今年度11月1日から首都圏宗務総合センターが設置されました。その内容は、宗門の首都圏での政財官界やマスコミなど社会への窓口となる総合庶務部と、都市開教を推進する都市開教対策部の二つの部門から成り立っています。東京を一地方としてしか見ていなかった宗門が首都圏への本格的な窓口を設置したことについては、大きな意味があると思います。宗門内でどのような位置づけになっていくのか、その動きについては期待して注目していきたいと思います。
早速、その首都圏総合センターの総合庶務部が動かなければならない政治の動きがありました。
12月14日、福田官房長官は戦没者を追悼する新たな施設づくりを議論する官房長官主催の有識者懇談会「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」を設けると発表し、そのメンバーを公表しました。(下記資料参照)
本願寺派では、小泉首相の靖国参拝問題に関連して、石上智康宗会議長の新聞談話や千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要時の武野総長の挨拶などで、靖国神社に代わる国立の戦没者追悼施設の建設を求める姿勢を明確に示してきました。この件での情報収集そして官公庁や各種団体への働きかけ、マスコミへの対応など、新たに設置された首都圏宗務総合センターのさしあたっての最大の重要課題となるのではないでしょうか。
「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」のこれからの経緯は逐一注目しなければなりません。
都市開教については、築地別院が主体となる首都圏都市開教対策本部により布教所の開設等一応の成果をあげてきました。しかし、輪番が変わるたびに停滞が生じ都市開教全般の問題に取り組むまでに至っていませんでした。しかもここ数年、なぜか本部の動き自体が停滞していました。
この度都市開教対策本部が、別院の管理から宗門へ移行したことによりやっと宗門が本気になって都市開教を進める方向性を打ち出してきたのだと思われます。まだ具体的にどのような内容になるのかは見えてきませんが、成否は地元の東京教区に信頼される活動ができるか否かにかかっていると思います。都市開教の成功は東京教区の願いでもあります。現場の意見を充分吸収して総合的なビジョンを提示できる態勢を確立していただきたいと思います。
無憂樹 2002.1.1
《資 料》
(2001年12月15日 朝日新聞朝刊)
平和記念碑懇座長に今井氏
福田官房長官は14日の記者会見で、戦没者を追悼する新たな施設づくりを議論する官房長官主催の有識者懇談会「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」を設けると発表した。メンバー10人で、座長には今井敬・経団連会長が就任する。
福田長官は会見で「(首相の靖国参拝と)関係あるようで、ない。靖国神社とか千鳥ケ淵戦没者墓苑への国民の思いは尊重する」と説明。「首相の靖国参拝は、首相の考えというか、心情で決めることだ。これと直接関係づけることはない」と述べ、新施設ができたからといって首相が靖国参拝をしないわけではないと強調した。
懇談会メンバーには首相の靖国参拝を強く支持する人が複数含まれている。
今井氏以外のメンバーは次の通り。(敬称略)
東江康治(元琉球大学長)▽上島一泰(日本青年会議所前会頭)▽上坂冬子(ノンフィクション作家)▽草柳文恵(エッセイスト)▽坂本多加雄(学習院大教授)▽田中明彦(東大大学院教授)▽西原春夫(国土舘理事長)▽御厨貴(政策研究大学院大教授)▽山崎正和(劇作家)
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