JOE SATRIANI
STRANGE BEAUTIFUL MUSIC Tour








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 ギタリスト Joe Satriani の魅力って何だろう?




 ふと そんなことを考えてみる。


 私的には「判りやすいメロディラインである」と断言出来るのだが みなさんはどうだろうか?
 Joe Satrianiがやっているような音楽は(例外を除いて)ほとんどが歌の無いインストであり 歌メロという曲の中で中心となるメロディラインをギターで置き換えなければならない。
 彼にはその才能がずば抜けているのか どの曲を聴いてもそのメロディラインが確固として「主張している」のである。
 よく言われる「Joeのギターは歌っている」とか「歌心がある」というのは その為であろう。


 「判りやすいメロディライン」と確かなテクニックに裏打ちされたギターセンスに 出会いから10数年経っても私はまだ魅了され続けている...。





 例の如く前置きが長くなってしまったが、今日はそのSatriani、6年ぶりの来日公演。
 正直なところ、今回の来日公演は最新作「STRANGE BEAUTIFUL MUSIC」がCD店で視聴した段階で個人的にもうひとつと感じていただけに 参加しようかどうしようか非常に迷うところであった。だが、6年ぶりという懐かしさもあってチケットを購入してみた。
 その後「STRANGE BEAUTIFUL MUSIC」も購入、聞き込むうちにこの作品も見事な程「歌心がある」CDであることがわかり視聴段階の自己評価が いかに誤ったものであったか気付かされたのだった。
 そんな事もありチケット争奪戦に乗り遅れ「ぴあ」店頭で手に入れたチケットにナンバリングされた整理番号も237番。
 これでは 会場である「クラブクアトロ」でライヴを見る時、常位置としている席はゲットできないのではと一抹の不安を覚えていた。




 PM 5:30

 ようやく「クラブクアトロ」のあるパルコ西館に到着。
 エスカレータでクアトロがある階まで急ぎ途中の階で降りて いつも入り口まで続く列が並ぶ階段の方へ急いだ。
 そこにはすでに多くの人が列を作って座っていた。
 はずだったのだが....。
 ほとんど人影がなかったのだ。
 「平日なので 仕方ないのか?」
と多少、心配になり急いで階段を上りクアトロ正面入り口に近づいていくとようやく人を捉える事が出来た。クアトロ前のホールには2機のエレベータがあるのだが そこになにやら人垣が出来ておりその中心を見ると なんと!Joe Satriani 本人が !!!
 Joeはスキー帽のようなニット帽を被り最近のトレードマークであるサングラスも掛けない全く素な様子。
 近くにはコワイ顔をしたマネージャーらしき人物やボディガードもいたのだが、Joe本人はファンに囲まれながら気さくにもサインをしたり写真を撮ったりといい雰囲気だ。やがて そこから移動して階段に向かうところで私も感激の対面。Joeから「Hello」と言われながら握手してもらいライヴ前から既に気分はヒートアップしっぱなしであった。

 それから壁に貼られた整理番号の指定位置に戻り開場までの15分を友人にメールを打つなど時間を費やしているとあっという間にPM6:00。
 私も整理番号順に入り口でカメラチェックを受け晴れて入場。
席を確保するため急いで会場に入っていくが お目当てのイスのあるテーブル席は既に一杯だ。いや 一杯ではない。イスが無い為にポッカリ空間が開いているところがある。
 そこに一旦は荷物を置き、どうするべきか周りを見渡すと離れたところに イスがいくつも放置されているのが見てとれた。
さっそく それを失敬して自分のところまで移動させ なんとか予定通りの席を確保できたのだった。
 だが開演まで まだ50分以上もある。この空いた時間をどうするべきか?
 こんな時の為に 今回も文庫本を持参したのだった。
本は最近、凝っている岡嶋二人(井上夢人&徳山惇一の創作ユニット、すでにコンビ解消)の一人 井上夢人の「パワーオフ」だ。
 井上夢人と言えば かなりコンピュータ関係に造詣が深く、この「パワーオフ」もコンピュータウイルスを扱ったかなり凝ったミステリーになっている。
 そんな内容な本を周りの様子に時々目を向けながらも読みふけり、50ページも読んだところで時計の針はちょうど開演時間であるPM7:00を指し示していた。




