NIGHT RANGER
2003 Japan Tour ライヴ
with COLIN BLADES







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 初来日から”ジャスト”20年である。

 (20年前も12月のそう、この頃だった)
 10年、一昔と言うけれど、20年と言えば二昔か。
 余りにも陳腐な表現だがあの頃生まれた赤ん坊が今や成人式を迎えようという事実は嫌がうえでも 過ぎ去った時間の大きさを感じぜずにはいられない。
 果たしてあの頃の自分と今の自分、何が変わったのだろう?
 そう考えると、ほとんど何も変わっちゃいない事に気づかされる。
 ブライアン・アダムス「死ぬまで18歳(18 til I die)」.......
 そんなカッコ良くもないか(笑)



 さて、今回のライヴに先立ち、日頃お世話になっているファンサイトの掲示板にて”出席届”を提出しておいた。それは

 (例の如く)開場まで文庫本を読んでいますので気軽に声をかけて下さい」

 という文面であったが、奇跡的にも大阪からいらしたKさんというファンの方にすぐ声をかけて頂いた。
 なんでも昨日の大阪公演にも参加されたそうで しばらくその生な情報などで話が弾み、一人でライヴに 参加する時のあの退屈な時間を過ごさなくてよかったのは有り難かった。(声をかけて下さったKさんにはホント感謝したい。)
 ちなみに今回、私がゲットしたチケットに印刷された整理番号は33番。かなり早い番号だ。
 これなら最前列でも全く可能だと思われるが どう考えても死ぬ程の盛り上がりになりそうな予感がしたので いつものようにテーブル席で座って見る事にした。
 だが今回は前回のPAUL GILBERTとは違い、年齢層は見渡すばかりでも NIGHTRANGERの最盛期を知る30代半ば以上が中心に思え、この整理番号でも席の確保の困難が予想された。


 5分ほど遅れてようやく開場。
 先程のKさんは自分よりも早い番号の為、先に開場入りされていく。
 大阪では最前列が取れなかったそうなのでここ名古屋でも最前列を狙っていくのだろう。
 彼を見送ってからすぐ自分も入場の番が回ってくる。
 カメラチェックを通り抜け、まるで駈けるように通い慣れたクアトロに入っていくとまだテーブル席はどこも空いたままだった。
 心の中で「セーフ」とつぶやくと いままでなら座ることも出来なかった中央テーブルの、正にステージ中央マイクスタンド延長線上の席をゲット。
 ここならステージ全てを均等に見渡す事が出来る。
 正に理想的な場所だ。私の脳裏には既にこの時、あと数分後この数メートル先で熱唱するジャック・ブレイズの姿が浮んでいた。
 またKさんはといえばこちらも念願の最前列をゲットされた模様でなによりであったが、確かに最前列ならクルーの様子からアンプ、機材のセッティングまでよく見える。それにメンバーの汗や唾が飛んでくるのも必至であろう。
 おや、ブラッドのアンプはソルダーノか。(昔はメサ・ブギーだったのだが)
 一方、ジェフはステージを見渡してもアンプのヘッドが見あたらない。
 ステージ脇にでも有るのだろうか?
 Kさんとも別れた私は席に戻りいつものようにカバンから再び文庫本を取り出し読み始める。
 今日、持参したのは「予知夢」(東野圭吾)である。オカルトっぽいミステリーは自分好みな作品でもあるのだがライヴ前の状況、特に思い入れの強いNIGHTRANGERの場合だと余計、内容が頭に入ってこない。
 しかし、そんな状況にさえも楽しさを感じてしまうから不思議である。
 また ふと気まぐれに会場の天井を見上げれば小さなミラーボールが一つ掲げられているのも気づいた。
 何度もこのクアトロには通っているがこれに気づいたのは今日が初めてである。こんなところにもこの中央テーブルを選んだ甲斐があるというものだ。
 そんなまったりとした時の流れ中で、会場には新たな人がどんどん流れ込んでくる。
 土曜日という事で流石にサラリーマンらしき背広姿は少ないがそれでも何人かはそれらしき人々を確認することが出来る。
 それも前の方に行ってメンバとの距離を縮めようとする人が多いのはファンとして微笑ましいが、数時間後、確実に汗だらけになって大変な事になるだろう... と人ごとながら心配にもなった(笑)





