モーニング娘。コンサートツアー2011秋
愛 BELIEVE 〜高橋愛 卒業記念スペシャル〜







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 「3階席、4階席、5階席の皆さん、まだまだ盛り上がっていきますよ!」

 「1階席、2階席の皆さん、テンションあげていきますよ!」




 道重と鈴木が客煽りをする。それに大きな声で応える客席。コンサート後半に向け 場内は最高潮の盛り上がりを迎えようとしていた。
 譜久村の勢いある煽りで始まった13曲目はメドレーとなっていた。
「Take off is now! 〜 Do it! Now 〜 愛され過ぎることはないのよ 〜 3、2、1 BREAKIN' OUT !」。高橋愛がモー娘。の曲の中で一番のお気に入り の「Do it! Now」は情感をたっぷり込めて唄っていたのが印象的で、 「愛され過ぎる ことはないのよ」では艶やかな色っぽさも感じた。
 最後「3、2、1 BREAKIN' OUT !」で勢いに乗ったモーニング娘。は、道重、新垣、 生田だけをステージ上に残し他のメンバーは着替えの為に引っ込んだ。
 そしてステージセット下部にある出入り口から早々に次々とメンバーが復帰、 その入れ替わりで道重らも引っ込んだ。高橋復帰後、鈴木がステージ登場の際、 面白いポーズ(仮面ライダーの変身ポーズのようにも見えた)をしたのでその後、 戻ってきたメンバーも同じことをさせられることになった。
しかし、田中れいなだけは「知らん」とガン無視(笑)。この人ほどパブリックを イメージを崩さないのも珍しい。
 後半は怒濤の連続3曲。まずは新曲「OK YEAH!」だ。勢いあるダンスビートの曲で アルバムへの期待を高めるには十分すぎるぐらいである。「OK YEAH!」の煽りと客席との コール&レスポンス、楽しめた。
 「Only you」「まじですかスカ!」はもうお馴染みである。「Only you」の激しい キレキレのダンスで圧倒され、「まじですかスカ!」は恒例のラインダンスは無かった ものの(記憶が定かではないが)緑色の模造トランペットを使った今回のライヴ バージョンも見所は多かった。
 「ラストはこの曲です」と道重に促されて始まったのは「ブラボー!」
 まるでBeatlesの「Let it Be」のようなオルガン系音色でイントロに乗せ 始まったゆったりとしたコーラスは会場を大合唱に導いた。実に感動的であった。
 田中れいなの「いくぜー名古屋」の掛け声を合図にスピードを増した演奏が始まると メンバー達はステージを縦横無尽に走り回った。それからこの曲の2番の始めでは、 思いがけぬハプニングもあった。道重が高橋に寄っていき、高橋の唇を奪ったのだ。
然もその瞬間を場内カメラは逃さずスクリーンに大写しになった。客席からはやんや の大歓声。
数年前のツアーでも「元気ピカッピカッ!」で道重がキスを迫り成功させたことがあったが まさか、この曲で、それも記録に残るぐらい(道重がBlogでその時の画像を公開したぐらいだからよっぽどの事だったのだろう)の完璧なキスだったから驚いてしま った。
 「ブラボー!」で本編は終了した。
当然ながら、観客の気持ちはこれだけで収まる訳はない。すかさず始まった アンコール求める声は徐々に大きくなっていった。



 そんな状態が3、4分続いただろうか。手拍子と共にその声が最高潮に達した時、 PAから音が溢れだした。やがて爆音と共に新垣ラップが場内に響き渡った。
 曲は「HOW DO YOU LIKE JAPAN ?〜日本はどんな感じでっか?〜」
モーニング娘。の中ではかなり異色の曲だと思う。かなりHIP HOP系? 寄りの曲は私を圧倒した。
 曲が終わると、最後にメンバーから一言ずつ挨拶が為された。この時、 メンバーはみな、各自のイメージカラーに彩られ、中央に名字の一文字がプリント された(高橋なら「高」、道重なら「道」というように)キャラクターTシャツ をアレンジを施し着用していた。
 地元(愛知県三河地方)出身の9期の鈴木香音が初日を愛知で迎えられたことに 感謝を述べたことを手始めに鞘師、譜久村、生田、田中、道重、新垣と続いた。
 だが、やはりトーク力では道重が抜きに出ていた。(前述した)れいながVTRで放った 一言に噛みついた。れいなの
 「愛ちゃんはモーニング娘。の”全盛期”の時に入ってきて...」に対し

