WHITESNAKE / DEF LEPPARD
DOUBLE HEAD LINER Tour 2008


DEF LEPPARD






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 WHITESNAKEの終演直後にアナウンスされた30分というインターバルはステージ上のセッティングの慌ただしさと場内の騒然さによって時間軸を歪められ、時の進行を早めたように感じられた。
 然も、場を盛り上げるSEもTHIN LIZZYCHEAP TRICKというこのライヴに参加しているファンなら誰でも知っているヒット曲を選び、WHITESNAKEで暖められた”熱”を逃さない。
 特にAC/DCの「For Those About To Rock」が掛かった時などは、迫力ある低音で会場である日本ガイシホール全体が揺れた程であった。
 いわば、”休憩時間”さえもライヴだった、と言っても差し支えないだろう。
 しかし、そんな時間さえもあっさりと破られた。
それも開始予定時刻を4分も早くである。



 場内が暗転。ドラムセット後方に位置する大きなスクリーンにユニオンジャックの映像が掲げられたかと思えば、大音量でギターの爆音、流麗なタッピング・フレーズがホールを駆け巡った。
 それはエディ・ヴァン・ヘイレン「Eruption」を彷彿とさせ、その音をバックに、スクリーンではDEF LEPPARDの結成当時からの歴史が早送りで紹介された。
 WHITESNAKEではあんなにショボかった映像効果が、このDEF LEPPARDでは冒頭から段違いである。実に素晴らしい。
 正しくショーそのもの。結成年の1979年から順々にアルバムタイトル、ソングタイトルと共にカウントアップ、目まぐるしい映像の中、今年−2008年を指し示せば目映いばかりの白い文字が投射され、メンバーがそれを背にするように現れた。
 WHITESNAKEはステージの両袖からの登場と地味なものであったが、DEF LEPPARDはドラム後方に控える階段から降りてくるという粋な登場の仕方となっていたのだった。
 スクリーンにニューアルバムの「The Sparkle Lounge」のタイトルと共に最後に「DEF LEPPARD」の特徴的ロゴを映し出されると、ボーカルのジョー・エリオットが「Guitar-!」と叫び声を上げた。
 パワーコード一発。鳴り響いた。


 1曲目は「Rocket」
当然ながら、「Rocket Yeah 〜 !」と会場は大合唱である。
 ライヴスタートにはまずはもってこいの選曲だとDEF LEPPARDライヴ初体験の私には思えたのだった。
 2曲目も馴染み深いヒット曲「Animal」だ。スクリーンに映し出される映像もアメコミっぽくPOPでカラフル。ボーカルのジョー・エリオットも花道中央でボーカル全開、サビ部分で手拍子を煽った。
 矢継ぎ早に流れ込む3曲目「C'mon C'mon」「The Sparkle Lounge」からの曲である。非常にノリが良く、ここでも客席 を煽るようにジョーは両腕を大きく開き、頭上で手を叩いた。
 我々もすかさずそれに合わせ同じように手拍子を開始したのだった。
 「C'mon C'mon」の後、一旦、ステージが暗転するも、4曲目「Make Love Like A Man」はすぐさま始まった。
 ミディアムテンポの曲で、冒頭からの勢いもしばし、クールダウンか。
 そして、この曲の前ぐらいだっただろうか。ステージの両脇を固める二人のギタリストのうちの一人−フィル・コリンは既に上着を脱ぎ腰だめにして上半身裸となって引き締まった身体を見せていた。
 「Make Love Like A Man」をリック・アレンの印象的なドラミングで終えると本日初めて、ジョーがMCに立ち、「ドウモ アリガトウ」とJapanツアー最終日に際しての感謝とWHITESNAKEへの謝辞を述べた。
 もう一人のギタリスト、ヴィヴィアン・キャンベルの紹介と共に始まった「Mirror,Mirror」は懐かしき「High 'n' Dry」からの選曲。紹介通り、ヴィヴィアンがソロのイニシアチブを取りながら、フィルとのユニゾンフレーズのコンビネーションもバッチリ。エンディングの早弾きではフィル が華を添えた。
 「ドウモ アリガトウ ナゴヤー」のジョーのMCと共にスタートした「GO」「The SparkleLounge」収録の新曲。同時にアルバムトップを飾る曲でもある。
  DEF LEPPARDっぽくないと言えばいいのか、中近東的なギターフレーズとやもすれば重厚なリフが絡みあいニューアルバムを聴くことなく参加しているファンにとってはやや面食らっているようにも見えたのは興味深い事であった。
 しかし、次の「Love Bites」は事情が全く異なっていた。しっとりとジョーが唄い上げながらそれをサポートするフィル、ヴィヴィアン、リック(サヴェージ)そしてドラムのリック。
 甘美なメロディに効果的に切り込んでくるフィルとヴィヴィアンのオブリガードとソロフレーズにみな聴き惚れてしまったぐらいであった。
 特に後半のソロはヴィヴィアンの一番の見せ場だったと思う。
 ジョーのMCの間に花道の先にはフィル、ヴィヴィアン、リックがアコースティックを持って集まってきた(リックはそのままのエレキベース)。もちろん、ジョーもアコースティックを抱えている。ジョーを取り囲みように3人が立ち、始まったのは「Two Steps Behind」。初期の名曲である。
 私は事前にYouTubeでこの光景は見ていたが、目の前でこのように実際に演奏されているのを見ると、感動はより深いものとなった。


