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1997年12月4日〜12月27日 日生劇場
演出・訳・訳詞 青井 陽治/作曲 ハリー・ウォーレン/作詞 アル・デュービン

42ND STREET
フォーティセカンドストリート

  CAST
	ペギー・ソーヤー		涼風 真世	アニー			春風 ひとみ	
	ジュリアン・マーシュJr	錦織 一清	ロレイン・フレミング	白木 美貴子
	バット・デニング		藤木 孝	フィリス・デイル	麻生 かほ里
	バート・バリー		佐藤 輝	アンディー・リー	本間 仁
	マギー・ジョーンズ		富士眞奈美	ビリー・ローラー	本間 憲一
	ドロシー・ブロック		上月 晃	アブナー・ディロン	山田 芳夫
							オスカー		白石 准
こんなに待ち遠しかった舞台は久しぶり、かなり耳年増になった私。かなりの期待をしながら日生劇場に足を踏み入れた。
そこで観たのは迫力のタップ。素敵な曲。楽しそうな出演者。理屈抜きで楽しめる作品!! 見終わった後、曲を口づさみながらウキウキとした気分で、帰れるそんな作品だった。(^○^)

涼風が42ND STREETをすると聞いた時、まず思ったことは、まさかドロシーじゃないしな… ほなペギーか!!…ぺキー…!!タップ!!…どうすんだろ。正直な話 大丈夫だろかって不安が大きかったな。取材などで涼風本人も言っていたが、ずっと踊っていない。 基本的にダンサーではない。ずっとみてきたから余計に心配してしまった。(私はかなり心配性です。) でもやってくれました。そんな不安吹き飛ばす舞台。もう嬉しかったよー(^O^)

田舎から出てきたペギー・ソーヤは演出家ジュリアンに認められ、コーラスに入り、大スタードロシー・ブロック の代役で見事に舞台をやりとげスターになるというアメリカンドリーム。
オシャレなオーケストラの演奏。なじみある曲にのっていると、42ND STREET の幕が上がり、いきなりタップの嵐。 ジュリアン・マーシーJr演出の「プリティ・レディ」のオーディション会場だ。 こんなに大勢のタップダンスを私は始めてみた(゚.゚)。 目と耳と体が反応して、興奮してくる。やはり 1階で観たほうがこの迫力を 体で感じることが出来るんじゃないかなぁ。

オーディション会場に遅れてやってきたペギー。なんでも着いてはいたのだけど、 中に入る勇気がなくて、一時間も外にいたそう。なんだかすごい言い訳だ。 でも二枚目俳優ビリーに気に入られて、その場で一緒に歌なんか歌っちゃう。 ブロードウェイ第一声だーとかって。このビリーさん悪い人ではない。タップもかなり上手い。 しかしちょっと軽いなぁ。いかにもっていう設定で、時折変なかっこつけ方して、 退場して笑わせてくれます。

ここで知合った作曲家のマギーとコーラスの中ではお局的存在(プログラムの中の 演出家の方が言ってた)アニー、ロレイン、フィリスの三人と道端で踊っているところを ジュリアンに見られ、このカンパニーに入る。ペギーがアニーに 「踊れるんなら振りを教えてあげ」るって言われて、タップを踏むんだけど、 これがこの作品での涼風ぺキーのお披露目でもある。観ているこっちも緊張ーの 一瞬。軽やかなタップの音に、ほっとする私であった。(^.^)その後の 《さあ元気よくダンス》のナンバーは明るくて、本当に元気が出るようダ。

ペギーはかなりおっちょこちょいな女の子。なんだかほっておけない感じなので 、アニーなんかはまるで保護者のようになっていた。知らない人は宝塚時代にこのアニー役の 春風さんと2人で組んで歌っていたんだなんてちょっと信じられないだろうね。 (どちらかというと歌担当だった2人がタップ踏み合っているというもの不思議だったりする。) やはり迫力ある上手い方である。
涼風ペギーはくりんくりんの金髪で、ご登場。ジュリアンの髪型といっしょだー ってどこのシーンだか忘れたけど思ってしまった。(^_^;) 21歳という設定年齢を意識しすぎてしまったのか、あまりにも落ち着きのない行動 がときたま気になった。すれていなくて、純粋なのは良く分かるが…そんなに ぴょこぴょこはねなくても…(笑)すっごくかわいいのだけど・・・