 PM7:05

 今まで会場内に流れていた70年代っぽい曲も消え、開場に併設されたバーカウンターの照明も消された。
 ステージに目をやれば 暗闇の中、おぼろげながら何人かの姿が浮かび上がってくる。あれはドラムのJeff CampitelliとベースのMatt Bissonetteだろうか。
 そして 暗闇の中でも いっそう目立つスキンヘッドのお姿...。
いよいよJoe Satriani の登場である。
 ネット上では最近、Joeをその風貌から親しみをこめて「和尚」と愛称で呼ばれているがなるほどスキンヘッドの本人を目の前にするとそう言えなくもない。
 −ということはこのライヴは「ギター説法会」とでも言い換える事が出来るのかもしれない。
 そんな下らない事を考えているうちに会場内もヒートアップ。
 「Joe ! Joe ! Joe!」という激しい掛け声に合わせた手拍子の中、穏やかなSEと共に1曲目「FLYING IN A BLUE DREAM」が始まった。

 曲が始まってようやくステージにもスポットライトがあたりJoeと他のメンバーの姿がはっきり確認出来た。
 Joeの出で立ちは 黒のTシャツに黒と白のストライプのパンツ。
お馴染みのサイバーな深い紺色のサングラスを装着していた。
 ギターはお馴染みのアイバニーズ、メタルボディのJoe Satrianiシグネイチャー。
 ステージ上方から照らされる赤、青、黄のライトがギターのボディに反射して非常に眩しい。
 Joeの右横にはベースのMatt Bissonette
 日本では多分、Dave Lee Roth Band以来?の来日だと思われるがその頃のイメージとはかなり違っていたのが驚きだった。
 あの頃は長髪なLAメタルな兄ちゃんだったが、今回は髪型も変わりぐっと渋くなっていた。あれから10年....。
 変わっていて当然であるけれども。それにしてもMattは他のメンバーと比べても群を抜いて背が高い。それだけに非常に目立つ。
 ドラムのJeff Campitelliは日本のファンにも もうお馴染み。
 そしてサイドギター&キーボード担当のGalen Henson
 自分の位置からでは まるで広島の古葉監督状態で見切れて判りずらいが、パッと見は「Back to the Future」Michael・J・Foxを少々太らせた感じか。
 彼も全身黒の衣装を身に包み1曲目はアコギを持ってバッキングに専念というところだがJoeと同じように黒のサングラスを掛けている為、素顔は判らない。
 1曲目はそんなメンバーお披露目な感が自分には強くて曲自体に浸る暇なくあっという間に終了。
 しかし場内の歓声は未だ非常に大きい。
 1曲目はステージや観客の様子を冷静に見渡している私だったが、2曲目のイントロを聴いて そんな客観的な気持ちは吹き飛んでしまった。
 「SURFING WITH THE ALIEN」収録の「CRUSHING DAY」を聞けるなんて思ってもいなかったのでまさに嬉しい誤算と言ったところだろうか。
 個人的にも 非常に思い入れがある曲だけに懐かしくて うれしくて 言葉にならないくらいだ。
 スケールを上昇していくソロフレーズもオリジナル以上に速く聞こえて非常にスリリング。Gary Mooreの同じようにミュートを効かせて弾く、いわゆるマシンガン・ピッキングで聞かれるスケールのフレーズとは多少趣を異にしているのを改めて感じる。
 思いがけない曲の後は比較的新しい。前作「CRYSTAL PLANET」からの選曲「DEVIL'S SLIDE」。ソロ前など何回かギター、ベース、ドラムがユニゾンでリフを刻むあたりが圧巻。ソロはJoeの手癖と言ってもいいくらいレガートを中心としたもので、あの滑らかな音のつながりはやはり Joeならではと思うのだった。
 4曲目が終わりここで初のギターチェンジ。
 ギターテクから渡されたのは 先程のメタルボディのギター以前メインギターであった懐かしき白いアイバニーズ。
 初期のプロモVにも登場していた名器である。
 (情報によれば 白いギターには新しいJS1000という機種も所有しているらしいのであるいは そちらかもしれない)
 そこで披露された曲は「COOL #9 」
サイバーなJoeを象徴するかのようなスケールやフレーズを多用したり ネックを右手で握ってNightRangerのBrad Gillisもよくやる左手のフィンガリングとH&P(ハンマリング&プリングオフ)だけで音を出すテクニックも盛り込んで意外に見せ場も多いものとなっていた。
 5曲目もこれまた「SURFING WITH THE ALIEN」収録の超有名曲「SATCH BOOGIE」
 ソロの低音弦を中心としたTapping(いわゆるライトハンド奏法)がこの曲のハイライトであるがイントロのリフから難易度は高い。
 それにブギーという曲調がリズム的に慣れないと弾きこなすには大変である。
 しかし、当然ながらJoeはそれを易々と弾きこなす。未だイントロ以外弾けない(苦笑)自分とは大違いだ(爆)
 次に披露された「CRUSH OF LOVE」も自分がJoeの曲を練習する時必ず弾くという思い入れのある曲。
 だから意識しなくても 指が動き、まるで自分が弾いているかのような錯覚も覚えてしまう。曲の冒頭から明らかにワウペダルを踏んだような音になっているが、これが あのデジテック製ワーミーペダルの威力というヤツなんだろうか。
 かなり激しく深く掛かり曲のイメージが増幅する感じである。




