ERIC CLAPTON
REPTILE Japan Tour








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 2001年11月30日 この日の事はしばらく忘れられないだろう。



 そう、この日、かねてから健康状態が懸念されていた元ビートルズのリードギタリスト ジョージ・ハリスンが遂に天に召されてしまったからである。
 私はこのニュースを会社帰りに立ち寄った海賊盤専門店で店長に知らされたのだが、予想されたとは言えその現実にしばらく声も出なかった。
 元々、海賊盤専門店を訪れたのも、一週間前行われたエリック・クラプトンのナゴヤ公演の海賊盤が出ているかなと思い、探しにいったのだが店内で掛かっていた10年前にクラプトンを伴って行われた唯一のジョージ来日ソロ公演曲(ナゴヤ公演)が流れていてイヤな予感もしたのだが案の定だった。
 自分もその10年前のナゴヤ公演に参加していた為懐かしくもあったが、今となっては悲しさばかりが胸をついたのである。 


 前置きが長くなってしまったがそのクラプトンのナゴヤ公演が行われた11月24日に時計の針をここで戻してみようか.....。





 ライヴ当日はWeekDayの土曜日ということもあって このライヴの為だけに準備をし、開演PM6:00に間に合うように4:30前には自宅を出発。
 赤みがった夕焼け空に吸い込まれそうになりながら地下鉄の駅まで自転車を走らせた。
 そんな駅までの道すがらクラプトンとの出会いを記憶を辿ってみる私。

 ●「デビュー25周年のエルトン・ジョン、マーク・ノッツプラーと行った豪華なジョイントライヴ」
 ●「ジョージ・ハリスンのバックにまわった印象的なライヴ」
 ●「長髪のクラプトンが格好良かったJourneyman Tour」
 ●「アンプラグドでBreak直後の93年のライヴ」
 ●「6年ぶりに見た 一昨年のBestライヴ」


 と その時々のクラプトンの勇姿が蘇ってくる。

 そして クラプトンと”出会ってしまった”記念すべき「LAYLA」
 10年以上も前、(多分TDKの)CMに使われていたこの曲に心を付かれクラプトンの魅力に取り付かれてしまったのだ。


 なぜ そんなことに思いを馳せたのかと言えば、クラプトンが今回のライヴツアーで大規模なライヴからの引退をほのめかしているからなのである。ということは これでもしかしたら見納めなのかもしれないのだ。感傷的になるのも仕方がない。
 そんな思いを引きずりながら 会場である『愛知県体育館』がある市役所駅に到着。降りる者はほとんど会場に向かう客ばかり。
 駅を出ると、日はどっぷりと沈み真っ暗でダフ屋の「余っている券買うよ」の声が喧しい。
 愛知県体育館は名古屋城のお堀の中に位置しているのだが、そこまでに至る道のあちこちにクラプトンの海賊Goodsの他に ライブ客を当て込んだ焼きそばやたこ焼きなどの露天がでていて そこだけ明るくなっている。
 私はそんな類の店には目もくれずに会場に急ぎ、お堀を渡ってようやく愛知県体育館を視界に捕らえることができた。
 しかし、会場に近づくまでに自然と出来た列になぜか 懐かしき友人にとても良く似た二人連れを発見。自分のすぐ前を歩く二人はどうみてもその友人に見えて仕方がない。会場前に到着してからもその疑いはより深くなり 疑いはやがて”確信”へと変わった。
 「そうだ 携帯に連絡してみればはっきりするんだ!」
すかさずカバンから携帯を取り出し、メモリーから番号を呼び出し連絡する。
 しかし返ってきた言葉は「現在この電話は使われておりません......」
万事休す。
 とりあえず 離れたところから顔がはっきり見えるところまで移動して その二人組を観察してみると あちらもこちらを発見したようでどんどんこちらに近づいてくる。この時確信は”絶対”へと変化した。
 そして 自分から出た第一声はなぜか「やっぱりー!」(イントネーション注意(苦笑))
 Night Ranger復活ライヴでも一緒に行った二人とこんな場所で再会出来るなんてのもクラプトンのライヴならではであろう。
 Van Halenライヴ以来の再会を喜び、しばし最近の状況などの雑談をして会場入りする前に私はまずマーチャンダイズ(Goods)のコーナー入場への長い列に加わった。
 Goodsに関しての情報はすでにHPでチェック済みであるが 少しだけTシャツと限定生産であるクラプトンフィギュアが気に掛かる。
 5分ぐらい並んでようやく人でごった返す売り場へと入ったが とりあえずは定番のコンサートパンフは購入。黒いボックスに包まれ、かつビニールコーティングされている為中身は容易に見ることは出来ない。そのビニールコーティングの上には「AICHI GYMNASIUM November.24」とこの会場だけで手に入れることの出来る証のシールが貼ってあった。picそれから気に掛かるTシャツもシンプルで良かったが値段もはるので見送り売り場から早々と退散、友人二人がいるところへ戻っていった。(ちなみにフィギュアは見あたりませんでした)
 その後、ほどなくしていよいよ会場入り。お決まりのカメラチェックを受け、中に入るとこれまた定番の今回の主催元であるウドー音楽事務所-CBC文化事業部のライヴ告知、申し込みなどが行われている。来年のナゴヤドームでのエアロスミス、ザック・ワイルドがメンバーに復活したオジー・オズボーン公演などHR/HMファンには また散財する季節の到来のようだ。
 トイレタイムの後、客席に入っていくと席の並びは2年前とほとんど変化もなくオーソドックスな感じ。KISSのようにライヴ途中でステージからアリーナ中央のセカンドステージに飛んでくる訳でもないので あたり前か。
 友人二人の席を確認して 私は自席を求めいよいよアリーナの前の方へ歩み寄っていく。

