大谷派の宗会で僧侶の130歳定年制について審議され否決されたという京都新聞(6月13・14日)の記事がありました。
伝統仏教においては、宗派は寺院を単位に管理し、寺院が個々の僧侶の管理を行うという形態を保っています。住職が継承や死亡により移動する場合には、本山に必ず届け出をし、法人代表者の変更登記もしなければなりません。しかし、他の僧侶については住職が本山への届を放置するようなことがあれば、転派や死亡などの移動があっても宗派の僧侶名簿から削除されずそのまま残ることになってしまいます。
この大谷派の法案は、非現実的な年齢の僧侶が名簿に存在する現状を打開する窮余の策として上程されたもののようです。しかし如何にせん130歳定年ということも法制化するにはいささか常識を超えてしまっているということだったのでしょう。案の定、否決されてしまいました。
僧侶の管理ということでは、本派も同じ悩みを抱えています。むしろ、20歳以上の僧侶には全員に宗会議員の選挙権がありますのでより深刻な問題だと言うことができます。噂によりますと前回の宗会議員選挙でも「お浄土からの不在者投票」が確認されたということです。
僧侶制度については、現行制度は僧侶の現住所も把握できていないなど不備だらけです。ところが、宗門は、衆徒の管理は住職の仕事であり現行制度に不備はないという立場をとっています。確かに個々の僧侶の服務規律や教学等は住職が指導管理すべきでありましょう。しかし、得度は本山でしなければならないのですから、より厳密な名簿管理を宗派はすべきだと思います。
宗門には人別賦課金という課金制度があります。この制度の運用の仕方によっては、住所更新等の名簿の管理は難しいことではなくなるのではないでしょうか。しかし現状では、せっかくの人別賦課金も寺院に課されるため賦課金の算定基準とはなっても僧侶名簿管理の役割ははたしていません。
国が法人と自然人を別人格として考えるように、寺院と僧侶を分けて考えることをしても良いのではないでしょうか。例えば、住職も含め人別賦課金は個々に徴収をするのです。そうすれば、名簿の更新も毎年できますし、未納の扱いを厳密にすればペーパードライバーも少なくなるでしょう。70歳以上の僧侶についても、徴収事務費に相当する金額は徴収すべきでありましょう。もし、現在のように70歳以上の課金を免除するならば、少なくとも宗会議員の被選挙権をなくするようにするべきでしょう。そうすれば、宗会も若返り風通しがよくなるのではないでしょうか。
東京教区では今年から住職以外は一律一万円を他の賦課金とは別に納付することになりました。研修会の通知や基幹運動計画書の送付等僧侶全員に通知をするようになりましたので当然のことであります。しかし、その納付書は個人送付ではなく寺院送付でありました。したがって、とりあえず一歩前進ということでありましょうか。
|
2000.8.1 無憂樹
|