2015/12/12(土)から2016/01/17(日)まで、松坂屋美術館で 開催された「海洋堂フィギュアワールド」に行ってきた。 この展示会は、ガレージキット・フィギュア・食玩等の各種模型を製作する会社、海洋堂が2014年に創立50周年を迎えた事を 記念して全国を巡回するもので東海地方では初開催。 会場は、海洋堂が町の小さな模型屋から始まった事を示すように、当時のプラモデルがディスプレイ棚に展示され、それが スタート地点を示していた。 そこから、本当に自分達が欲しい模型を求め、ガレージキットメーカーとなった海洋堂の最初期の商品や、アクション・フィギュア、 1億3千万個を売り尽くしたというチョコエッグの数々、松村しのぶ、山口勝久、竹谷隆之、榎木ともひで、BOMEという有名原型師の作品をコーナーごとに展示して、会場出口にたどり着く頃には一通り、海洋堂の歴史が判るようになっていた。 個人的には、映画「さびしんぼう」のフィギュアが展示されていたのが感慨深かった。尾道で等身大フィギュア(もちろん、海洋堂製作だ)を見た思い出も今では懐かしい。 本日(2016.01.09)は、"センム"こと、宮脇社長のギャラリートークが2回(1回45分予定)、行われ、自分は2回目に参加。 ギャラリートークがどういうものか、イマイチよく判らないままでの参加だったが、これは持ち時間45分を3つのパートに分け、3箇所の展示品の前でそれにあった トークをするという事であった。 最初こそ、海洋堂の歴史をまとめた映像をスクリーンに投射して、話をする−よくあるプレゼン形式であったが、その後は 展示品や、原型師の机を再現したセットの前でトークショーを行った。 このギャラリートークで面白かったのは、二箇所目の『情景師 アラーキー荒木智氏』の超絶リアルミニチュア情景の前での事。 このおもちゃ・フィギュア業界の裏話が披露されたのだが、基本的にはネガティブな話で興味が尽きることはなかった。 「日本人は、世界で一番、フィギュアが嫌い。お金を出さないんですよ」 と言い切り、我々、ギャラリー(観客)を強烈パンチでノックアウトすると、それは日本人の特質に拠っているというのは なるほどと至極、納得出来る話であった。 日本人のコレクター気質、例えば骨董品を飾る気質は、とてもシンプルであり(足す文化ではなく、引く文化という事か?) 日本には人形=ドールを飾る文化はない。というのも面白い。 また、日本人はフィギュア嫌いでありながらも、クレーンゲームとか、ガチャガチャなど食玩になると 何が手に入るか判らない(ギャンブル性? 福袋感覚?)という期待から、フィギュアを買ってくれるというのは自分を省みても 大いに頷く話であった。 そして 終わり際にはこの業界の厳しさ−「 元気なおもちゃメーカーは、バンダイとタカラトミーしかない。二流どころはみな潰れた。」を伝えると、確かにそうだよな。と納得せざる負えない事に、切なくなってしまった。 最後は 原型師のデスクを再現した展示を前にトークショー。 ここでは、非常に前向きな話に終始した。いわば、それは"フィギュアの未来"に繋がるものであった。 特に、現在は今までの「アナログ造形」と最新の「デジタル造形」が拮抗している状態で、それぞれが補完する形で成立している。再び、なるほどである。 フィギュア、食玩 − 今や、世界に誇る日本のサブカルチャーは一朝一夕では成り立たなかった事を、この短い時間(と言っても 結局、1時間オーバーだったが)でも感じる事が出来た。実に充実した時間であった。 |