ペギーのサクセスストーリーとは別に大女優ドロシーのストーリー、ジュリアンの ストーリーがある。数年間あまりぱっとしない大女優。パトロンがいるために このショーの主役になる。ドロシー役の上月さん。名前や、写真などは良く観ていたの だが、舞台を見るのは初めてだった。役柄のせいもあるのかもしれないが、 スターとはこうなんだって貫禄がものすごい。設定上あまり踊れないことになっていて、 ショーナンバーでも手足を動かすだけになっているのだけれど、もうそれで充分って感じ。(^O^) 踊れないわりにはポーズが奇麗すぎたけどいいのだろうか・・・?このままドロシーが 主役でみてもいいんじゃないかと思ってしまった。
ペギーやジュリアンに比べて、心の流れが、歌や台詞で表現されているので、心の中に入ってきやすい。 「フィラディルフィアに行くのはやだ」って言った舌の根も乾かぬうちに恋人バットがそこに行くと聞くと、 ころっと「誰がそんなこと言ったの」なんていってしまうくだりがなぜだか好きだ。大女優にありがちなわがままだけど 顔がものすごく嬉しそうだったりするので、何だか憎めない。

一幕は、「プリティ・レディ」の初日。大盛況の中最後のナンバーでペギーが ドロシーにぶつかり、怪我をしてしまうところで、幕が下りる。ペギーはくびに なっちゃうんだ。 (良くみるとやっぱりドロシーが当たりに行っているのだ(^_^;)) 劇中劇が中止になって、ジュリアンが客席に向かってこの舞台は中止になったと悲痛に告げて、 「客電!!」の合図で、本当に客席が明るくなる。来日公演のビデオなどで、このことは 知っていたのだが、ジュリアンの言葉は本当に自分達に言っているものであるような 錯覚がし、明るくなって思ったよりも「プリティ・レディ」の舞台に入り込んでいたことに 気づいた。

2幕。スターの故障で、公演が中止になる状況に《どんな状況でも希望はある》 と歌うコーラスの仲間達。ぺキーの存在を思い出したアニーが「中止にすることない。私達の中に ドロシーの代役をすることが出来る人間がいる」「ペギー・ソーヤよ。」と。 ジュリアンを説得して、くびにしてしまってペギーを呼び戻すところから、 始まる。『美人だし、すごい声をしている。ダンスはカンパニー1だ』って みんなが言うんだな。でもペギーの歌やダンスって最初の第一声と、アニー達とのダンス くらいしかないので、観ている方はこの言葉ですごいペギーを勝手に想像してしまう。 それだけにあの最初のタップは重要だー!!
個人的には1幕でもう少しそれが分かるような場面があったらいいのにって思ってしまう。 ただ涼風の歌を聴きたいだけ!!かなぁ。ハハハ…(^^ゞ

田舎に帰るために駅にいたペギーを説得しにいくジュリアン。ここで使われている 《ブロードウエイの子守り唄》はあまりにも良く知っていて、こんなところの歌だったのだと ミョーな納得する私。カンパニーのメンバーも加わって歌いながらペギーを 説得するところでは嬉しそうになったり帰るんだーって表情になったり、ころころと かわるペギーの顔が面白い。
ペギーの説得に成功し、NYで幕をあげるために特訓が始まる。 もう出来ないって言うペギーに何度も「出来る」って言うジュリアン。 愛を感じるなぁ(^O^)。おかしかったのが、ラブシーンの稽古。あまりにも棒読みのペギーに何度もキスを して、だんだん柔らかくしていくのだけれど、かなり笑った。ものすごーい濃厚な 言い方でOKでて、ほんまにいいんかって感じ。 (ここ毎日違うらしい(^^ゞあそんでますねぇ。)

ニッキのジュリアン。このショーにすべてをかけている。なぜか恐いお兄さん達とも お知合いだったりもする。ニッキのイメージってTVでしかないので、今回こちらも 興味深々だったのだけど、想像していたよりも、声太くて、いい感じ。ジュリアンに関しては、 あまり私的な感情が前に出す場面がなかったけれど、ペギーの言葉に反応した時の 顔が、なかなか味がある。ちょっと太ったような気が…???

