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035 『北山別院問題調査研究報告書』を読んで


全国教区会議長会の
『北山別院問題調査研究報告書』を
読んで

 全国教区会議長会の『北山別院問題調査研究報告書』が全寺院に配布されました。

 
今まで、一般寺院の住職にとりましては、『中外日報』等からの情報などや昨年10月21日に一般紙に載りました背任罪で告訴をするという記事(実際には告訴はなかった)などで、本山が大きな問題を抱えているということを知ることはできましたが、断片的な情報のみで判断する以外はありませんでした。この度の報告書は、事件の全貌を知る上で大変貴重な資料でありました。

 
また、事実が明らかになることにより、御認許取り消し後の宗会の混乱等の事情がよく見えてきました。それが、通常の社会常識とはどうやら異なった形で推移していたこともです。

 
『中外日報』(8月26日)には「“宗門の定説”覆した北山問題」という記事が出ていました。「宗門の定説」とは「門主の認許事項に誤りはない」という宗門の不文律をいうのだそうですが、この立場からすれば北山別院問題のような場合にも、「どんなに不正なことをしていても正しかったことにしてしまわなければならない」という理不尽な論理が成り立ってしまうのです。門主制度へのひいきの引き倒しのような論理がまかり通っていたのです。当時の豊原総局が、宗門の将来を考えて御認許取り下げの申達を決断したことが何故問題になったかはそこに理由があったのです。

 
しかし、もう封建時代とは違います。誤りを正さなければ宗門は内側から崩れてしまいます。不文律が通用しなくなったのではなく総局が責任を全うするためには緊急に御認許取り下げの手続きをして事業を中止せざるを得ない理由があったと判断すべきでありましょう。

 
報告書の問題解決のための試案には説得力があります。関係者すべての道義的責任は非常に重いと判断せざるを得ません。宗門は、可及的速やかに事件に関わったすべての宗門関係者の公的役職を解き、厳正なる処分を実施すべきです。また事件絡みで暴力団と関わりをあった人物は、一般社会常識に準じて不正に関わらなかった場合であってもしかるべき処分をしなければならないと考えます。

 
前回、ポストエイオスで明日奈朗氏がいみじくも言っていますように、今回の議長会の行動は非常に頼もしくまた、明快でありました。

 
『中外日報』では、議長会の動きが越権行為とか任意団体が権限もないのに先走って騒いでいるという批判があることを紹介しています。しかし、教団の組織を考えますと宗務機関に属さない全国教区会議長会だからこそできたことではないでしょうか。

 
宗会や総局が結論を出す前にこの報告書が出たことには大きな意味があります。また、組織人としての礼儀にかなったものでもあると思います。宗門は議長会の動きを大いに評価すべきです。



          2000.9.1   無憂樹

 


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