 開演時間6:00を5分ぐらい過ぎて、場内は暗転。
 あちこちから歓声が上がり始める。しかし、ここでNIGHTRANGERの登場はない。
 珍しく前座がいるのだ。チケットには記載されていなかったがそれを務めるのは「コリン・ブレイズ」というアーティスト。

 名前からもうお分かりだろう。
 あのジャック・ブレイズの息子なのである。
 コリン参加の情報は既に知っていた私であったが曲自体はネットでサンプルのみしか聞いた事がない。
 曲調は父親とは違い、アコースティカルで非常にシンプルなものであった。
 会場に詰めかけたNIGHTRANGERファンに容易く受け容れられるのかどうか一抹の不安が残るところであったが「GOOD BYE」やDAMN YANKEESの「HIGH ENOUGH」「COME AGAIN」を聞き慣れた者にとっては案外、好意的にも受け取られるのではとまるで子供の事を心配する親のような心境にもなってしまった。
 そして いよいよステージにコリンが登場。
 黒のタカミネのアコギだけを持って現れたコリンは当たり前だがジャックによく似ている。
 正確にはジャックの顔立ちをやや濃くした感じであろうか。
 持参したアコギにはピンクのペンでColinと書いてありなんともアマチュアチックだ。
 今時、その辺のストリートミュージシャンでさえもしない素人臭さである。
 そのコリンが一発目にアコギで奏で始めたのが唯一、ネットで聞いたことのあるあの曲であった。
 それから立て続けに6曲。
 曲間のMCも「Thank You」ばかりでほとんど喋る事も無い。(まるで先日のクラプトンを再現するかのようだ)
 従って自己紹介もなく事情を察していないファンには「あいつは一体誰だ?」ってものだっただろう。もしかして最後の曲ぐらいはジャックが登場し親子共演というのもあるのか?と淡い期待を抱いていたがそれも夢で終わってしまった。
 ライヴ終演後、Kさんともお話したが、もしここでNIGHTRANGERは無理としてもDAMN YANKEESSHAW BLADESの曲、または馴染み深いBEATLESあたりのカバーを披露していればもっと盛り上がっていたのにと思えた。
 メロディラインとかキラリと光るものがあっただけに残念である。また会場でCD即売が無かったのというのは如何なものか。
 生で曲を聴き興味を持ったファンに素早く対応出来ないのは明らかに失敗であると思う。
 多分、契約とかディストリビューションの関係で販売が出来ないのではと思うが、貴重なファン獲得の絶好の機会を逃したのは紛れもない事実である。
 コリンのライヴ終了後には
 「コリン・ブレイズに興味をもたれた方はwww.colinblades.comにアクセスして下さい」
 というアナウンスが流れたが、ここにきて自分のオフィシャルサイトの宣伝とは思わず笑ってしまった程だった。だがこのアナウンスが(CD即売が出来ない)全てを物語っていたのかもしれない。
 色々、苦言を呈したが(此処、名古屋では実現しなかったものの)後になってステージ脇でジャックがコリンの歌にコーラスを付けていたという話を聞いた時は正直、嬉しくなってしまった。
 ライヴで(目に見える形で)共演など直接、手を差し伸べなくともしっかりと息子のサポートをしているその姿に自然と『親子鷹』という言葉が浮んできたのだった。