開幕直前、ペギーの楽屋へドロシーがパッドと訪れる。弱気になっているペギーに 「めちゃくちゃ言ってやろうと思っていたけど、あなたいいんだもん」って語るドロシー。 この怪我で今まで舞台のせいでどうしても得られなかったものを得ることが出来た というドロシーの顔は穏やかだ。ドロシーがアドバイスをして、2人で歌う《8時45分》は ものすごくいい。ドロシーの歌声に重ねるように歌うペギー。最高です。
最後パッドに「客席に連れていって頂戴」といって去るドロシーの勇気を奮いたたせたような 表情に参ってしまった。頭では分かっていてもやっぱりつらいってとこなんでしょうか。

仲間達に励まされ、ジュリアンに「帰って来る時はスターだ」と言切られて、 幕が上がる、ジュリアンの台詞って全体的にかなり強引で、絶対にこうだと言切ってしまう。 ジュリアンの絶対に出来るという言葉が、ペギーのエネルギーの源になったに違いない。 この頃になるとペギーってかなりジュリアンに惹かれてますからねぇ。 好きな人の言葉って大きいですもの。しっかし、直前まで幸運の黄色いスカーフを 首に巻いているのはちょーっと無理があるなぁ。あの時ジュリアンが「 こんな物に頼らなくても」とかって取っちゃわなかったら、そのままだったかも・・・(^_^;)

《42nd street》のナンバー。この舞台の見せ場。かっこいいんだ〜(^○^)。 それまでのコミカルなシーンとは一転して、NYの街角。ネオンをバックに歌う。 この歌声!!何といってもこれでしょう。会場に響き渡る歌声を発しているペギーにはもう 「出来ません」と叫んでいた面影はない。スターの貫禄なのだ。 その後のタップシーン。アップテンポは軽やかに、バラードは歌うようにタップの 音が聞こえる。
見終わって1週間が経とうとしている今、あれは夢だったのではないのかと ふと思ってしまうことがある。タップを踊る涼風がちょっと別人のようで・・・ ちょっと必死に踊ってるぞモードが見えていたけど、 かっこよかったよー。いろっぽかったよー。ずっと見続けていたかったよー(^^)

今回フィナーレとして、ドロシー、ジュリアン、ペギーのナンバーがある。 どうせフィナーレつけるなら、ダンサーの方達の迫力のタップをもう一度見せて欲しかった。 3人を除いた出演者の挨拶が終わると、ドロシーが真ん中から登場。もうこの空気の 移り変わりはすごい。一瞬にして、ドロシーのオーラに包まれる。 ここで歌う《あなたが好きになりそう》って「プリティ・レディ」の中のものだけど ドロシーの心情にピッタリの歌だなぁ。
そして、ジュリアン。劇中では演出家の役なので、踊ることのなかったニッキ、少しだけれどタップを披露してくれた。 軽快なタップを観ていると、もっと踊る役でもいいのにって思ってしまう。 ビリーの役どころをニッキがして、ジュリアンは原作通りもう少し年配の方に 渋く決めていただくっていうのは、贅沢なんだろうなー(^^)。
最後にペギー。チラシの衣装はこの時のもの。劇中劇で歌った《42nd street》 よりもちょっと自由に楽しむように歌っていた。テンポが変わるところで ふと笑ってくれる顔がもう私には最高ナノダ。

劇中劇「プリティ・レディ」のシーンはとても楽しくて、豪華。 コメディタッチのシーン、42nd streetのシーンなどは、そのまま宝塚なんかで やっていそうなシーン、頭の中ではあまりひとつにつながらないのだけど このショーも全部観てみたいって思ったのは私だけではないんじゃないかなぁ。 そう思うと、やはり贅沢なつくりの舞台なんだと改めて幸せになってしまう。 まだ公演中なのだけど、是非再演して欲しいと切実に希望するのである。 97/12/19


