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 11曲目はこれまた懐かしき曲「SOMEBODY GET ME A DOCTOR」、2枚目のアルバムからの曲だ。
 最近までこの曲を私は知らなかったが、あらためてCDを聞き直し気に入っていた曲であった為、個人的には大変盛り上がった。だが、ボーカルはマイケ・アンソニーが担当しておりこれもWOWWOWの時と同じであった。(比較的高いキーの曲の為、ゲイリーの音域では無理があるのか....。)
 12曲目はNew アルバムから「A YEAR TO THE DAY」
 結構長い曲で個人的にはあまり好きではないが、間奏のギターソロあたりからエディの本領発揮となる。
 このギターソロがまんまエディのギターソロコーナーへとつながり今回のライヴのハイライトを迎えた。
 ギターのトーンも変わり、ディレイとピッチシフターあたりを絡ませた音色でギターのボリュームを操作しピッキングのアタック音のみをカットしていく奏法(ヴァイオリン奏法)の曲はアルバム「Diver Down」に収録されていた「CATHEDRAL(大聖堂)」だ。
 この曲でエディは時折ディストーション系の歪んだ音に戻したりして変化を加える。その次に現れたのが伝説の「IRRUPTION」
 多分、今日のセットリストの中で一番見たかった曲ではないかと思う(聞きたかったではない!)。
 今思えば コードを分解しただけの単純なタッピング(ライトハンド)フレーズだが、オリジナリエーターしか持ち得ないそのプレイスタイルはやはり凄かった。
 タッピング(ライトハンド)を世界中で一番最初にやり始めたのがエディではないと昨今言われたりするが、これだけインパクトをもって世界中のギタリストに影響を与えたのはエディだけであることは確かだ。
 注目の「IRRUPTION」に続き(ギターの音色をクリーントーンに変更して)聴こえてきたのは「316」。この曲も思い出深い。
 確か始めて聞いたのはVAN HALEN初のオフィシャルライヴビデオであった。その時もエディのソロコーナーで演奏されていた。その後「F.U.C.K」に収録されたもので当時、この曲は息子に捧げられた曲であり 誕生日の3/16からタイトルがつけられたというエピソードが載っていた。(でもクラプトンの「TEARS IN HEAVEN」「CURCUS」みたいに転落死した息子に捧げた曲ではないのでご安心を。元気に生きています。)
 この「316」の後半が再び「A YEAR TO THE DAY」につながってエディのギターソロコーナーが終わった。やはりエディは凄かった。レコードやCDと同じ音を出せるってやっぱり凄い。
 ギターソロを挟んだ曲の後は「RIGHT NOW」。これもサミーヘイガー時代の曲。ノリが良く盛り上がりも良い。しかしこの曲の後、また小さなアクシデントが...。
 曲が終わりかけた頃エディ以外のメンバーがステージをはけようとすると聞き慣れたギターリフが聞こえ始めた。「AIN'T TALKING 'BOUT LOVE」だ。明らかにエディ以外のメンバーがステージ進行を間違えていたようである。(それともエディの予定外の行動だったのか?)
 また このあたりからボーカルのゲイリーの暴走(?)が始まった。
 WOWWOWのライヴの時も観客席に入っていって一人階段落ち(?)をやってしまう訳の分からない行動に出ていたゲイリーは今回のライヴでも客席に降りていく行動に出たようだった(よく見えなかったが)。
 曲自体は初期の代表曲であるにも関わらず昔からのファン、最近のファンとも入り乱れてよく盛り上がった。やっと新旧のファンの垣根が取り払われた感じであった。
 「AIN'T TALKING 'BOUT LOVE」で、とりあえず1部は終了したが、すぐに始めるアンコールの声と手拍子が鳴り響く。その甲斐あってあまり間を空けずにメンバーがステージに戻ってきた。ゲイリーとアコースティックギターを持ったエディはステージ左端のツートンカラーのお立ち台に座り込んで曲が始まる。ニュー・アルバムから「JOSEPHINA」である。
 アルバムではエディもボーカルをとっていた曲だったが今回はなし。ギターに専念している。でもこの雰囲気は全くヌーノ・ベッテンコートとゲイリー・シェローンの、すなわちエクストリームの「MORE THAN WORDS」そのものだ。本当にこのまま「MORE THAN WORDS」をエディが弾いても全く違和感が無い。
 もちろん「MORE THAN WORDS」を演奏はしなかったが、いつかエディのギターで聞いてみたい気はする。(その前にエクストリームが再結成したりして...)→ その通り、後年 エクストリームは再結成しました(笑)。
 そして静かな曲の後は最後の盛り上がりが待っていた。曲はお馴染みの「PANAMA」
 アレックスのツーバスドラムから印象的なエディのギターリフが聴こえてくると広いレインボーホールは広さを感じさせないほどの盛り上がりをみせた。
 で、最後の曲はだれもが知っていて 待っていた待ちに待った超超有名曲「JUMP」
 あの有名すぎるぐらい有名なキーボードのイントロが聴こえてくると観客の盛り上がりは最高潮に達した。
 でも、あれっキーボードはエディが弾いていない。エディはギターでミュートかけた単音リフを弾いているだけだ。そもそもキーボード自体ステージに現れていないのだ。
 多分他の曲と同じように舞台袖でスタッフが弾いているのだろう。正直 言ってこの曲だけはエディが弾いて欲しかった。(全編ギターで通したエディを見れたことも新鮮ではあったが...。)

 結局、この「JUMP」をもって新生ヴァン・ヘイレンの波瀾万丈なライヴは終了した。




 まとめ

 序盤からアクシデント続きで自分としてはその時点で、ライヴ前に持っていた過剰な期待は冷めてしまいライヴとしてはもうひとつのような気がしないでもなかった。
 特に今回はライヴパフォーマンスよりも我々ファン側に問題があったような気がする。ヴァンヘイレンというバンドは70年代から活躍し続けている為当然ファン層も幅広く、上は40代はじめから下は10代後半ぐらいだと思われる。コアなファンは当然初期から聞いてきた年輩のファンであると思えるがそれぐらいのファンが果たしてどれくらいあの会場にいたかは不明だが年齢から言って若い時のような盛り上がりをしたとは考えにくい。そのため会場を一番盛り上がらせるべき10代から20代前半ぐらいが他の客を煽るべきぐらいであったが、実際はそうではなかった。

 このホームページを見てくれてメールをくれた方の観察によると(この人はスタンド席であったらしい)「最近ファンになった若い世代の者が多く、それも最近の曲しか知らないという感じで昔の曲には全然盛り上がっていなかった」という意見が述べられ私も全く同感に思った。
 とにかく昔、それもサミー時代の曲でさえも盛り上がりが少ないのだ。
 また新ヴォーカリストであるゲイリーに対してファンがあまりにも冷たいようにも思えた。
 それはゲイリーが客を煽っても反応がいまいちなのに対し、エディが同じ事をするとゲイリーの何倍にもなって反応が返ってくることでも顕著であった。確かにヴァンヘイレン=エディ・ヴァンヘイレンという図式は仕方がないことだが、あまりにものそのファンの態度の違いに唖然としてゲイリーに同情してしまった。
 このようにファンとゲイリーの間に見えない壁があった以上、もうひとつ盛り上がりにかけたのも今思えば仕方なかったのかもしれない。



 やっぱり初来日や実現しなかった「1984」ツアー、サミー加入後初の来日公演を見てみたかった。



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