花組 1997年10月25日〜11月11日 宝塚バウホール
脚本・演出 柴田 侑宏/音楽 寺田瀧雄
CAST 栄二(表具職人) 匠ひびき 与平(寄場人足) 岸 香織 さぶ(表具職人) 伊織 直加 清七(寄場人足) 一樹 千尋 おのぶ(小料理屋の女) 渚 あき 岡安 (役所詰元締同心) 萬 あきら おすえ(綿文の女中) 舞風 りら おとよ(女人足) 詩乃 優花匠ひびきバウホール 2回目の作品ということ、ポスターをみていきなり観たくなった私。 ポスターの粋さそのままの舞台であった。 山本周五郎作品て私に合うみたいでかなり好きなんだなぁ。
今回は昭和49年の月組大劇場公演のリメイク。当時のメンバーを観てみても かなり芝居達者で、プリマと呼ばれた初風さんなんかがいらっしゃってたって、 うわさを聞くだけでもよさそう。期待度満点!!
宝塚の男役の青天姿って何でこうみんなかっこよく見せてくれるんでしょうか。 粋で、栄二みたいな男今の世代にはいないだろうし、余計に良いなって思うのかなぁ。 私もこの話に出てくるような女にはなれそうもないのでその辺はお互い様 かー。(^^)
江戸の表具屋に奉公している栄二とさぶ、栄二は有能な職人、さぶは
どこかスローテンポで泣き虫、そんなさぶを栄二はいつもかばって、将来は二人で
店を持とうと言っていた。そんな時栄二達が出仕事をしている綿文という店で
主人秘蔵の古金襴の切れがなくなり、栄二の道具箱の中で見付かる。
栄二は身に覚えのないと、主張するが、聞いてもらえず、
役人に捕らえられてしまう。栄二は復讐に燃え、心を閉ざしてしまう。
素性を言わない栄二は石川島の人足寄場に送られる。
人足寄場の人の衣装が色が明るくて、ちょっと違和感を感じた。
そのうち慣れたけど…
最初、心を閉ざし、誰とも関わらず、面会に来たさぶにさえ会おうとしなかった栄二
だけど、島を嵐が襲い、その時に人を助けて、怪我をする。そのことがきっかけとなって、
徐々に人と触れ合い、いろんなことを感じてもう一度さぶと、
仕事をすることになる。
島を出て、さぶが準備してくれた家で仕事を始める。おすえとも結婚し、
最初はなかなかこなかった仕事だけど、おのぶの紹介で軌道に乗りはじめる。
でもやっぱり綿文の件がどこに引っかかっていて…
さぶはそれを感じて、自分が盗んだんだっていう芝居をする。さぶのことを怒る
栄二におすえは自分が綿文のお嬢さんから栄二を切り離すために
やったことだ白状するが
江戸の職人の世界!!本当にこんな時代があったなんて、実感としてはないけれど、 言葉の端々が心に響いて、栄二の心の移り変わり、心の触れ合いが心地よかった。
栄二の匠ひびき、着流し姿もかっこ良く、一本気なために事件によって
意固地になった男がはまっていた。もう少し、渋さが加わるともっといい男になりそう。(^^)
小料理屋でお酒を飲んでいる時などものすごくかっこ良いのだけど、
あまりにもスマート過ぎるというか…。
喧嘩する所とか、大声をあげたりする時に特に感じる。
でも「おのぶ」って呼びかける時の声がとっても色っぽかったりするんだな…
(^^)なじみ人を呼ぶようで、もしかしたら最終的にこの二人がくっついてしまうのでは
なんて思いながら観ていた。(でも違ったのネ
心底いいやつのさぶの伊織直加、なにがあっても栄二のことが一番で、
一途で一生懸命、そんな人の良さがにじみ出ていたと思う。関係ないけど
この二人って、えくぼがあるんだぁ。
栄二に思いを寄せる女性のおのぶとおすえ、特におのぶの心情が細かく書かれていて、
良いなって思う。祝言のシーンなんかものすごく切なくて、祝詞の声を聞きながら
「ごめんね、行けなかった」って一人店にいるおのぶの気持ちがすごく伝わって来た。
おのぶの渚あき、日本物のバウっていうと大事な役で出ているような気がするのは気のせい??。
今回はとっても頼りになる姉さんって感じ。栄二のことを好きで居ながら、
おすえとの結婚を認めようとするとってもいい人。どちらかというと、
おすえのようなタイプの女性が似合うと思っていたけど、貫禄があってなんだか
月日が経ったのを感じたなぁ。
栄二の妻になるおすえ、嫉妬心から、栄二を島送りにしてしまって、
ずっといつ言おうかってびくびくしている心が、「幸せなのが恐い」という歌詞に現れていたのだと思う。
この役ってけっこう唐突に見えた。おのぶに比べると前振りがないっていうか、
いきなり栄二をお嬢さんに取られたくないって歌い出したり…その辺が私不満でした。
舞風りら、かなり若い娘役さんなのだろうけど、落着いた感じが好感が持てた。
歌も気持ちが伝わってきていた。役柄上かもしれないが、ちょっとおとなしいかな。
専科から岸香織、一樹千尋、萬あきらが出演されていた。 今回は、一人2役以上されていての大活躍、日本物の舞台になると、普段以上に 渋さが光る。すごいです。やっぱり。