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1995年12月3日〜12月28日 帝国劇場 / 1997年3月2日〜3月29日 中日劇場 / 1997年8月2日〜8月28日 劇場 飛天
演出 釜 紹人/作曲 ジェリー・ボック/作詞 ジェルドン・ハーニック

SHE LOVES ME
シー・ラブズ・ミー

  CAST
	ジョージ・ノワック		市村 正親	ミスター・マラチェック	斉藤 晴彦/熊倉 一雄(飛天のみ)	
	アリマア・バラッシュ	涼風 真世	アルパ・ラズロー		石井 一孝/堀米 聰(飛天のみ)	
	スティーブン・コダリー	村井 国夫	カフェのウェイター		藤木 孝	
	ラディスラフ・シーボス	菱谷 鉱二	
	イローナ・リター	島田 歌穂(帝劇)/鈴木 ほのか(中日)/土居 裕子(飛天)
帝劇の公演を初めて観た時、すごく笑ってすごく楽しかったのを覚えている。 主な登場人物それぞれに、素敵なナンバーがあって、それを歌の上手い出演者の方が 個性的に歌ってらして…得した気分だった。

ジョージとアマリアの不思議で素敵な恋の物語…
プタペストの香水店で働く2人は、顔をあわせるたびに口喧嘩、2人はそれぞれ 顔も名前も知らない相手に手紙を書いている。 「手紙のあなたへ」で始まる手紙の相手が実は口喧嘩の相手だと知らずに…。 なんだかちょっと前の少女漫画のようなお話だなぁ。でも素敵な音楽とセット が加わると、とってもハッピーなミュージカルになってしまうから不思議だ。

幕が上がると「おはよう」の声!!マラチェックの香水店の従業員の御出勤、いい天気だから ピクニックに行きたいと、歌う。一列になってそれではクビになってしまうから だめだと歌う姿がなんだか可愛い。朝の開店準備。お客様を迎えてセールスをする様子。 これらがすべて歌でつながれていく。
オルゴール付きのシガレットケースを売って(ダイエット用のキャンディーBOXとか言って 無茶苦茶な売り方だったけど。太った女性に世の中の太りすぎの女性にピッタリですなんて 言って売るのだから完全に詐欺だなこれは)見事定員に採用されたアマリア。これで主要な登場人物がそろった。
ダンディなコダリーとセクシーなミスリター、とぼけたおじさんのシーボス、 いつも元気なアルパ、店長のマラチェック、そしてジョージとアマリア。

《三通の手紙》にのせて季節の移り変わり、あっという間に冬。街の木々の電飾を 変わるだけで見事に四季が分かる。それがものすごく幻想的で、繊細。 2階で見た時には、全体がみれて、何回も見ているのにかかわらず感動してしまった。 もう一つ上から見た時に発見したことは、宝塚で言う銀橋なるものが今回作ってあるのだけれど、 オケボックスの上に網がはってあったこと。誰か落ちたのかしらってコワイ想像してしまった。(^.^)

ジョージとアマリアがお互いの「手紙のあなた」に初めて会う日。 アマリアが歌う《Will He Like Me》は女心バッチシの歌。好きになってくれるかしら、 私の中身を分かってほしいって誰でも思うよねぇ。涼風の透き通るソプラノが 不安な女心を際立たせてる。

待ち合わせの場所「カフェ・インペリアル」素敵でした。壁の絵がとても繊細で、 本当にロマンチック。 この舞台の中で唯一大人数で、動く場面。もう無茶苦茶芸術的ともいえるセット。 そして、スタイル抜群のダンサーの色気たっぷりのダンス。盛り上がってました。 もう少し踊っていてほしいなって、思うほどかっこ良かった。背高いし、足長いしぃ〜。

出たーって 、思わずつぶやいてしまうウエイター(^○^)。やりすぎとも思える ほどの個性で、それが楽しくて、でも手紙のあなたに逢えなくて、しょんぼりしている アマリアを気遣う所なんか絶品ですね。変なんだけど、いないときっと寂しいだろうな。 バラの隠しかたが わざとらしくて、憎い!! しょんぼりとアマリアが切なく歌う《Dear Friend》で幕。

