A: どのお寺でも必ずご本尊があります。座っていたり立っていたり、形は様々です。ご本尊のお姿は、それぞれの宗派の教えを顕しています。
諸宗派では、座っていらっしゃる姿のご本尊をよく見かけます。これは、座禅を組み、瞑想に入られている姿であり、修行によって悟りを開く姿です。自ら行う苦行や誓いを元として、煩悩を断ち、仏の悟りを得るという姿が示されているのです。
それでは、なぜ、浄土真宗のご本尊である阿弥陀如来は、立っているお姿なのでしょうか?
これは、阿弥陀如来が、煩悩にまみれ、自ら苦しみもがいている我々人間をいち早く救おうと立ち上がり、必ず浄土へ生まれさせるとはたらいてくださっている姿を表わしたものなのです。それは、喩えるならば、母親が苦しむ我が子をいち早く助けてあげたい、じっと座っていられずに早く我が子を抱き寄せたい、と立ち上がった姿と同じでありましょう。
このような阿弥陀如来のお姿は、煩悩にまみれた人間の行いによって悟りを開くのではなく、阿弥陀如来のはたらきによって、浄土へ参らせて頂くという「本願他力」の教えを形として表したものなのです。
そんな阿弥陀如来のお姿を拝見し、煩悩まみれの私たちを救おうと常にはたらいてくださっている阿弥陀如来のお心を受け入れ、感謝の心の中に「南無阿弥陀仏」とお念仏申させていただきつつ、日々の生活を送りたいと思います。
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回答者: 佐々木 貴宏
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