 名曲はまだまだ続いた。
 それは私が最も聞きたかった曲の一つ「Bringin'on the Heartbreak」
ジョーの「one、two、three」のカウントのもと、叙情的なアルペイジオが奏でられると抜け目ない観客の耳はすかさず反応し、一斉に歓声が挙がった。
 フィル、ヴィヴィアンのギターからの繊細なコードアルペイジオがこの曲の世界観を体現していたのだった。
 ただ、名古屋の客にはハードルが高すぎたのか「Bringin' on the Heartbreak」のコーラス部分ではほとんど声が出なかったのは今更ながらに残念に思った。
 確かに、高音部はキツいのだが.....。
 曲後半は一転して、エレキセットへと繋がり、激しいロッカバラードへと変化した。
 流れはそのままに今回のライヴ、唯一のインスト曲「Switch 625」へ。
 つまり、ギタリスト二人のソロコーナーでもある。
 この曲を聴くと、誰もが亡くなった元メンバー、スティーヴ・クラークを思い出す人が多いと思うが、あれから17年。そんなにも時が流れたのか信じられなかった。エンディング近くには、リックのドラムソロもふんだんに披露され、 大スクリーンにもその様子が投影されると私には胸に熱いものがこみ上げてきたのだった。(付け加えるならば、この時、リックは裸足でペダルを踏んでいる、ということを発見した!)
 11曲目は伸びやかなギターのロングトーンで始まった。
これもまた超がつくぐらいの有名曲−「Hysteria」は言うまでもなく、DEF LEPPARD黄金期の曲である。それだけにその当時の記憶とMTVでよく掛かっていたPVがリンクし、脳裏を掠めていった。客席を煽るジョー・エリオットの

 「Are You Ready」

という叫びが契機となった「Armagdon It」も「Hysteria」に負けぬヒット曲であり、この畳みかけるようなヒット曲の連続に私ばただただもう震えるばかり。
 ステージを左右に激しく動き回るジョーのパフォーマンスも観客を盛り上げる為の後押しとなった。また中間部のソロを取ったヴィヴィアンのギター(ゴールドトップだったと思うが)がライトを浴びキラキラと眩しかったのも印象的であった。
 13曲目。やっぱりコレだろう。ディストーションの掛かったギターが掻き鳴らされた瞬間、嬌声とも怒号ともつかない声がアリーナにこだました。
 「Photograph」はそのタイトル通り、後方スクリーンではバンドメンバーの若かりし頃の写真が何枚も次から次へと飛び出してくるような凝った演出が施され見た目にも美しく楽しい。まるで3D映画を見ているような感覚さえ覚えたぐらいだ。もちろんコーラス部分は大合唱である。
 「Photograph」はその後、途切れなくメドレーのように「Pour Some Suger On Me」へと繋がった。激しく点滅するフラッシュライトの中、花道で唄うジョー。コンダクターのように腕を振り上げサビの部分を観客に唄わせようとし場内のカメラは、時折、そんな客席を捉え、スクリーンに大写しとなった。
 ジョーの短いMCの後、「Rock of Ages」があのお馴染みのキャラクターボイスと共に始まった。スクリーンではユニオンジャックが大きくはためき、ジョーは我々に手拍子を促した。即座にそれに反応しここでも「What do you want?」や「Rock of Ages」の歌詞部分で大合唱となったのは言うまでもない。

