中外日報(4月18日付)の一面に、本願寺派全宗務員らに怪文書(自ら怪文書と名乗る)が送付されたことが取り上げられています。文書は「幹部の移動に情実人事」と批判しているとのことです。
また、総局からは公室長名で、怪文書が指摘する一つ一つに反論し「惑わされないように」との文書を宗務員に配布しました。なぜ、総局は怪文書に対してこのような対応をしなければならなかったのでしょう。それも内容は人事に関することですから、弁明すること自体が異常です。
この混乱は、総局が信頼を失いつつあることを如実に示している出来事だと思います。
武野総局は、宗門浄化を実現することを目指して発足しました。北山問題の解決だけではなく、北山問題に象徴される宗門が抱えてきた旧弊を払拭することを期待されてのことです。そのためには情報公開ということも武野総局は公約に掲げていました。
北山問題については、刑事事件としての立件はできませんでしたが、解決の方向が見えてきました。それは、宗門人誰もが望んでいたことでした。しかし残念ながら、それと平行して、全く別の側面から、宗務員の中に総局不信の火種が生まれてきてしまったのではないかと思われます。
多くの宗門人が疑問を感じた本願寺新報の一面記事が、総局の強引な関与でなされたこと。
先の宗会での委員会の情報が漏れたことに対する過剰な反応と露骨な犯人探し。
そこには、新総局の古い権威主義的な性格も見えてきてしまいました。
また、別冊宝島問題への対応の甘さが、宗会で露顕しました。
それらが複合的に作用して、宗務所内に総局不信の雰囲気が醸成されていったのではないでしょうか。そしてその不信感が、4月の人事を機に怪文書という形で表面化したものと思われます。 宗門には人事権の乱用による人事管理という悪弊があります。その旧弊に、今回の人事は準ずるものと映ってしまったということです。人事にまで不信が及んでしまったということは、宗門浄化を目指す総局としては致命的なものと言えるのではないでしょうか。
怪文書に対する公室長名での総局の文書を読む機会がありました。 高圧的な内容であり、吟味されて出された文書とはとても思えませんでした。特に某前別院輪番に対する記述は、女性側に非があるとも読める表現であり、男女共同参画に何の理解も持たない旧態然たる男性側の論理で言い訳をしているにすぎません。 この文書を読んで傷つく女性がいることを少しでも考えたのでしょうか。宗務所にセクハラ対策委員会が設けられたそうですが、このような姿勢の人々の前では、本当に傷ついた女性は事実を語ることができません。
2月20日付け本願寺新報記事の問題も合わせて考えますと、総局が信頼を回復するための道のりは困難を究めることと思われます。総辞職して出直すのもひとつの考え方だとは思いますが…。
|
小林 泰善 (2002.05.01) |
|
|