2幕、ピストルで自殺し損ねたマラチェックの病室。
アルバが自分を配達屋から店員にしてくれと、マラチェックに売り込む。 うなずきながら聞いているマラチェックの表情が好きだったなぁ。 アルバが店員として店に戻った後、一人残されたマラチェックの寂しそうな 歌がしみじみとしていてよい。

そして、なんといってもこのシーン。大スキなんだ(^O^)。 手紙のあなたに逢えなかったショックで店を休んだアマリアをジョージが訪ねるシーン。 いつも喧嘩ばかりしているジョージだから、仮病したのか確かめに来たのねって 怒るアマリア。これから行くわよって歌う《靴はどこ》。 アマリアが歌いながら洋服をポイポイ投げるその服を「寝てなくちゃだめだ」 とか言いながらたたむジョージの姿がおかしくて…回を重ねる毎にこの2人の掛け合いが 派手になってきて、喧嘩のシーンもだけど帝劇の時よりも飛天の時の方が全体的に 元気みたい。その後ジョージを思って歌う《バニラアイスクリーム》はすごいです。

このジョージの訪問でお互いのことを見直して、お互いの恋心に気づき クリスマスを迎えて、手紙のあなたのことも解決し、ハッピーエンドとなるわけ。 でも、この辺がなーんか 面白くない!! あまりに普通のうぶな人って感じで、おとなしくなっちゃって、まるで別人のよう。 仲良くなってもいいけど、「時間あったら珈琲でもどう」なんて言ってるし・・・・ ジョージが手紙のあなただって分かった時も、あの勢いのある性格はどこ??の世界。 コダリー達の恋愛が結構楽しく書かれているのに比べるとなんだか最後時間切れで はしょった連続ドラマのようだった。(良くあるよね。最終回で全てがポンポン解決してしまうやつ。)

確かに楽しくて、面白い作品。でも回転木馬の時とは反対に 、何度も見ているとチョットしんどい。新聞評などで書かれいた 舞台との一体感が少ないせということなのだろうか。 回転木馬に比べるとスケールが小さいということなのだろうか。 それでも香水店や、カフェのセット、電飾で彩られた 並木道などを見ていると、夢の世界に迷い込んだ気分にさせてくれて、 これは大劇場ならではの空間だと思う。

ジョージの市村さん。存在感ばりばりで、リキ入った話し方が楽しい。 飛天の公演ではちょっとギャグが浮いていたよな気もするけど・・
アマリアは早口です。ジョージに向かってまくしたてる場面が 結構ありまして、 よくこんなに口が回るものだと感心してしまう。 かなめさんのちょっと周りからずれた感覚がピッタリ。いつみてもピュアな感じの する方です。鮮やかな衣装がひときわ目立ってました。この2人のコンビって なかなかはまっていると思う。どちらもちょっとまんがちっく??

それにしても贅沢な配役。メンバーを初めて見た時はびっくりしたよなぁ。 それだけにみなさん売れっ子で、おまけに「レ・ミゼラブル」が再演していたので、 名古屋・大阪と変わっている役があった。個人的な好みをえらそうに述べさせていただくと、 アルパは飛天の方の方が良かったかなぁ。歌の歌詞が良く分かって、柄的には、 どちらの方も似合って居たけど。(堀米さんて、10年くらい前に劇団四季でやっていた 青い鳥でチルチルやってらした方ですよねぇ。)
マラチェックはですねぇ。斉藤さんの方が、一見険しい顔なだけに、ぽつねんと一人 病室にいたり、奥様に電話掛けたりしているシーンが、孤独っぽくて、 味があったなあ。(ジョージ怒鳴っている時はなんちゅう勝手なやつだって思うので、 そのギャップがいい)
イローナは、歌穂さんの方が好きです。これは好みだと思うし、涼風ふぁんの私の 頭で見るイローナなんですが・・・2人で歌う所があって、そこが 東京で見た時すごくかわいかった という印象で、(ピンクのスモックみたいな作業着もかわいい)その掛け合いの歌 の雰囲気とかが、合っていたような気がする。結構インパクト強く残っていた。 飛天で見た一回目の時は、土居さんだけが雰囲気違うような気がして、バタ臭いというか。おもちゃみたいな話の 中に現実が混じっているという感じがして、結構違和感を感じてました。 (その後見た時はそんなに気にならなかったのですけど??慣れたのかなぁ) 中日劇場ではほのかさん、こちらは見れなかったけど、タイプが違うので見てみたかったなぁ。

