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テレビに出た脱サラ僧侶に思う


テレビに出た脱サラ僧侶に思う

 6月12日の深夜、日本テレビ系列の(日付は13日)「三宅裕司のドシロウト」という番組に一人の僧侶が出ていました。この番組は芸能人でない方を呼びタレントがその方の趣味や仕事についてインタビューするというものです。 その日番組に出ていた僧侶は、赤い衣に僧綱板、紫の袴に袈裟はなく、念珠も持っていませんでした。丁度葬儀が終わって七条袈裟を取った格好でした。番組ではその僧侶を「脱サラ僧侶、神奈川県釋朗照(40)」と紹介していました。会話の中で浄土真宗という言葉が出てきましたが、本願寺派の僧籍名簿には釈朗照という法名の人は存在しないとのことです。

 件の僧侶、インタビューに対する答えがあまりにもひどく、なぜ脱サラして僧侶になったのかの質問に「稼げるから」と答え、休みの時は何をしているのかに対しては「公営ギャンブル」「風俗に行く」と答えました。また、つぶれた中啓を出し、これはもらった。念珠は100円ショップで買ったと言っていました。あげくの果てには、本派の葬場勤行添引和讃をなんとか称え、間違えても誰もわからないからとも言っていました。そして、最後に将来のビジョンを問われたときに、もっと稼ぎたいというような事を言っていました。

まったくもってでたらめな僧侶と言わざるをえないと思います。場所柄をわきまえない衣体の付け方。僧侶の本分をわきまえない言動。出演していたタレントもあきれかえっていました。

 そもそも、この僧侶「全日本僧侶派遣協会」(「カンパニーランド」というHPに登録)とやらに属しているようで、番組がここに電話して出演を要請したらこの僧侶が来たようです。

 ここは、格安にて僧侶派遣しますという「ビジネス」をしている所のようで、連絡先の住所、世田谷区太子堂(三軒茶屋駅近く)を訪ねると、期待通り、寺でも何でもない普通の一軒家で看板もなく、代表者の名前の表札が出ていました。

 おそらく、代表者の自宅の電話一本でやっているのでしょう。寺院を持たない脱サラ僧侶、教区外から首都圏へ来ている僧侶などがここに所属し、提携した葬儀社などから「仕事」の依頼があると出仕するということでしょう。

 
東京教区の都市開教推進において、長年の懸案である「東京教区未包括寺院」の存在もさることながら、このような僧侶が東京教区内で傍若無人な行動、発言をしていると言うことはもっと問題であります。これは、教区内のまっとうな寺院活動に水を差し、また世間に対して仏教界、宗派の対面を汚し、信用を著しく損ねたものであります。

 東京教区は所属寺住職の目を離れた、ほんの一部の衆徒の好き勝手によって、教区が乱され、社会的信用をなくされています。特に地に足をつけた活動を続けている、都市開教本部の布教所にとっては、せっかく築き上げた信用を大きく損ねるものでしょう。

 この僧侶のTV出演によって、東京教区が提唱している「所属寺を離れた衆徒の現住所と活動の把握」の意味が全国の寺院関係者に理解されたのではないでしょうか。


白川 淳敬 (2001.6.20) 

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