 なんと言っても今回は2列目という自分のライヴ歴史上希にみるGoodな席なので期待度は非常に大きい。そんな期待とワクワクは自席に近づくにつれより膨らんだ。若干中央から左寄りなものの ステージからほんと近い!マイクのセッティングの様子からして どうもクラプトンの長年のパートナー、ANDY FAIRWEATHER LOW の真正面のようだ。
 そんな最高の席に着いて あらためてステージの様子を見回してみると今回のセットもぐっとシンプルなもの。ステージセットにありがちな装飾も全くなくただギター、ベース、シンセのアンプやらモニタースピーカーが整然と並んでいるだけであった。まあ この人に派手なセットは似合わないので当然であるが...。

 開演までは まだしばらく時間があるということでいつもながら時間潰しの文庫本をカバンから取り出す。今回持参した本は トマス・ハリス作「ブラック・サンデー」
 トマス・ハリスと言えば、「羊たちの沈黙」やその続編で今年映画公開された「ハンニバル」で有名だが この「ブラック・サンデー」はそんな彼のデビュー作でもある。

 〜「ブラック・サンデー」についてここで少し紹介しておくと いわゆるパレスチナ・ゲリラのリアル・テロリアリズムものとでもいうのでしょうか。実在のテログループが登場しているということでその後、映画製作されたものの政治的な問題(脅迫があったらしい)で日本公開は見送りになったという曰くがありました。
 唯一ビデオ発売された映画本編でもゲリラによるアメリカへのテロ攻撃が描かれていたので 9月11日に実際に起こった同時多発テロにもつながりが感じられるこの著作に私は興味を持ち最近、読み始めたのです〜




 会場では ここ最近クラプトンと活動を共にすることが多い、クライミー・フィッシャーとの覆面バンド「TDF」の曲も流れていて気分は既にライヴモード。
 そんなこともあってか、はたまた先程友人と偶然にも再会したことなどがあって本のページをめくるもののなかなか内容が頭に入ってこない。
 そうこうしているうちに会場内には女性の声で「間もなく開演です...」のアナウンスが入りほどなく会場が暗転、その時、時計の針は6時7分を指していた。



 そして なんの予兆なくスポットライトを浴びながらマーティンのギターOOOEC24(クラプトンシグネイチャー)片手にたった一人で現れたクラプトン。白のシャツにブルーのジーンズでにこやかに手を振り、それに対して大きくわきあがる歓声。
 でも それに不釣り合いなぐらい派手な演出も 効果音も全く無し。この人の場合、いつもながらのことだがアンプラグドセットをライブの冒頭に配置すると特にこうである。ステージ中央に用意された椅子に座っておもむろにマイクに近づき”神様の第一声”