来年(1998)また再演予定という話を耳にする。 今度はもう少しこじんまりした舞台で見てみたい。


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1995年5月19日〜9月24日 帝国劇場 / 1996年4月5日〜5月26日 中日劇場 / 1996年7月9日〜8月27日 劇場 飛天
演出 ニコラス・ハイトナー/作詞・脚本 オスカー・ハマースタイン二世 / 振付 サー・ケネス・マクミラン

回転木馬
〜CAROUSEL〜

  CAST
	ジュリー・ジョーダン	涼風真世/鈴木ほのか	ネティー・ファウラー	清水 菜穂子/荒井 洸子		
	ビリー・ビグロウ		宮川 浩/石川 弾		マリン夫人		大空 眞弓/夏樹 陽子
	キャリー・ビバレッジ	吉岡 小鼓音/佐渡 寧子	ルイーズ		下村 由理恵/宮内 真理子/渡辺 美咲	
	イノック・スノウ		林 アキラ/岸田 智史	フェアグランド・ボーイ	森田 健太郎/李 波/大寺 資二
	ジガー・クレイギン		市村 正親/早川 正
回転木馬の呼び込み青年ビリーと、美しい町娘ジュリー。とても不器用にしか行きられない 2人。まだ見ぬ子のために強盗を企て失敗したビリーは、15年後の最愛の 妻と娘ルイーズのもとに、天国から戻ってくる・・・

最初帝劇で見た時の印象は正直あまり良くなかった。 一連の「レ・ミゼラブル」や「ミス・サイゴン」に比べるとなんておとなしい作品なのだろう と思っていたし、目玉である回転木馬も、すごいことはすごいが、あまりにも すごいよって聞いてから見たので驚きも少なかった。かえってアンコールの時に いきなり現れた時の方が感動していた私であった。
だから飛天で見直した時、自然に涙があふれてくる自分びっくりし、回数を重ねる毎に その感動が大きくなるのにもびっくりした。後で思うと私の中の観るという 視点が涼風モードになりすぎていたため、お話のスケールに気が付かなかった ということなのだ。(かなめさん出てきてーってそこに神経が行っちゃってような気がする) ちょっともったいないことをしてしまったと後悔している。 (>_<)

この舞台のキャストは、オーディションで選ばれた人達。プログラムを見ていると 音大の声楽科出身者、バレエをずっとやってきてミュージカル初出演というバレリーナの人に、 宝塚出身者がちらほら。 基本的に歌の場面は歌う、踊りの所は踊るという風に別れているからなのだろうか。 それだけにダンスシーンは気持ちがいいほど伸びやかで、迫力があったと思う。

お目当ての涼風ジュリー。宝塚退団後始めてみるミュージカルで、かなり期待して みたんだけど、帝劇で観た時は、声がなんだか辛そうで・・・聞いていて 気持ちが良くなるというものではなく、5ヵ月も大丈夫なんだろうかとちょっと心配になっていた。 (私が観たのはまだ幕が上がってすぐの頃です。)
その後「SHE LOVES ME」があり、飛天に来る頃には完全にソプラノの喉も出来上がって様子で、 安心してみれた。お芝居の声もまわりとなじむようになっていて、聞きやすかったし、 やはり余裕が出てきたんじゃないかなぁって思っていた。 歌よりも、良いなって思ったのぱ、ポーチシーンと呼ばれる場面。ビリーがルイーズに渡した星 を手にして、「あるのよ、ぶたれても痛くないって事が」と ビリーを懐かしむように言うところの、表情がなんとも愛に満ちているというか、 聖母のような微笑であったように思う。こんな透通るような表情をみていると、 宝塚の退団作品であったオットーのことを思い出してならない。

面白いのは私が見た帝劇の公演での公演評では、安定した歌唱力の鈴木ほのかと演技で見せる 涼風だったのに、飛天の公演評では男役を払拭するようなソプラノの涼風と演技力で魅了する 鈴木ほのかになっていたこと。時間経ってそうなったのか、書いた人の好みなのか・・・??

