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7月26日に行われた『Kikkawa You 微かな粒 Live』以来、4ヶ月ぶりとなったきっかこと、吉川友さんのライヴ‐題して『吉川友 LIVE 〜Autumn Voice 〜』は初台THE DOORSで行われた。 2020年の今年全体がコロナの影響によって、あらゆる生活様式の見直しがなされ、それはエンターティメントの世界でも例外ではなかった。というのは前回のライヴレポートにも書いた通りである。 すなわちそれは、ライヴの客数を減らし、コールを禁止し、レスポンスは拍手のみ。もちろん、観客はマスク着用を義務付けられることである。 冬に向かって、感染状況が再び増加の兆しをみせ、エンターティメントの先行きが全く見えなくなりつつある中で、配信ライヴは今後も定番化していくように思う。 『吉川友 LIVE 〜Autumn Voice 〜』は、今回も1日、2回回し(きっかMCより)。 14:00からの昼の部と19:00からの夜の部が執り行われた。 私は、前回同様というか、きっかライヴでは恒例の2回目、夜の部の配信を見る事にしてチケットを購入した。 今回も配信方法は、ツイキャスを利用するものであったので戸惑いもなく(ただし、料金は前回よりも前売りで¥500、当日で¥900のアップとなった)当日を楽しみにして待った。 昼の部の様子は、時折、ツイッターを横目で見ながら推移を確認し、最終的にはセットリストまで目を通してから夜の部に臨んだのだった。 開演時間 19:00をほんの少し過ぎると、それまでの「しばらくお待ち下さい」の静止画像が、初台THE DOORSのステージを映す映像へと切り替わった。 客席からの拍手と共に、薄闇の中、きっかがステージセンターに立つ。 スポットライトが当たると同時に きっかはピアノ音源をバックに、おもむろに歌い始めた。 1曲目は「歯をくいしばれっっ!」だ。 まばゆい光を一身に浴びるきっかの衣装は、昼の部と同じ 白のシースルー生地をいかしたもので、夜は黒の衣装になるのでは?という個人的予想はあっさりと裏切られた。 だが、これはこれで上品なセクシーさが反映されて非常に良い。 2曲目もおなじみ「こんな私でよかったら」である。 きっかの代表的な楽曲が早々に披露され、場内はもとより画面のこちら側がで見る我々、視聴者もノリノリである。 それを示すように、サビの振りコピをしている客席の様子が部分的に映り込んで、場内の盛り上がりが垣間見れる。 2曲を終え、一呼吸という具合に、今回初のMCタイムとなった。 「みなさん こんばんわ 吉川友です。」 「吉川友 スペシャルライブ2020 ...オータム... ボイス....?」 といきなり、ライブのタイトルを失念しそうになって、カンペ?を見て確認するきっかに一抹の不安を覚えながらも 笑ってしまう。 そして、いつものように 「久しぶりに私のライヴに来たよ‐という方?」 「さっき(昼の部)も見たよ‐という方?」 「この回がはじめてだよ‐という方?」 と出欠状況を挙手で求めるきっかだったが、コロナ禍以前だったらその挙手した客に名指しで話し掛け”会話のキャッチボール”を楽しんでいたが、それが今は出来ない。 だから、そういう意味(話す相手が近くに居て)では「グループが、めっちゃ羨ましい」と心情を明かすきっか。 それに付随して最近のライヴで気づいたこと−と話をふれば、それは 「一人だと、みんなの反応がないと どうしていいか判んない」「MCどうしよう、どうしようと悩んでいた」とぶっちゃけると、コロナでライヴそのものの形態も我々が思っている以上に変わってきていることを痛感するのだった。 そんなパフォーマーならでは、あるいはソロ・アイドル、アーティストとしての悩みを吐露したかと思えば、話すネタに困ってだろうか?唐突にこんな話を始めた。 「さっき、思ったこと話していいですか?」 「今回、この白い衣装、新しくライヴのために用意して頂いた衣装なんですが、、イカみたいっていうイメージありますよね」 「さっき、トイレに行ったんですよ」 「これ、言っちゃいけないヤツだな」「いいや、言っちゃったから、言うわ」 といきなり、自らのトイレ事情を話しはじめるのだった(苦笑)。 アイドルがステージで、それも中継も入る中で言うものだからバンドメンバーもスタッフも目を白黒させているんだろうな。