 コリンのライブ後、「ここで10分間、セットチェンジを行います」とアナウンスされたがこの10分間がやけに長く感じられた。
 10分が30分にもはたまた1時間ぐらいにも感じてしまうのは期待度の大きさに比例しているのかもしれない。
 それは会場の客も同じようで時計の針が約束の10分を迎える頃にはあちらこちらから、歓声、奇声、叫び声、etcが挙がり会場内の体感温度が一気に上がっていくのが判る。
 ここ最近、感じる事の無かった異様な程の興奮ぶりだ。
やがてメンバーが暗闇の中登場し、それまでのSE代わりの曲と違う曲が流れ始めれば地球の果てまで続きそうな手拍子は最高潮に達する。
 ライヴ前定番のMC「........Night Ranger〜」が場内に轟くやいなやケリーのドラムの連打で始まった曲は再結成NIGHTRANGERにおいて代表曲でもある「SIGN OF THE TIMES」
 明るくなったステージ上には中央にもちろんフロントマン、ジャック・ブレイズが サングラスにGジャンという出で立ちで(Gジャンの中からは懐かしき2ndアルバム時のTシャツがのぞいている!)お馴染みヘイマーのベースをかかえ、ジェフ・ワトソンは黒い髭を蓄えヘイマーのゴールド(ジェフ・ワトソンモデル)をブラッド・ギルスは5年前と同じ短髪スタイルにいつものコンポーネントストラトを持って登場。
 ステージ右端にはケリー・ケイギーが客席からは横向きにセットされたドラムにドカッと陣取り、左側、ちょうどジェフの後ろには今回、アラン・フィッツ・ジェラルドの代役としてツアー参加している元GREAT WHITEのマイケル・ローディがALESISらしきキーボードを操っているのがわずかに確認できた。
 いずれにしても特別参加のマイケル以外、他のメンバーは5年前の前回来日時とほとんど容貌に変わりがなかった。
 よく考えてみれば皆50を目前とした年齢なのに老い(失礼)を全く感じさせないのは驚異的でさえある。
 (ジェフなどは服の上から胸筋の盛り上がりが凄くまるでボディビルダーのようだった。)
 曲は1曲目からサビの部分で大合唱。当然、私も唄いまくりだ。
ソロでブラッドのアーミング、そしてジェフの8フィンガータッピングとNIGHTRANGERの魅力を遺憾なく発揮。ライヴのイントロとしては最高の選曲と言えよう。
「SIGN OF THE TIMES」が終わればほとんど間髪を入れずに2曲目に雪崩れ込む。
 再び、ケリーのドラミングで始まるこの曲は3枚目のアルバムのタイトルソング「SEVEN WISHES」だ。
 観客もイントロで「ヘイ!ヘイ!」と即座に反応。
 ここでもサビの「Seven Wishes 〜」で大合唱。喉が痛いほどだった。
 ソロでは確実に昔よりも複雑となったタッピングフレーズをジェフが披露し大きな喝采を浴びた。
 実はこの曲の途中までジェフの機材の調子が悪く不機嫌そうな顔をしていたのが非常に気になっていたのだが、ソロ前あたりでそれも本来の調子を取り戻し笑顔になったのはなによりであった− 後ほどの情報ではジェフ用のモニターがそれまで全く機能していなかったらしい
 「SEVEN WISHES」の後はジャックのMCも無しにマイケルのキーボードをバックにあのボリューム奏法フレーズが場内に響き渡った。
 「RUMORS IN THE AIR」は大好きな2ndに収録された曲、そして20年前のあの初来日でも披露された曲でもあるのだ。この時、私の気持ちが一気に20年前にタイムトリップしたと言っても言い過ぎではないだろう。
 曲途中にはブレークを挟み、ケリーが叫んで客を煽ればジャックはそれに負けじと「ナゴヤ!」と続き、客席は大いに盛り上がる。
 流石キャリア20数年以上のベテランは客の心を掴むのが巧い。
 「RUMORS IN THE AIR」が終了して、やうやく小休止。
 ジャックが今日、はじめてMCに立った。