 『全盛期は過ぎてないですから!』

 と道重はキッパリと言い切ったのだ。これには会場から大喝采。そして道重は
 「世間の皆さんやファンの皆さんから、今が全盛期だよね。と言われるように頑張ります」 と続け大きな拍手を浴びた。世間からは「ブリッ子」「毒舌キャラ」「女が嫌う女性 タレント急上昇」というネガティヴなイメージばかりが先行する道重だが、ここでは 全く違った存在であった。
 最後はもちろん高橋愛。自身にとってモーニング娘。として最後の愛知公演に対し、 最大限の感謝を述べた。「私達のことを忘れないでね」。会場に居る全ての人々の 心に響いたに違いない。
 ラストに用意された曲はこのツアー全てを象徴するかのように「友(とも)」
 もうみんな泣けとばかりの選曲に、高橋愛も序盤から涙で目を濡らし始めていた。
 そして、曲後半の出来事はこのコンサートを心に残る素晴らしいものへと変えた。
 田中れいなが、ステージ袖から本来、光井愛佳が着る筈だった紫色の「光」とプリントされたTシャツを持ち出し、我々観客へアピールするように掲げて見せたのだ
 誰もがこのれいなの行いに賞賛を与えずにはいられなかった。VTRの一言なんて帳消する に余りあるものだった。客席に居た誰もが心震わされたように、ステージ上でもそれは 同様だった。高橋の涙腺は崩壊し、その涙を見た道重も涙した。他のメンバーも同じだっただろう。感動の涙はみるみる拡がっていったのだった。
 れいなは曲終わりに、その愛佳Tシャツを高橋に手渡し、高橋はそれを肩に掛けた。
 ステージを捌けていくメンバー達を高橋が送り出し、最後まで残っていた高橋も 名残惜しそうに去っていった。



 モーニング娘。及び、ハロプロ一派に興味を持ち始めて約1年。
 そのきっかけは?と問われれば定かではないが、おそらくバラエティ番組で「私はカワイイ」を連発しブリッコキャラを爆発させていた道重さゆみの存在だったと思う。
 好感よりも「なんやこいつ」という反感から始まった興味では あったが、「そういえば、モーニング娘。って今は一体、どうなったんだろう?」と疑問に変わるまで そう時間は掛からなかった。
 そうなれば、速やかに、効果的に回答を与えてくれるのがネット である。You Tubeをはじめとする動画共有サービスは最も端的に ”今のモーニング娘。”を教えてくれた。
 私はその映像を見て軽く驚いた。其処に映ったのは、多くの者が知る”全盛期”のモーニング娘。とは別物のよく訓練されたパフォーマンスグループであったからである。
 そして、その中心にいるのが高橋愛だった。
 幼い頃から、バレエを習い、宝塚への憧れから声楽も嗜んだ高橋は あきらかに他のメンバーから抜きに出ていた存在であり、ハロプロ においては精神的支柱でもあった。
 ゆえに高橋の卒業というのは今のモーニング娘。あるいはハロプロにとって 田中れいなでなくとも大きなショックな出来事であったと思う。





 9月30日。満員の武道館で高橋は無事、卒業を迎えた。

 報道やネットの情報を見ると、会場はサイリュームによって高橋の イメージカラーである黄色に染まり、それはそれは感動的であったようである。
 前日には10期メンバーも発表され、新旧交代を強く印象づけた形となったがそれは加入と卒業を繰り返すモーニング娘。にとっては 歴史の1ページにしか過ぎない。
 AKB48の登場と繁栄によりアイドル戦国時代を迎えた今、モーニング娘。 が逆風の中に居るのは確かだが、今回のセットリストにニューアルバムからの佳曲を多く配し、 新人にハロプロエッグを含め業界経験者を多く入れた処を見ると プロデューサーであるつんく♂の攻めの姿勢が感じられた。
 困難は極まるが、モーニング娘。の巻き返し−なんて事もこれから あるかもしれない。そう思わずにはいられないのである。









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