ということが想像出来、兎に角、前代未聞のことであった(笑) 「汚れないために一応、トイレに入るときに(スカートの裾を)まくりあげて、ことを為すんですよ」 と言いながら、シースルーのスカートをまくりあげ(もちろん下はホットパンツを履いている)足を見せる。再現まで行い、もはやそれを想像するしかない事態に陥らせたのだった。 「終わってさ、パッと(裾を下ろす)じゃないですか」 「私、意外に潔癖症で、トイレの便器に座るときに、トイレットペーパーをぐるぐる巻きにして細長くして乗せて、座ってことを為すんですけど今回もそうさせて貰ったんですけど、終わってパッとしたら、便器に白いものがペラペラと流れてて、あたし、衣装流しちゃったと焦ったんですけど(それは)敷いていた紙だったということです」 オチも予想通りだったためか、客席もどう反応したらいいのか判らず(マスクで声が出せないというのもある)微妙な反応だったためか、きっかも「どうしよう、次、歌えない」」と助けをバンドメンバーに求めても、さすがに彼らも苦笑するばかりであった。 結局「何が言いたいかというと、衣装がトイレットペッパーのようにサラサラしているということ」と無理やりMCをまとめるきっかであった。 気を取り直して、ここからは盛り上がる系の可愛らしいナンバーでお送りします。と始まったのが「Sweetie」であった。 手のフリが特徴的な疾走感のあるこの曲。振りコピをしている友フレが会場でも、画面のこちら側でも多いことが想像できる。 4曲目は「「すき」の数え方」。 ギターソロで、きっかによりクラップが会場だけでなく、視聴者にも求められた。 5曲目はロッカバラードとも言える「恋」。 歌唱前に配信曲と紹介したが、思えばこの曲も生で聴いたことがない曲である。 2018年6月のツアー以来、名古屋でライヴを行っていない為でもあるが、配信限定の曲がこの2年あまりで7曲。もうそろそろ、CDアルバムとしてまとめて欲しいものである。そしてそれを持って東名阪のツアー。これが今の私の望みである。 MCタイムとなった。 だが、ここでも再びカオスなトークが展開されるのだった。 「なかなか皆さんと(コロナで)会う機会が減ってしまった2020年になったかな..」としっとりと話し始めたきっか。であったのだが 「もうだって、師走ですもん。ねえ?」と自信なげに喋りながら、バンドメンバーに同意を求めて、トークを膨らませようとするが 「師走ですよ..... ええっ まだ師走じゃないんですか!」とメンバーから訂正が入るのに気づき 「私、11月から12月を師走と思ってた」と言うやいなや 「私、もう嫌になるの。この”言い間違い”というのはデビュー当時からたくさんやってきたと思うんですよ。でもオトナになって言葉を知って、最近はワザと言い間違えて、同じようバラエティとかでもしてきたので、言っても『吉川、お前、またワザとだろう』となるんですよ!」 と”言い間違い”というきっかお馴染みのパワー・ワードを得たことから トークが熱を帯びてきた。 「今日も、最近よく出てくるワードで、韓国のBTSという男性グループを一昨日ぐらいに知ったんですよ。楽曲を。さっき、楽屋でずっと曲を聴いていたんです」 「さきほど女性のスタッフさん(衣装さん)と『BTS いいですよね』と言おうとしたんですけど、私は多分、USJ、、そっち系で間違えていたんですよ、いやJTBだ。そうだJTB。飛行機かい!−と間違えて言ったんですよ」 BTSがJTB、挙句の果てに飛行機という単語まで引き出されたことで、会場がドッと笑いに包まれた。 「『リース』って判ります?判る方っていますか」と突然、会場アンケート。 観客はあまり判らなかったのか挙手する人は少なかったらしく、あらためてリースを説明するきっかである。 「『リース』というのは、こういう衣装をね『買取り』か『戻し』かとなるんですが、『戻す』のを『リース』というらしいですよ。私、最近、それを知ったんですよ」 今回の衣装は「買取り」ではなくて「リース」らしく「衣装さんに これ(衣装)を汚してしまったら、『リリース』ですよね。出しちゃった(リリースの意味?)」と笑いを取ったのだった。 (−ちなみに『リース(lease)』というのは「ユーザーが借りたいと思ったモノを長期的に貸借すること」つまり「レンタル」と同意味で、レンタルよりも貸借期間が長いこと。「戻し」だけの意味ではないですね −) 「『リース』と『リリース』、、もう訳の判らない、ややこしい言葉が多すぎる。でも音は似ているんですよね。『リース』と『リリース』、『BTS』『JTB』、韻を踏んでいるんですよね」 となにやらラップ講座みたいなMCになってきた。 