 そして ここで2回目のギターチェンジ。
 ギターテクのMikeから渡されたブラウンの木目調も美しいアイバニーズを持ってマイクに向かってこう話し始める。
 「コレ ハ セヴン ストリング デス 」
 辿々しい日本語で笑いもこぼれそうになるがJoeもいつの間にか7弦使いになっていたんですね〜。確かに新作「STRANGE BEAUTIFUL MUSIC」にも「SEVEN STRING」という曲もありそのタイトル通り7弦を使っているのだろうが私にはJoeと7弦ギターというのはイメージがどうも合わない。
 でもここで7弦ギターを持ってきたという事は次はそのものズバリ「SEVEN STRING 」なのだろうか?
 −と思っているとコールされた曲は意外にも「MIND STORM」でちょっと拍子抜け。
 やがて始まった曲は 冒頭から激しいリフ、それに続くワウを掛けたメロディライン、コードバッキングと非常に印象的な曲調なのだが、途中のノイズやSweepアルペジオもCDで聞くのと実際に生で見るのでは大違い。イングヴェイほど華麗じゃないSweepもある意味、Joeらしさが窺えたと思う。
 そんな肩すかしを食った「MIND STORM」の後は7弦ギターらしくようやく「SEVEN STRING」
 全体的なダークな感じのこの曲も ところどころJoeらしさが光る。
CDを聞いた時は7弦ギターを弾いている事を全く意識していなかったが、「弦が増える=リフの時などに音の厚みが増す」という効果があるのだろうか。
 実際に弾いたことがないだけによく判らないが 音の厚みを重視するモダンヘビィロック系で盛んに使われていることを考えると案外、私の予想も当たっているかもしれない。
 ゆえにこの曲調に7弦ギターの選択も誤っていないのかもとステージの演奏中、そんな思いが頭をかすめていった。









pic まだまだ続く









SET LIST
1FLYING IN A BLUE DREAM
2CRUSHING DAY
3DEVIL'S SLIDE
4COOL #9
5SATCH BOOGIE
6CRUSH OF LOVE
7MIND STORM
8SEVEN STRING
9MYSTICAL POTATO HEAD GROOVE THING               
10NEW LAST JAM
11SUMMER SONG
12MIDNIGHT
13STARRY NIGHT
14I BELIEVE
15ORIENTAL MELODY
16WHY
17MATT & JEFF SOLO
18ALWAYS WITH ME, ALWAYS WITH YOU
19RASPBERRY JAM DELTA-V
20SURFING WITH THE ALIEN
・・・Encore ・・・
21FRIENDS











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