「コンバンワ。Good Evening」

 これまた いつもながらの日本語MCである。
 そんないい意味で緊張感のないアットホームな感じな中、マーティンの様子を確かめるようにつま弾きながら始まった1曲目。それはデレク&ドミノス名義の名盤「Layla」にも収録されている「KEY TO THE HIGHWAY」だった。
 2年前のライブでは「BELL BOTTOM BLUES」がアコースティックな曲になっていて大きな驚きを覚えたが 今回のこの曲はその衝撃に次ぐ選曲であると思う。ただこんな近くなのにクラプトンの前にあるモニタースピーカーが邪魔で肝心なギターを弾いている手元が全く見えない。しかし、マーティンから弾き出されてくる音からも1曲目からかなり力の入った演奏であることは確か。それゆえにこちらもなんだか鳥肌が立ってきてしまった。
 クラプトンの一人舞台であった1曲目が終わると どんどんバンドのメンバーがステージにあがってきた。
 真正面には黒シャツのANDY FAIRWEATHER LOW 。そしてそのやや後方のキーボードとハモンドオルガンには黄色のシャツがまぶしい、お懐かしきGREG PHILLINGANES。ドラムは名手のSTEVE GADD、そして向こう側のキーボードには新入りのDAVID SANCIOUSともうすっかりお馴染みの陽気なベーシストNATHAN EASTが位置している。
 クラプトンは先程までのマーティンからギブソンのセミアコ(フルアコ?)L5-CEにチェンジし、2曲目「REPTILE」の演奏が始まった。この曲はニューアルバムのタイトルトラックであるが 今までのクラプトンの歴史の中でも 演奏されることのなかったタイプの曲(だってボサノバ、あるいはブラジリアンな曲調ですから)なので どんな風にライブで再現されるのか興味津々であったのだが比較的CDに忠実であった。だがライブならでは とても力強く、またテンポも早く小気味よい。余談だがこの曲の途中ですぐ自分のすぐ後ろの客から「ゴンチチみたい」と言っていたのを小耳に挟んだのが なるほど確かにゴンチチと言えなくもない。ただ、こちらのクラプトンの方が遙かにヘビィであるけれど...
 3曲目へも流れるように進み、曲はニューアルバムから「GOT YOU ON MY MIND」。ここでギターを再びマーティンにチェンジ。
CD同様 ギターの音色と共にライヴではクラプトンの声が栄える。その昔、声が細いと言われていたなんてことが信じられないくらいだ。ここ数年、ギタリストよりもボーカリストに重点を置いているクラプトンならではという感じであろうか。
 3曲目が終わり、多少静寂な時が流れて有名なイントロのリフが聞こえてきて「ワアー」と盛り上がる観客。アンプラグドという言葉を、概念をこの世に知らしめたと言っても過言ではない「TEARS IN HEAVEN」である。
この曲自体、クラプトンが亡き息子、コナー君に捧げたというものなので大騒ぎするものではないが(実際、クラプトン自身、最初の頃はこの曲の演奏で盛り上がることにひどく嫌悪感を感じていたらしい。最近は楽しんで演奏できるらしいけど)
 ところどころ歌の節回しを変えていたこともありとっても良かった。
 以前も書いたが私自身、この曲を余り好きではないのだが ライヴならではのアレンジを加えていくスタイルは良かったと思う。


