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14曲目はうって変わってスローブルーズ。 クラプトンのクリーントーンのフレーズではじまるこの「HAVE YOU EVER LOVED A WOMAN」は途中、GREG PHILLINGANESのハモンドオルガンなどが曲の新たな調味料となって その後、怒濤のギターソロを盛り上げていた。ここでのギターソロは今回の「SHE'S GONE」に続く素晴らしく第二のハイライトといっても過言ではなかった。 (私は3列目なのに ここで双眼鏡を取り出しじっくりと観察、何フレットのどこを押させているかまで穴があくぐらい見、スポットライトを浴び光輝くクラプトンを神々しくさえ感じた。) 「HAVE YOU EVER LOVED A WOMAN」が終わり、ややブレークがあって始まった またまた超がつくほどの有名なギターリフ。 JJ・ケイルがオリジナルの「COCAINE」である。さあ ここで観客みな立ち上がるぞ!と後ろ振り返ってみるものの誰も立つものがいない。あれっ?おかしい、こんなはずでは....と戸惑いの中、曲もあっという間に終わってしまった。サビの「COCAINE〜♪♪」というところでも腕を振り上げている者もほとんどいないしなんかノリが違うことに残念に思えて仕方がない。 もうひとつ気分が乗りきらない中、ゆったりとギターのアルペジオで始まった16曲目は、印象的なチョーキング(ベンディング)のフレーズが聞こえてきた時点で観客の歓声が一段と大きくなる。 大好きな曲「WONDERFUL TONIGHT」だ。 この曲ではクラプトンのギターと共に何と言っても中間部の女性コーラスのスキャットが魅力的だったのだが、今回ははじめてそのお馴染みの女性コーラス隊がいない。 どうなるのかと思えば その部分をDAVIDのキーボードが担当するようだ。 先程からちょくちょく登場して気になっていたのだがDAVIDはなにやらチューブのようなものを口にくわえてそれがどうもキーボードにつながっているらしい。 一見するとピアニカのようにも見えるのだが、Rock的に言うならばJEFF BECKやBON JOVIのRICHIE SAMBORAが使っていたトーキング・モジュレーターのようなものみたいだ。(後日、クラプトンのファンサイトのBBSで教えて頂いた情報によると これは「ブレス・コントローラー」というものでシンセサイザーにパイプを繋いで、吹いた強さで音量や音色をコントロールするものらしいです。) 音色はサックス系の音で面白い試みであったように思える。が、今回、ステージと近いのだからKatieおねいさんら女性コーラスの方々のお姿も拝見したかったというのも本音であった。 このシンセに続き、勢いよく始まるクラプトンのギターソロで「WONDERFUL TONIGHT」も無事終了。 数秒のブレーク後、薄く聞こえてくるシンセのSE。それに覆い被ってくるかのようなクラプトンのクリーントーンなフレーズ。 一瞬、何も音が聞こえなくなった状態で始まるあまりにも有名すぎるぐらい有名なギターリフ。 やっときた!!「LAYLA」だ。 自分にとってクラプトンと本当の出会いの曲、思い出の曲。 この曲をこんな近くで聞くことが、見ることが出来るあまりの感動に涙が出そうになってくる。周りを振り返れが他の客もほとんどが立ち上がって歓声を上げている。ようやく他の客とも波長がシンクロしてとてもうれしい気分だ。 この「LAYLA」はもともと2曲を1曲にまとめたというのは有名な話だが、前半部のギターソロまでの流れはいつもながらに素晴らしく中間部のピアノソロ以降も前半以上に素晴らしいものだった。 GREGは2台のキーボードを器用に使い原曲の雰囲気を壊さないものだったし、それにゆったりと入ってくるクラプトンのオブリガードもいつもながらのもの。我々が長年、聞き慣れた「LAYLA」が正にそこにはあった。そんな感じである。 そして あっという間にエンディング。 クラプトンはこの曲が終わると同時に笑顔で手を振りながらステージを降りていった。 それから3分間ぐらい経っただろうか、アンコールを求める歓声と拍手の中、スポットライトを浴びてクラプトンが再び登場。ステージ中央のマイクに近づきながら クラプトンのギターから弦をスライドぎみに繰り出されてきたギターリフ(なんか今回、このフレーズばかり使っている気がするが)。 CREAMの名曲、ロックのスタンダード「SUNSHINE OF YOUR LOVE」だ。 自分もかねてから練習でよく弾く為、自然と指が動いて同じようにリフを刻んでしまう。 いつもがらのフレーズ、そしてスリリングなソロ。多分、これからいつまでも語り継がれていくことだろう。 ステージ、客席共に大いに盛り上がった「SUNSHINE OF YOUR LOVE」の後、観客が注目する中、ステージ中央に再び椅子が用意される。 クラプトンはその椅子に腰掛け、ギターテクからギブソンL5-CEが手渡された。 やがて始まる穏やかな、ムーディな曲を奏でるクラプトン。正につま弾くという表現がぴったりくるクラプトン自らがバンド紹介をGREG PHILLINGANES〜ANDY FAIRWEATHER LOW〜STEVE GADD〜NATHAN EAST〜DAVID SANCIOUSの順で進めていく。(STEVE GADDに一段と大きな拍手と歓声が挙がってました) 後にNATHANがクラプトンを紹介、もちろん最も大きな拍手と歓声が挙がった。 すぐにクラプトンが歌い始めた「Somewhere over the rainbow♪♪〜」。 「こんな曲もやるんだ」という観客一同の驚きにも似たどよめきが挙がった。 「SOMEWHERE OVER THE RAINBOW」と言えば映画「オズの魔法使い」で有名であるが ことRockの世界ではRainbowがライヴのイントロでこの曲をやっていたり、Impellitteriがインストで演奏していたりと馴染み深い。だがクラプトンがこのような形で演奏するとは非常に興味深いことである。 実はネットの情報で事前に演奏することは知ってはいたのだがこんなアレンジで演奏するとは思いもよらなかっただけに 曲調の心地よさと共になにか良いものを 聞かせてもらった感じである。 和んだ雰囲気の中 「God Bless You Thank You very much〜」とクラプトンが観客に向かって叫び曲も終了、とうとうライヴが終わってしまった。 ステージ上では メンバー全員が並んで3回ほど頭を下げ挨拶、クラプトンは先程と同じように笑顔で手を振りステージを去っていった。客席では 名残惜しいファンが再びアンコールを求める声も上がっていたが、客電がつき現実に引き戻された様は まるで浦島太郎が竜宮城から古里に戻り玉手箱を開けてしまったかのような感じにも似ていた......。と言ったら大袈裟すぎるだろうか。 あれだけ楽しみにしていたクラプトン最後の??日本ライヴも始まってしまえばあっという間。充実の2時間あまりであった。 思えば友人との久しぶりの再会(帰りは長い間、待たせてしまって申し訳なかったです)、手が届きそうなくらいの距離でのクラプトン御大との接近遭遇、「SOMEWHERE OVER THE RAINBOW」の意外なアレンジ...など色々なことがあった今回のライヴ。 もう大々的なワールドツアーは行わないとクラプトン自身は宣言しているが有名な日本贔屓だけに、またこの地に帰ってきて欲しい、帰ってきてくれることを信じたいそんな素晴らしいライヴであった。 |
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