「だから、今日の(間違い)はまだ問題ないと思うんですよ。でも、最近の言葉は適当に覚えているから”言い間違い”をしてしまっていたけれど、でも もう28歳なので、今年はもう言い間違いはしません。という今年の総締めでした。今年の抱負。」と無理やりまとめたのだった。 ですが、年末に「抱負」と言われても....とツッコミを入れたのは決して、自分だけではないだろう。と思うのであった(笑)。 話題は変わり「ライヴも人数制限掛かったり、コール禁止とかで ちょっと世知辛え世の中じゃないですか?」と今年一年を憂いると 「そんな中で、最近、私、楽しみを見つけたんです。マスクみんなしてるじゃないですか。マスクの下の顔を想像するのがメッチャ、楽しみ」とニヤニヤするきっか。 これ、判る人いませんか?と観客とバンドメンバーに同意を求めるが、反応はまた薄い。 「私、よくランニングしていて、すれ違うときに、マスクの下はどんな口しているのだろう?顎はどんな形なんだろう?と想像するのが最近の楽しみですよ。−という報告でした」と言うのだった。そして 「私は、来年、5月11日でデビュー10周年を迎える記念すべき年になります。ここからは そんなデビュー初期ぐらいの懐かしいナンバーを聞いて下さい」 緊張と緩和、爆笑と苦笑、秩序と混沌。 これらを体現したかのようなMCは、次なる曲「ダーリンとマドンナ」の紹介で終わりを告げ、ここから連なる3曲のパフォーマンスは間違いなく、今宵のライヴにおける至福の時間となった。 特に口火を切った「ダーリンとマドンナ」の意外すぎるボサノバ風・アレンジによる披露は、後にツイッターで評判になるほどの出色の出来であった。 ギター好きの自分だからだろうが、コーハンさんの巧みなフレーズに耳を捕らわれ、流麗なきっかの歌メロがそこに乗ると、得も言われぬ感情が湧き上がってきたのだった。 「バラードアレンジ」と冠したコーナー2曲目はセカンドシングル「ハピラピ 〜Sunrise〜」。 ピアノ音源とギターのアルペジオを中心としバッキングに合わせ、スローテンポに装われた楽曲を切々と歌い上げていく吉川友はひたすら美しい。 コーナー・ラストとなった「さよなら涙」は、このコーナーでは一番、聞き馴染みのあるアレンジだったと思う。 もちろん、バンドアレンジとなったこの楽曲は 初期の1stアルバムに収録された頃とは全く違う。 だが、一番違った(変わった)のはきっかの表現力だろう。それはこの曲に限らず、他の2曲もそれを実感するには十分なパフォーマンスであった。 直後のMCでは「ダーリンとマドンナは、ボサノバ風というか森本レオさんがラジオしていそうという感じ」と理解不能の例えを出すものの、当然ながらと言うべきか、会場の反応は悪い。 それを肌で感じ取ったのか、その理由を説明し始めた。 「私が この世界に入るきっかけとなったモーニング娘。の時(オーディションの時)に、中古屋で買ったんですよ。モーニングさんの初期の3枚目のアルバム(「3rd -LOVEパラダイス-」)があって、そこに「レバニラ炒め」みたいなナンバーがあって、森本レオさんがコラボしているですよ。それの感じに似ているなあ。と」 ようやく、その意味が判ったが後にwikiで調べると、きっか憧れの後藤真希さん参加の初のアルバムであり、モーニング娘。史上最大のヒットアルバムとあって、きっかが購入した理由に大いに納得したのだった。 「このボサノバ風、私、凄く好き。この感じで全曲、やりたいぐらい。いけますよね?」 とメンバーへ振り返り、同意を求めるのだった。 「決まりました。ボサノバ風ヴァージョンでライヴをお届けする回も作りましょう」と、突発的に思い浮かんだ企画を口にして 例によって山田社長以下スタッフが奔走するだろうな。と想像しながらも、拍手で同意するのだった。 ライヴは後半戦に入った。 「みなさん、準備はいいですか」 「ツイキャスのみなさんも準備、よろしいでしょうか」 客を煽りながら、後半戦1曲目に選ばれたのは新曲「TABOO」であった。 既に、前回のライヴでも披露されていたが未だ、音源化されていない曲であった(12月10日には配信がスタートした。)。 前回は初披露だったこともあり、まだ”こなれていない”感じがあったものの、今回は もはや吉川友の楽曲として”自分のモノ”にしていたのをはっきりと感じた。 オトナな装いをまとった楽曲は、28歳のきっかには相応しいものであった。 次曲は「DISTORTION」。 もはやきっかライヴでは定番化したお馴染みの曲である。 