それぞれの役がWキャストだからその組み合わせによって、ちょっとづつ雰囲気が変わっているのも 面白かった。ビリーにしても石川さんのビリーはちょっと繊細で、マリン夫人(そう言えば、夏樹陽子さんの 化粧がきつくて恐かったな(^_^;))のような 年上の女の人にもてそうな、不安定な感じがして、宮川さんのビリーは、ガギ大将が そのまま大人になったみたいな、荒っぽい感じがしたし、キャリーの方もタイプが 違っていて、なかなかくらべてみるのも面白い 。

2人のジュリーは他のどんな役の方達よりも正反対のものになっていたと思う。 あまりに違うので、好みの問題だと思う。涼風ジュリーが良いのなら、鈴木ジュリーは 物足りなく感じるかもしれない。そう思うほど落着いた普通の女の子だった。 御自分でも何かでおっしゃっていたが、女工だという設定が良くはまっていた。 (涼風の方は、どちらかというと変わった女の子の設定がはまっていたのよ。)

マウンドシーン。ジュリーとビリーが始めて会って、愛を確かめ合う。 でも2人とも不器用で、好きだと言えずに、もしも愛したらどうなるか、 という言葉を使って話しはじめる。照れているのか、意地を張っているのか、 決して愛しているといわないのに、気持ちが引かれあっているのがわかる。 最後マウンドが舞台の奥に吸い込まれていくように入っていくのを見て、 自分が舞台の中に入り込んでいくのを体で感じていた。

ビリーにいらぬ知恵をつけて、悪い話をもってきたジガー。このひとホントに悪ですね。 演じていた市村さん、出番的には多いわけじゃないけどキョーレツな印象を残して行く。 二枚目の役でも悪い役でもチョットユーモラスな感じだなぁ。 でも結局強盗に失敗して、ビリーは死んだけどジガーって、ちゃんと逃げてるんだから 鼠のようなやつです、まったく。

ビリーが死んだのを聞きつけて、マリン夫人がやってくる。 ジュリー対マリン夫人、文句の言い合いになるかと思ったら、目でお互いを にらんでいる。そのシーンとした、間が何とも恐い。ここで、ジュリーは 初めてビリーに「愛している」というのだ。

死んだビリーは、星の番人に遣り残したことがあるのなら、 一日だけ地上に戻っても良いといわれ、自分の残してきた娘の存在を知る。 すでに地上では 15年の歳月が流れて・・・

バレエシーンはもう最高!!あの音楽の盛り上がりと共に感情が爆発して、 そのまま、最後まで持っていってしまう。日本のバレエ界を代表するバレリーナの面々で、 技術的なことはもちろん、感情の高揚がすごい。音楽の盛り上がりと共に、 最初は喧嘩をしているような感じだったのが、愛のパ・ド・ドゥに変わっていく。 こんなに自由に身体で表現できるものなのかと感動した。 この振りはへんな体制のリフトが多くて体力的に大変らしい。20分近くもある らしいが、引き込まれるように見ているとあっという間だった。

そしてポーチシーン。 この辺りになると、もう何かしら熱い気持ちがふつふつと湧いていて、興奮状態に陥っていた私。 「愛していたんだ」そうビリーが絞り出すように叫んだ時、ジュリーの心が 震えたように感じた。決して見えてはいないけど、絶対に聞こえたんだ。 卒業式で、みんなが合唱する「人生 一人ではない」この舞台を見てしばらくして見た 映画の中でミュージカルを見るシーンで、使われていて、それを聞いた時に 条件反射のように気持ちがもりあがるのを感じて、なんだか音楽って不思議だと思った。

