僧侶向けページ



082 何のための臨時宗会か


何のための臨時宗会か

   9月12日から13日(厳密にいえば14日まで)臨時宗会が開催されました。今回の臨宗は、総局と中央相談員の対立、さらに総局による処分という背景を抱えて、宗門内の注目を集めた宗会でもありました。

 宗門の情報の流れの遅さは旧態然としたものでありますが、今回もまったく同様でありました。ただ、異なる事は、漏れ聞こえてくる情報をもってしても、今回の宗会がどのような意味を持ち何が決められたかが理解できないという点でありました。

 宗会から半月を経て分かった事実は次のようなものです。

1.大谷本廟隣接地431平方メートル余の土地取得の件で議会が紛糾し予算委員会に付託された。理由は不良債権の可能性があるため。
2.北山別院問題は、元輪番と元副輪番に対し損害賠償を提訴したことを報告、終結宣言が可決された。
3.西山別院問題の総局説明。
4.新しい国立追悼施設の問題で、総局の「つくる会」参加について論戦が白熱。ただし、内容は総局側の説明が主体。
5.中央相談員の休職は懲戒ではない。(総局説明)



 ようするに、宗会を開いたが決議するようなものはなにもなかったということのようです。強いて言えば、大谷本廟隣接の土地取得の件のために宗会を招集し、そのついでに当面の懸案の報告を行ったという事のようです。ところが、土地取得の件も調査不足で継続審議となるというお粗末。

 北山問題の終結宣言が議員の動議により可決されましたが、これも何の事やら分からない。総局が、返還のために浄財は使わない、その財源は事件当事者が負担すべきものというのは当然のことだとは思いますが、元輪番と元副輪番に対して損害賠償請求の民事訴訟を起こしたとはいいましても、裁判の結果などだれにも予測が付きません。この時点で、わざわざ終結宣言をする意味はどこにあるのでしょう。総局が終結宣言をして総辞職をするのなら、北山別院問題を処理することが最大目標であった現総局として筋の通った身の処し方という事もできたのですが…。

 その他の案件は、総局の説明事項というべきものであり、意見聴取という意味では意義はあったのかもしれませんが、長時間の審議のわりには中身がなかったという印象は否めません。

 現総局の基幹運動に対する姿勢は、明らかにマイナスの方向に向いています。その象徴的な出来事は、本願寺新報のハンセン病元患者懇志進納の記事とその対応に顕著です。ただし、今回の宗会でも、総局も口では基幹運動推進の立場を主張しています。もっとも、法規上総局はそのようにいわなければならない立場にある事も事実なのです。

 今回は終始総局主導の宗会であったため、通告質問などもなく争点が明確になりませんでした。

 今、宗門内では、総局の強引な宗門運営に対する不信感が渦巻いています。その宗門不信を解消するために、宗会は努力を惜しまないでいただきたいと思います。

無憂樹  2002.10.01

僧侶向けトップページに戻る