先の定期宗会において、武野総局が総辞職し、不二川総局が誕生しました。
定期宗会最終日であった11月7日(金)、武野総長が辞職し、総長選挙のために会期が延長されました。そして、10日(月)に、門主より総長候補者として不二川公勝氏と松原功人氏の2名の宗会議員が指名を受け、即日選挙が行われ圧倒的多数で不二川氏が選出されて、その日の内に総局人事が発表になりました。
今回の総長更迭劇の理由はともかく、本願寺派の最高責任者を決定する選挙制度が極めて非民主的であることが実感されました。私が所属する教区では武野総長の辞職、選挙期日、選挙結果、総局人事等について宗派の宗務機構を通じての事務連絡が13日現在まったく行われていません。この情報化社会において組長にすら公式情報が届いていないのです。
本願寺のホームページには、10日の内に総長選挙の結果と新総局の発足が掲載されました。しかし、独自の情報入手ルートを持たない宗門人は、情報を一般新聞に頼るほかはありません。武野総長の辞任は大手新聞各紙の東京版には日経と毎日にしか掲載されていなかったようです。また、不二川総長就任の記事は各紙に載っていましたが、その小さな記事にに気づくことがなければ宗門の将来がかかっている宗務上の大きな出来事を未だに知らずにいることになります。
今回の現実から、宗門が宗派情報を伝達する宗務機構を持っているにもかかわらず、宗務の基本となる情報を伝達するマニュアルすら持ち合わせていないことがわかります。北山問題の経験から宗門の情報公開が叫ばれていたにもかかわらず、このような状況を放置したことは、宗門の最高議決機関である宗会の怠慢であるといわざるを得ません。
一歩譲って考えますと、総長選挙に関わる一連の手続は宗門法規に基づいて粛々と遂行されたものであると思います。としますならば、この制度は完全に制度疲労を起こしているといわざるを得ないのではないでしょうか。
密室で総長が選ばれるような制度は改めるべきです。門主による総長指名の制度を持続するならば、指名後の選挙のあり方をもっと公開制のある方法に改めなければなりません。宗会議員が門主の覚えめでたきことのみを意識して行動したり、指名を受けたことを笠に着て権威をふるうようなあり方は、あまりにも前近代的です。
今まで、改革といいますと、機構改革が多く行われてきました。しかし、機構改革によって宗務機能が改善するのなら良いのですが、むしろ停滞や後退を招いてきたのが現実です。宗門の前近代的な体質を改善するためには、もっと根本的な制度改革が必要に思えてなりません。
不二川総局に期待するとともに、宗会議員のみなさまの奮起を期待するところです。
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群生海
2003.11.16
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