2月17日から開催されていた第273回定期宗会において「宗会議員選挙規程」の一部改正案が可決されました。北海道と東京の2教区において僧侶宗会議員の定数が1名増員され、北海道・東京・四州の3教区については教区を分割して小選挙区制を採用するというものです。
この度の改正案は、松村総長時代に諮問委員会(早島鏡正委員長)の答申があった宗会議員定数改正案の一部に基づいて増員部分を上程したもので、答申に含まれていた減員などについては以後段階的に改正を実施していくとのことです。
教区により一票の格差が5倍にもなる宗会議員定数の是正は緊急の課題です。東京教区では僧侶議員の定数増は長年の悲願でありました。しかし、今回の改正には下記のようにいくつかの疑問が残ります。
1.緊縮財政が行われている現在において増員のみが上程されたこと。
宗会議員の増員は当然のことながら宗会予算の増額を伴います。現在宗門では委員会が設置され賦課制度の改正が審議されています。一方では、宗門財政の健全化のために宗派予算における賦課金比率の割り増しをうったえておきながら、宗会議員増員による支出増に目をつむるのはいかがなものでしょうか。
2.宗会議員定数が複数の教区の中に、大小2種の選挙区制度が生じたこと。
今回の北海道教区と東京教区の増員は、結果的に1人区を一つずつ増やしたことになります。1人区と複数区とでは選挙のあり方に自ずと差ができます。国政選挙では、小選挙区制度の導入により中小の政党が淘汰されつつあります。宗門の将来にとってどちらが良いのかは判断の分かれるところだと思いますが、いずれにしましても教区の複数の意見が反映できる選挙区は四州教区を除いて現状のままということになります。そこでの有権者の不公平感の解消に、今回の改正は応えていません。
今回の教区分割案は、広域選挙区の解消が目的のひとつに挙げられています。四州教区はまさにそのために分割されたものです。宗会議員にとっては納得しやすい目的なのかもしれません。しかし、それは、選挙運動の方法論の問題であり有権者にとっては他に優先する問題ではありません。
選挙制度に関しては、議員自身の利害に絡む問題ですから、抜本的な改革をするためには相当な努力が必要とされることと思います。2年以内を目処にとのことですが、ともかくも、平成4年の早島調査会の案のような第3者機関が作成する答申を完全実施するところから始めない限り先へは進まないのではないでしょうか。
議員諸氏には、少なくとも、選挙制度を賦課制度改革の取引に利用するような政治的動きにならないようにご配慮をお願いしたいと思います。
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群生海
2004.3.1
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