2月下旬に開催された定期宗会では、宗会議員選挙規程一部変更の他にも注目すべき法規の改正がありました。3つの改正点について紹介します。
1.僧侶規程に基づく僧籍台帳に現住所が追加される。
現住所記載は、2005年度から実施されます。それまでに、僧侶の現住所の調査があります。転居などで僧侶名簿の記載事項に変更があった場合、住職に届け出義務が生じます。
僧侶の現住所の掌握は、本願寺派僧侶制度の信頼性において極めて重要な改善です。
将来度?の更新制度が導入されるとき、現住所が明らかになることにより、所属寺住職以外の第3者が確認できることになります。したがって、僧侶としての活動の証明がより適正化されます。所属寺住職の横暴や放置も防ぐことができます。
また、衆徒の所属の適正化(例えば、東京教区寺院所属の衆徒が北九州に在住しているような場合)ができるようになるかもしれません。少なくとも、僧侶として活動をしているならば、在住教区で僧侶研修会などに参加すべきだと思います。
僧侶名簿ができるかどうかは分かりませんが、都市開教の障害となっているマンション僧侶の問題等に対応するための基礎資料にもなるものです。
2.寺院規程の一部変更が実施され、「従たる事務所を設置する場合、設置する地域の組長と教務所長の承認を経る」ことが義務化された。
いわゆる未包括寺院が新たに生ずることを防ぐための法的措置です。寺院の従たる事務所については、改正宗教法人法では所轄庁への届け出のみでよいことになっていますが、そこに包括法人としての手続きを新たに定めたことになります。東京教区などでは、教区内にありながら教区未包括の本派寺院があるという現実があります。包括法人が、このことを放置してきたことは、大きな課題を残しました。もぐり寺院やゲリラ寺院などという言葉も生まれましたが、都市開教への不信を増幅したのは未包括寺院の存在に原因があると言っても言い過ぎではないと思います。
この改正によって、分院など布教所とは違う形で都市開教を目指す場合も、組との調整が必要になります。当然のことながら都市開教対策本部が関与していくことになります。
今までこの制度が無かったことが不思議なくらいです。組長の責任は重くなりますが、都市開教に地元組が理解を持って受け入れることがなければ都市開教が成り立たないことを考えますと当然のことだと思います。
ただし、従たる事務所の内容については、種別を定めて組長が押印の基準を見極められる条件を整える必要があるのではないかと思います。
この法規改正が行われたことにより、既存の未包括寺院の解消に即結びつくとは考えにくいですが、新規参入者にとってもまた当該組にとっても非常に有効な現実的な法改正であると考えます。
宗会では、これら2点の改正によって、都市開教への足かせとなるとのではないかとの疑念も出たとのことですが、それは誤解です。放置したことにより、都市開教はむしろ滞ってしまっていると考えるべきでありましょう。
3.坊守が届け出制になり性別の規定がなくなる。
長いこと論議してきた問題です。ただし、今回の改正では、性による役割分業との論議だけをとらえての改正となりました。坊守制度を巡る問題では、もともと寺院における女性の立場に関心の焦点があったはずです。寺院における坊守の位置づけ等、肝心な坊守の定義が定まらないと無用な混乱が生じる可能性があるのではないかと危惧されます。
また、寺族の規定の改正も平行して行われました。読み方によっては寺院の女性の立場をより不安定にするようにも思えます。法規上では用語の定義等もっと明確に整理して使用しないと混乱を招く原因になるのではないかと危惧するところです。
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群生海
2004.3.16
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