 5曲目は ネットの情報で判ってはいたけれど「LAYLA」
これもアンプラグドよりはエレキ版の方がずっと好きだし、盛り上がるのだがこれで最後かもと思うとある意味貴重と思い静かに聞くという感じになる。でも自然と歌詞が出てきてクラプトンと一緒に歌ってしまう自分がそこにはいるのだが。
 アンプラグドコーナーはその後も流れるように続き、次の曲は「BELL BOTTOM BLUES」
 前回のライヴでも同じくアンプラグドで演奏され「えっ!この曲をアンプラグドで」でと非常に驚かされた選曲であったが 今回も前回同様、白眉の出来。素晴らしい。
 今後ともこの曲はこのスタイルで演奏されていくことになるのだろう。(でもエレキ版もたまには聞いてみたいものでありありますが)
「BELL BOTTOM BLUES」でグッと盛り上がった後は STEVE GADDのカウントと共にクラプトンのギター、ANDYのギター、NATHANのベース、GREGのハモンドの音が順々に足されていき音が厚くなったところで聞き慣れたリフのイントロが流れ出す。
 これまた大ヒットした「CHANGE THE WORLD」の始まり。
 個人的にも大好きな曲であるだけに盛り上がる。盛り上がる。それに呼応してか?どんどん曲もリズミカルに早くなって足でノリを感じているクラプトンの様子も垣間見れる。
 アンプラグドをノリの良い「CHANGE THE WORLD」で締めたクラプトン御大はここでいよいよエレキに持ち替えた。
 ギターテクが用意したギターは今まで雑誌などでは一度も掲載されたことのないサイケデリックペイント(赤・青・オレンジ)を施された一本。以前から見かけたことのあるサイケペイントのストラトギターは その昔、CREAM時代に使っていた有名なサイケデリックペイントのギブソンSGを 現在の所有者であるトッド・ラングレンが演奏しているのを偶然見て懐かしく思って作ったそうだが今、目の前で弾いているギターはより昔のギターに近づき派手な感じになっている。ブラッキー一筋だった頃に比べると大きな違いだ。
 そんなギターから繰り出された8曲目は「RIVER OF TEARS」。クリーントーンで静かに始まるこの曲は中盤からCD版と全く違った展開を見せ、弾きまくりの曲に変わっていく。前回も最も”弾きそうもない”曲が”弾きまくり”の曲に大変身していたうれしい誤算に非常に驚かされたものだが、今回もそれを継承しているのはうれしい限り。
 「RIVER OF TEARS」の盛り上がりは9曲目「GOING DOWN SLOW」にも続き、後半のギターソロは間髪入れずに次の「SHE'S GONE」へのリフへとつながっていく。
 そしてこの「SHE'S GONE」が自分にとって今回のライヴのハイライトであった。
 前回のライヴ同様、激しく弾きまくる曲であったのだが今回も後半のソロなど よりいっそう激しさが増して スライドを絡ませたプレイではギタークラッシュでもするのだろうかという程の勢いがあった。
 それにソロのフレーズに自分でもひょっとしたら弾けそう、または即興的に弾くかもという音使いが感じられとっても心地良かった。クラプトンが弾いているのに あたかも自分がステージで弾いているかのような不思議な感覚..とでも言ったらいいのだろうか。それだけに「SHE'S GONE」演奏中は自分にとって至福の時でありました。
 大きな盛り上がりを見せた「SHE'S GONE」の次、「I WANT A LITTLE GIRL」は一転して静かにピアノで始まるボーカル主体の曲。クラプトンのボーカルの良さが光る。
 昔は線が細いなどと言われたクラプトンのボーカルだが、今や”ギターもうまいボーカリスト”と一般的には思われているのはなんて皮肉なことなのだろう。まあ これも「アンプラグド」のヒットが要因なのでありましょうが.....
 現在のクラプトンの立場を見事に表しているかのような「I WANT A LITTLE GIRL」が終わって矢継ぎ早に聞こえてくるこれまたロックレジェンドなギターリフの曲。
 ジョージ・ハリスンとの共作曲「BADGE」だ。


 クラプトンがジョージと出会ったのは色々な文献を紐解くとヤードバーズの頃、もちろんジョージはビートルズのメンバーだった。それから30年以上の長きに渡って まるで兄弟のように交流を続けてきた聞く。時には兄弟喧嘩もして(ジョージの前妻、パティとの三角関係など)反目し、それでいてお互いの作品に参加して培った友情関係は凡人には非常に判りずらいものがあるのは仕方がない。(言っちゃなんだが カミさんを友人に寝取られて....続く友人関係なんて!?)
 また昨日、たまたま本屋でジョージ関連本を立ち読みして知ったのだが、ジョージとクラプトンはその後も、また同じ女性を共有!!したことがあったそうだ。
 それが「TEARS IN HEAVEN」「CIRCUS LEFT TOWN」で歌われた愛息コナー君の母親だったとか。驚愕の事実になんとも言葉も出ない)



 そんな思いを持ちながらこの曲を聴くとなんだかとても感慨深い。そして曲のラスト近くキーボードを大胆に導入したアレンジも新機軸と言えるのではないだろうか。
 そして「BADGE」が終わると同時にSTEVE GADDがドラムのスネアを連打して始まったのが ここ最近の定番「HOOCHIE COOHIE MAN」。アルバム「From The Cradle」にも収録されていたマディ・ウォーターズで有名なブルーズナンバーだ。クラプトンにとってこの曲を演奏するのは今夜で何回目なのだろうか?
 何百?何千? おそらくそれぐらい知り尽くした曲ではないだろうか。そんな余裕の演奏ぶりであった。



まだまだ続く






SET LIST
1KEY TO THE HIGHWAY (acoustic set)
2REPTILE (acoustic set)
3GOT YOU ON MY MIND (acoustic set)
4TEARS IN HEAVEN (acoustic set)
5LAYLA (acoustic set)
6BELL BOTTOM BLUES (acoustic set)
7CHANGE THE WORLD (acoustic set)
8RIVER OF TEARS
9GOING DOWN SLOW
10SHE'S GONE
11I WANT A LITTLE GIRL
12BADGE
13HOOCHIE COOHIE MAN
14HAVE YOU EVER LOVED A WOMAN                   
15COCAINE
16WONDERFUL TONIGHT
17LAYLA
・・・Encore ・・・
18SUNSHINE OF YOUR LOVE
19SOMEWHERE OVER THE RAINBOW











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