A: 墓地への埋葬の日取りについては、概して、都市化されている地域は四十九日法要の日など後日に埋葬することが多く、講中など地域の互助組織が存在する地域は葬儀当日に埋葬する場合の方が多いようであります。
ちなみに、私の寺の周辺では、葬儀当日に埋葬するのが普通です。地域ごとに地域互助の組織が残っているからです。亡くなられた人がありますと、その地区の講中が集まり葬儀の準備をします。遺族は弔問者の応対などで忙殺されますので講中の人々が通夜・葬儀から埋葬まですべての段取りをし受付やお斎(食事)の準備します。現在では、葬儀社の方々がかなりの部分を肩代わりしてくださっていますが、相互扶助の精神はまだ強く残っています。埋葬についても石材店に委託する場合が増えてはいますが、講中が担当している地域もまだ存在します。
このような習慣は、長年培ったお互いの信頼関係がなければ成り立ちません。新規に転入してきた方がそのような講組織に入ることは極めて稀です。ですから首都圏では、講中に参加する旧来からの住民と、新しい人々が混在することになり、埋葬の習慣も地域による振り分けはできなくなってきています。
また、都市部などで四十九日法要の日などあらためて埋葬をすることが多いのは、墓地が近隣にないなどの物理的な理由によるものと思われます。都市部では地域互助の文化が希薄ですので葬儀社主導の葬送文化が作り上げられてきています。画一化が進んでいく現在においては、どの地域においても葬儀社主導の傾向が強まってくことが考えられます。葬儀に埋葬が組み込まれることは、葬儀の流れの中で時間が不確定になる要素が増えることになりますので、基本的には埋葬は後日との選択になることは自然の成り行きです。したがって、当日埋葬の地域は、次第に少なくなっていく傾向になるのはやむを得ないことなのかもしれません。
このように、葬儀の習慣は本来地域などによりまちまちです。埋葬についても、どちらが正しいなどと決めつける必要はありません。ご質問にあるように、地域の習慣に準じて行っているのに「冷たい」と責められるのは気持ちのよいものではありません。お互い自分の経験により基準を決めていますので、他の習慣は奇異に感ずることがあることも理解はできます。しかし、その地域の習慣を理解することは、大事なことだと思います。大げさな言い方をしますと異文化交流を意識すべきということだと思います。
当日埋葬の地域でも、天候などの条件により急遽後日埋葬になることもあります。地域によりいろいろな習慣があることを理解し、臨機応変に対処することができるゆとりを持ちたいものと思います。
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回答者: 小林 泰善
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