A: 新盆とは、亡くなられて、初めて迎えるお盆のことを申しますが、特に、初めてお葬式をだされたお宅では、どのように、お盆を迎えたらよいか悩まれることでしょう。 皆さんのご近所にも、お盆の時期になりますと、「精霊棚」(しょうりょうだな)を作って、お膳を用意されているお宅があるかと思います。 「精霊棚」とは、ご先祖の霊を迎えてもてなす為に用意する棚で、仏壇から位牌を出して棚に並べ、その前に精進料理のお膳や迎え団子、その他盛りたくさんの果物・野菜を供えるものです。 また、ナスやキュウリで牛と馬に見立てます。 これらは、ご先祖の霊が乗るための乗り物だそうで、ご先祖が来るときは馬で早く来て、お盆が終わり、帰るときは、牛に乗ってゆっくり帰ってもらうという意味があるのだそうです。 そして、迎え火を焚き、ご先祖の霊をお迎えし、送り火を焚いて送り返すのです。 提灯も迎え火と同じように、ご先祖が来る時に、家を間違えないように、目印になるようにという意味があるようですが、これらはすべて他宗のお飾りです。
浄土真宗ではお盆独特のお飾りはありません。常日頃のお飾りのままで結構です。 また、迎え火を焚いたり死者の霊を迎えるさまざまな準備は必要ありません。 お供えも派手に飾り立てるのではなく、餅・菓子・果物などをスッキリとお供えします。
その理由は、ご先祖はお盆の時期にだけ帰ってくるわけではないからです。いつでも、この娑婆世界に戻られ、私たちを見守っていて下さるのです。 また、ご先祖の霊にお供物をするのではなく、常日頃から、私たちの救い主、阿弥陀如来さまにお供物をいたしますので、お盆だけ特別にする必要はありません。 提灯も買う必要はありませんが、親戚の方が下さるというのに、無理に断ることもないでしょう。 このように私が申しますと、「浄土真宗は楽でいいですね」とおっしゃる方がいますが、教えに反することは必要ないだけです。
しかし、いつでもどこでも帰ってきて下さっているのが浄土真宗だとすると、他宗よりも大変です。毎日お盆の気持ちでお世話しなければいけないのですから…まあこれは半分冗談ですが。
それよりも、矛盾を感じるのは、お葬式に清め塩をして、亡き方を穢れと扱い、棺に釘打ちをして、亡き方との関係を無理やりに断ち切り、火葬場の行き帰りの道を変えたり、亡き方が生前使っていた茶碗を割り、「あの世に行って下さい、戻ってこないで下さい。あなたはもうこの世の住人ではありませんよ」と意味する行為を当たり前のようにしておきながら、お盆になると、「お盆にだけは戻ってきて下さい」と迎え火を焚いていることです。 さらに、お盆が終わると、送り火を焚いて「もう帰って下さい」と追い返す。これは、とても寂しいことではないでしょうか。
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回答者:
伊東 英幸
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