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商品名
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「田宮模型の仕事」 |
作者
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田宮俊作 |
出版社
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文春文庫 |
定価
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524円+税 |
購入場所等
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BOOK OFFにて250円で購入
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コメント
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「実物の自動車を作る術を知りたければ、最初にタミヤのキットを組み立てるのが近道さ」
赤と青のツートンカラーに白抜きの星印2つ。
このマークに特別な想いを抱く由緒正しきベテランの少年達(注:大林宣彦監督命名)や現役の少年達も多いことでしょう。
今回、紹介する「田宮模型の仕事」は現在の日本の、いや世界のプラスティックモデルの隆盛の礎を築いたと言っても過言ではないタミヤの創生期から現在までの歴史を社長である田宮俊作氏が語るというものですが 家内工業レベルの時代から会社の先頭に立ってきた俊作氏だけに書かれた内容は非常に面白いです。例えば田宮模型の主力商品でもある戦車のプラモデル製品化の為に世界中の戦車博物館に足を運び寝食を忘れ写真を撮りまくりその資料とするのは序の口で、ドイツの名車、ポルシェの製品化にあたっては実車を購入し分解して隅々まで調べる...などなどエピソードには枚挙にいとまがないという感じ。
しかし、静岡の一町工場でしかなかった田宮模型が「世界の田宮」と言われるまでには一朝一夕で成し遂げられた訳ではなく、同じベンチャーとして始まった先発のホンダや、松下、ソニーのように苦難の歴史もあったのです。
ただ興味深い事にそういう困難な状況においても救世主たる人物が現れて窮地を救ってくれるというのはこの会社の運の強さも感じましたね。例えば、プラモデルの箱絵(イマイの「サンダバード」シリーズ)やSF的絵物語の第一人者である小松崎茂氏。田宮模型の創生期において氏の箱絵が無かったら今の田宮が無かったというのもあながち間違っていないでしょう。またホンダの創立者である本田宗一郎氏も田宮模型にとっては後の「世界の田宮」への下地を築く上で重要なキーマンでもあったようです。(自動車レースの最高峰FIにおいて国産車で初めて優勝したホンダF1-RA-273をプラモデル化を快諾された事で
その製品が海外で評判となり苦戦を強いられていた海外市場に活路を見いだしたのです)
その他、レース関係者では俊作氏と特に親しかったロータスチームの監督以下、スタッフの面々も外せないでしょう。スーパーカー世代の我々にとってはロータスの「John Player Special」なんて実車よりも田宮のプラモの方が思い入れがありました。それと驚異の6輪車マシン、タイレル(ティレル)P-34なんてのも田宮のプラモやラジコンで有名になったというのもあったようです。
また近年に於いてタミヤの大ヒット商品に「ミニ四駆」シリーズがありますがこれも「ルパン三世 カリオストロの城」「未来少年コナン」等の作画監督で有名な大塚康生氏のアドバイスが無ければブームは起こらなかったというのも初耳だっただけに驚きました。(ちなみに今や、模型の世界では定番である「ジオラマ」(情景)もタミヤが広めたらしい。この「ジオラマ」に欠かすことの出来ない人形モデルも大塚氏の助言が生きているそうです。)
彼らのような存在無く今の田宮は語る事は出来ないでしょうが、彼らを惹き付けるだけの魅力がこの会社にはあったということが現在の隆盛に繋がっていると言えるのではないでしょうか。
実は先日、はじめて田宮模型の展示即売会「タミヤモデラーズギャラリー」行ってきました。時間が遅かったのか、それほど賑わっている感じではなかったですがそれでもミニ四駆を特設コースで楽しそうに走らせているちびっ子や親子連れを目撃してちょっと嬉しかったです。
少子化が進む現在、これからおもちゃ業界もどんどん淘汰が進むのでしょうが
TVゲームでは味わえない「モノを作る喜び」を模型作り通して学ぶという姿勢は今後も失って欲しくないと思った次第です。
それにしても何故このような「プロジェクトX」好みの話題が番組で取り上げられないのでしょうか ?
やはり「おもちゃ」が話題だと商品名の関係などでマズいのでしょうか ?
それとも「プラモデルー子供向き」という偏見に番組制作者は捕われて低く見ているのでしょうか ? 実に不思議です。
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