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回答者: 桜井 寛明
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