 「ナゴヤ ドウモ アリガトウ」

というジョーの挨拶の後、リックのカウントに合わせるように演奏は終わりを迎えた。





 それから数分間、アンコールを求める拍手が途切れる事なく続いた。


 メンバーがステージに帰還し、最後にジョーがその姿を現すと同時にリックがドラムを激しく”再起動”。

 「Say Yeah〜」

というジョーの煽りと我々観客とのコール&レスポンスが幕開けとなって「The Spark leLounge」収録のR&R ナンバー「Bad Actress」は勢いよく始まった。
 CDで聞いていた時は、単なるノリが良いだけと思われたこのナンバーもステージで再現すれば実にライヴ映えする曲であった。
 ヴィヴィアンからフィル、フィルからヴィヴィアンに戻るソロ回しも見応えのあるシーン−こういう演出があるのでツインリード−ギタリストが二人居るバンドは堪らないのだ。という事を改めて認識させられた。

 「Do you wanna get rocked? 」

 誰もが予期していたかのように、低音を効かせたジョーの声が場内に響き渡り、「Let's get, let's get , let's get」と呪文を唱えるが如くエコーを効かせながら木霊すれば、次の曲の登場を心待ちにしたのだった。
「Let's Get Rocked」は、遂にステージと客席が一体となったことをはっきりと判らせてくれた曲でもあった。
 「Let's get, let's get , let's get, let's get rocked 」
 歌詞が判りやすいこともあったのだろう。WHITESNAKEファン、DEF LEPPARDファン関係なく、皆が大きな声で唄ったのだった。


 結局、「Let's Get Rocked」が本日のライヴのオーラスとなり演奏終了後には、花道の先に居たジョーの元にバンドメンバーが集まってきた。
 客席に笑顔を振りまき、各々が各々が思うようなパーフォーマンスでアピールしている。しかし、そんな中に唯一、リックだけが加わろうとはしなかった。
 さすがに客席の声に押されたのか、ドラムキットを離れたリックは花道へと歩み寄ってきた。それも”恥ずかしくて仕方がない”という照れながらの登場である。
 リックがこんなShy Boyだとは今まで全く知らなかったが、この古風な日本女性を思わせる奥ゆかしさ(?)に好感度が上がったぐらいだった。


 Don't forget us!
 We won't forget you!
 サヨナラ




 鳴り止まぬ拍手の中、ジョーがこう挨拶をしメンバーはステージを後にした。












 Japan Tour最終日にしては、残念ながらあまり芳しくない客席の動員であったがジョー以下、バンドメンバー達はそんな状況でも一切、手を抜くこともない熱演であった。
 それはもちろん、WHITESNAKEでも言えたことであるがあの華やかなROCK SHOWはまた見てみたいと思わせるには十分なライヴであったと思う。
 だから、余計にこれに懲りずに名古屋には来て欲しいと願うばかりである。


 「我々も君達を忘れない (We won't forget you) 」という言葉を信じて。











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DEF LEPPARD
1Rocket
2Animal
3C'mon C'mon
4Make Love Like A Man
5Mirror,Mirror (Look into My Eyes)                   
6Go
7Love Bites
8Two Steps Behind
9Bringin' on the Heartbreak
10Switch 625
11Hysteria
12Armagdon It
13Photograph
14Pour Some Suger On Me
15Rock of Ages
・・・Encore・・・
16Bad Actress
17Let's Get Rocked











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