幸運にも、千秋楽をみることが出来た。テンション高くて楽しかった。 挨拶のあと、金田んのげんこつ踊りなるものを見せてもらった・・・(^^ゞ。 アレハナンダッタノダロウ。

何度か違う友人と見に行ったのだけど、口をそろえたように「はまぐりピクニックって??」 というので、おかしかった。そんなこと私は疑問に思わなかったのだけど・・・(*_*)


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1994年7月14日〜31日 近鉄劇場
作 アガサ・クリスティ/演出 釜 紹人/訳 瀬戸川猛資

そして誰もいなくなった
AND THEN THERE WERE NONE

  CAST
	フィリップ・ロンバート	市村 正親	エミリー・ブレンド	田根 楽子
	ヴェラ・クレイソーン	涼風 真世	エセル・ロジャース	神保 共子
	アームストロング医師	若松 武	トム・ロジャース		三上 直也
	マケンジー将軍		入川 保則	フレッド・ナラコート	角間 進
	ウィリアム・ブロア		菅野 菜保之	アンソニー・マーストン	浅野 和之
	ウォーグレイブ元判事	金田 龍之介
不思議な招待状を受け取った8人の男女と雇われていた夫婦10人が、謎の オーエン氏の屋敷にあつまる。孤島の屋敷で、童謡の歌詞のとおりに一人づつ 殺されていく。お互いを疑いながらすべての人が殺され、その島には 誰もいなくなってしまう・・・というアガサ・クリスティーの小説「そして誰もいなくなった」をアガサ自身が結末を 書き換え、戯曲を書いたもの。

アガサクリスティーの作品は大好きなので、特にこの物語はお気に入りだったので、 それに出演してくれると聞いた時にはものすごくうれしかったょ。(^.^)おまけに 涼風・市村コンビだし・・・(どちらも大好きデス。(^.^))

十人の小さなインディアンの歌が、子供の声で聞こえてくる。何とも不気味なオーバーチェアー 一気にミステリーの世界に迷い込む。人が殺されていく時の効果音がたまらなく 効果的で、人は目で見て、耳で聞いて身体で感じるのだと改めて思うほど、音に 反応していた私の体。一人殺されるたびに部屋に飾って会ったインディアンの人形の首が なくなっていくのも、かなり不気味だった。

ここに集まった人達は、過去において法に触れるわけではないが、何らかの形で 他人を死に追いつめたことがある人達だった。 一日目の夕食が終わって、団欒している時にその罪状なるものが、流れてくる。 それまで、和やかだった空気が一転するのが良く分かる。 そして、マーストンの死を きっかけに、自分達の命がねらわれていること、 この島から出ていけないことを認識する。

一人づつ殺されていく。犯人は屋敷の中の人物か、もしくはまだ他に人がいるのか・・・ 緊迫したり、陽気になったり、結局2日間くらいの出来事なのだが、危機に陥った人間の 行動のパターンが、描かれていて興味深い。
そして、最後にはフィリップとヴェラの2人が残る。この後ぐらいから、原作と異なっていく
緊迫!! 目の前にいる人こそが犯人で、その犯人を倒さなければ、 自分がやられる。そんな恐怖が、ヴェラにピストルの引き金を引かした。クライマックスの 緊張感は、ものすごいものだった。赤い宗教画のようなセットの中、 普通の精神状態ではなくなっていく様子があまりにリアルで恐かった。

思いもかけず最後はハッピーエンド!! それまでの緊迫感との対比がきいて、ほっとして、体がほぐれる。 ユーモアたっぷり茶目っ気たっぷりでエンド。 でも茶目っ気たっぷりなのは、市村さんの芸風によるものが大きいなぁ〜。

チャーミングで、この舞台の華となったかなめさん。ピアノの弾き語りで、 10人のインディアンを歌ってくれた。この辺はサービスかな?気持ちが高まって おかしくなっていくところが絶品。でもよく叫ぶ役だった。あの甲高い声が 響いていた・・・・

この舞台が東京の方に行かず、近鉄劇場での約半月間で終わってしまったのは、 もったいないと思う。 かなり好みの舞台で、もっと多くの人に見て欲しかった。