高音を多用するパートが多いだけに、きっかも歌唱には苦労している点がやや見られるものの、「TABOO」の次がこの曲だと楽曲の振り幅の大きさに改めて驚かされる。 後半戦3曲目「URAHARAテンプテーション」からは きっか曰く『激しめのナンバー(曲)』が続いた。 そしてなんと言っても「URAHARAテンプテーション」といえば、後半の歌詞『跪ずくのよ』での客が一斉にかがみこむシーンが思い出される。 映像では、客の様子は伺い知れなかったが、着席が義務付けられていたとしても思わず かがみこんでしまいそうになっていたことだろう。 もう2年余り、きっかのライヴを生で体験出来ていないだけに、ライヴの一体感が得られるこれらパフォーマンスが懐かしく思えてしまう。 ライヴはラストに向けて、より熱く濃くなっていった。 12曲目「恋愛遠慕」は手のフリが多い楽曲である。 それだけに会場の客も、振りコピに熱中しているのではないか想像出来る。 まさに一気呵成に駆け抜けた「恋愛遠慕」のあと、きっかからラストの曲として「Stairways」がコールされた。 そういえば前回のライヴでもアンコール前、最後の曲は「Stairways」であったが、最後の曲として もはや相応しい曲である。 曲中、キーボードのベントラー・カオルさんから、ドラムのゴッチさん、ベースのコルティさん、ギターのコーハンさんときっかバンドのメンバー紹介を挟むのも前回と同じだが、曲の勢いが削がれることはなかった。 『前を向いて駆け上がる 未来が遠くたって 一つ一つ超えていく自分だけのStairways』というサビの歌詞は、コロナでこんな状況だからこそ、心に響くものがある。 「ありがとうございました。また みなさんに会えるのを楽しみにしています」という言葉を残し、ステージを降りたきっかの背中には、早くもアンコールを求める手拍子が会場に鳴り響き始めていた。 手拍子を受けて2分ぐらいだろうか、ステージが明るくなると「ありがとうございます」とアンコール・コールに感謝しながら きっかが再降臨。 そこで今年のライヴが今回が最後かな?と事務所の山田社長と話すと社長は即座に動き、年内にもう一度、ライヴを行うことが決定しました。と発表した。 気になるその日付は「12月26日」。 クリスマス後となるが、クリスマス気分のまま、来場する客にもクリスマス的なドレスコードに沿って出席するように促し、次回のライヴは(自分で決めると偏ってしまうので)誰かにセットリストを決めて欲しい−とメンバーに求めるのだった。 そして ライヴも遂にオーラスである。最後の曲「NEO SUGAR SUGAR YOU」が披露された。 会場のカメラが客席を映すとサビの手のフリと、観客の持つ黄色いサイリュウムの光が同調し曲を盛り上げている。 以前なら、当たり前と思えた光景がこんな時だからこそ、尊いと思える。 歌唱を終えると「本日はご来場いただき、ありがとうございました」と感謝を伝え、我々ツイキャスの視聴者にも感謝を述べたきっか。 「さあ、この新衣装、リースしてきまーす」という言葉を残し、ステージを捌けていったのだった。 ハロプロエッグ時代からの盟友であり、同じ事務所所属のアップアップガールズ(仮)から、今年いっぱいで古川小夏さん、森咲樹さん、佐保明梨さん、新井愛瞳さんが卒業し、来年からは新体制へと移行することになっている。 そんな大激動の中で来年、きっかはソロ・デビュー10周年を迎える。おそらくデビュー日(5月11日)近辺には記念したライヴも行われるだろうが、今回は その前哨戦とも言えるライヴにもなったのではないかと思う。 年末にも、もう一度ライヴ(「You Kikkawa 〜 Happy Voice of Year end 〜」)が行われることが決定したが、来年を占う重要なライヴになるのかもしれない。 |
SET LIST | |
1 | 歯をくいしばれっっ! |
2 | こんな私でよかったら |
MC | |
3 | Sweetie |
4 | 「すき」の数え方 |
5 | 恋 |
MC | |
6 | ダーリンとマドンナ(ボサノバ・アレンジ) |
7 | ハピラピ 〜Sunrise〜 |
8 | さよなら涙 |
MC | |
9 | TABOO(新曲) |
10 | DISTORTION |
11 | URAHARAテンプテーション |
12 | 恋愛遠慕 |
13 | Stairways 〜 バンドメンバー紹介 |
MC | |
14 | NEO SUGAR SUGAR YOU |
MC |
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