 しかしMCと言っても「Hello 〜」で始まり「Night Ranger Nagoya」を絶叫連呼するという実に”判りやすい”もの。
 判りやすいだけに場がシラけることもなく、最後には「Night Ranger Nagoya」が観客とのコール&レスポンスに変化し大いに盛り上がる結果となった。
 MCの後は促されるようにマイケルのキーボードが低く唸り始めた。
 「Song call "SING ME AWAY"」とジャックの叫びと共にブラッド、ジェフの小気味よいコードリフが入ってくる。
 メインボーカルはもちろんケリーだ。個人的には最近、自分の練習曲というのもあって曲が始まった途端、何か熱いものが込み上げてきて泣きそうになってしまう。
 これまたサビの「Sing Me Away 〜」で大合唱になるのだが私は嗚咽に変わりそうだった。
 どう考えても泣かせる曲では全く無いのだがこの20年の歴史が、思い出が私の涙腺を緩めているに違いなかった。
 ギターソロはヘイマーのJeff Watson MODELから憧れのGibson、GOLD TOPに持ち替えたジェフが流麗に弾き、その後はエンディングまでジェフとブラッドが3度でハモっていく。
 その時、ジェフが前に出てブラッドがその後ろでギターを構えるというコンビネーションはデビュー以来見続けたスタイルであったがNIGHTRANGERファンであったならライヴでは必ず一度は見たいシーンである。
 それゆえに観客の反応もこの時は一段と大きくなったのは言うまでもない。
 次に披露されたのも ファンにはお馴染み「TOUCH OF MADNESS」。これも初来日で演奏された曲。
 客もイントロから「ヘイ、ヘイ」と凄いノリだ。
 当然「I Need Touch Of Madness」というサビの部分で大合唱(今回、このフレーズばっかり(笑)でもホントだからしょーがない)
 ジャックのアクションもケリーのドラムに合わせ必要以上に激しい。
 中間部ソロではブラッドとジェフのハモリが素晴らしく、エンディングのソロではブラッドのこれでもかのUP&DOWNを繰り返しつつメロディを奏でるアーミングが炸裂。
 それに触発されたジェフもお家芸のタッピングで応酬し曲を盛り上げたのだった。
 引き続き間髪入れずにキーボードから軽快なメロディが聞こえ始めれば昔からのファン誰もが「あっ」と思ったに違いない。
 「THE SECRET OF MY SUCCESS」は現在、パーキンソン病闘病中のマイケル・J・フォックス(先日、その闘病記を踏む自伝「Lucky Man」を出版)主演の映画「摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に」(1987年公開)の主題歌で、映画のサントラを担当したDavid Fosterとのいわば外部との共作であった筈。
 外部との曲だからという訳ではないだろうが今までこの曲を演奏したというのを私は聞いた事が無かっただけにこの曲の登場には驚いた。
 もしかして前述のマイケルの闘病を知ってこの曲をセットリストに入れ始めたのだろうか?
 −と勘ぐりたくもなるが真相はまたB!誌あたりで後日、明らかになるだろう。
 だが今までCDでしか聞いた事が無かったこの曲も、こうやって生で聞けば実にNIGHTRANGERらしくハードでメロディアス、素晴らしい。
 ギターソロはこれまで余り意識していなかったが ジェフ&ブラッドのハモリのフレーズが一瞬のズレもなく決まりこれぞ”NIGHTRANGER”
 今夜のライヴで大きな収穫のあった1曲でもあった。






pic まだまだ続く








SET LIST
1SIGN OF THE TIMES
2SEVEN WISHES
3RUMORS IN THE AIR
4SING ME AWAY
5TOUCH OF MADNESS
6THE SECRET OF MY SUCCESS
7NEW YORK TIME
8 EDDIE'S COMIN' OUT TONIGHT                   
9SENTIMENTAL STREET
10HIGH ENOUGH (DAMN YANKEES)
11GOOD BYE
12FOUR IN THE MORNING
13WHEN YOU CLOSE YOUR EYES
14DON'T TELL ME YOU LOVE ME
・・・Encore ・・・
15SISTER CHRISTIAN
16YOU CAN STILL.ROCK IN AMERICA                  











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