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026 | 全日仏より「戒名(法名)」に関する報告書まとまる |
1月26日京都において開催された全日仏の理事会で承認された「戒名(法名)」に関する報告書は、下記の通りである。 社会的な関心の高い問題であるだけに、全日仏にて問題の検討がなされ、対外的に報告されたことは大変意義深いものである。今後、提案事項(下記2点)が仏教界全体に速やかに徹底され、実践されていくことを期待したい。 Conan 報 告 書 現在、「戒名(法名)」に関して、一般社会からさまざまな批判が寄せられている。 本研究会は、平成十年十月の理事会で設置が決まり、これまで五回の会議を開催してこの問題の検討を行って来た。その結果を、ここにご報告する。 本研究会は、主に次の点につき意見交換を行った。 一.各宗派に於ける戒名(法名)の意味、及び宗派間の相違点 二.各宗派に於ける戒名(法名)の種類等、規定や慣行 三.いわゆる「戒名(法名)料」の実態、及びその会計処理の在り方 四.戒名(法名)に関する一般社会からの批判の意味、及びそれへの対応 会議の席上、出席者から活発な意見が出された。その主要なものを要約すると、次のようになる。 @戒名(法名)について批判があるのは、主に大都市部である。それは都会に於いて、寺と檀信徒(門徒)との関係が希薄であることに起因している。 A今日の戒名(法名)批判には、葬儀の商業化という現代社会の経済至上主義が背景にある。 B戒名(法名)は、仏弟子に成る時にいただく名前である。生前に受けるのが望ましいが、一般の人にはあまり理解されていない。各教団も、説明しようとする意欲が充分ではない。 C一部に「戒名(法名)料」と称して、高額な請求をする僧侶がおり、それが仏教界全体への不信となっていると言わねばならない。 D戒名(法名)の授与は、多くの宗派で各住職の裁量に任されている。そのため、地域差、寺院差が大きい。今後は各教団で、一層の研鑽を進めるべきだ。 E布教・伝道を通して、社会の苦悩を解消するための努力を充分に果たしていないことへの批判が、戒名(法名)問題の根底にある。仏教界全体として反省すべきだ。 F「戒名(法名)料」批判に応えるためには、会計処理を含めた寺院運営の在り方を再考する必要がある。 結論として本研究会は、次の二点を理事会に対しご提案する。 一.今後、「戒名(法名)料」という表現・呼称は用いない。 仏教本来の考え方からすれば、僧侶・寺院が受ける金品は、全てお布施(財施)である。従って、戒名〈法名)は売買の対象ではないことを表明する。 二.戒名(法名)の本来の意義を広く一般に知らしめるため、主な宗派から資料をご提供いただき、全日本仏教会が以下の内容のリーフレットを作成して、必要な所へ配布する。 @当該宗派に於ける戒名(法名)の教理的な意味、A戒名(法名)に関する当該宗派の規定〈例えば院号)又は慣行、B一般信者が生前に戒名(法名)を受ける方法、C戒名(法名)に関する一般信者等からの相談窓口 以 上 平成十一年十一月三十日 戒名(法名)問題に関する研究会 座 長 荒 川 正 憲(真宗大谷派) 石 川 浩 徳(日蓮宗) 井 上 信 一((財)仏教振興財団) 小 室 裕 充(真言宗智山派) 壽 山 良 知(高野山真言宗) 中 村 秀 雄(曹洞宗) 二階堂 行 邦(真宗大谷派) 長谷川 正 浩(弁護士) 平 井 宥 慶(真言宗豊山派) 藤 原 東 演(臨済宗妙心寺派) 松野尾 慈 音(浄土真宗本願寺派) 水 谷 幸 正(浄土宗) 山 田 俊 和(天台宗) 戒名(法名)問題に関する研究会 第1回研究会 平成11年1月21日 午後2時〜 明照会館「会議室」 第2回研究会 平成11年3月29日 午後2時〜 明照会館「会議室」 第3回研究会 平成11年6月10日 午後2時〜 明照会館「会議室」 第4回研究会 平成11年9月14日 午後2時〜 明照会館「会議室」 第5回研究会 平成11年11月30日 午後2時〜 明照会館「会議室」 委 員 名 簿 〈順不同・敬称略〉 座長 荒川正憲(真宗大谷派・全日本仏教会前事務総長) 委員 石川浩徳(日蓮宗現代宗教研究所長) 〃 井上信一(仏教振興財団理事長) 〃 小室裕充(真言宗智山派教化センター専門員) 〃 壽山良知(高野山真言宗東京別院主監〉 〃 中村秀雄(曹洞宗教学部学事課長) 〃 二階堂行邦(真宗大谷派・専福寺住職) 〃 長谷川正浩(全日本仏教会顧問弁護士) 〃 平井宥慶(真言宗豊山派教化センター宗学研究所研究員) 〃 藤原東演(臨済宗妙心寺派教学部長) 〃 松野尾慈音(浄土真宗本願寺派基幹運動本部員) 〃 水谷幸正(浄土宗総合研究所所長・現宗務総長) 〃 山田俊和(天台宗前総務部長) |
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