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訳あって画像を修正しております
商品名
海賊盤 / ブートレッグ
製造元
色々
定価
色々
購入場所等
西新宿・名古屋 etc
コメント
「カイゾクバン」というものが世の中にはある。
なんとも胡散臭く、怪しい商品である。
多分、多くの人が東南アジアあたりで作られたコピー商品、 いわゆる”パッチもん”を連想する事だろう。
ことエンターテイメントの世界では”海賊版”というと 著作権、肖像権その他諸々、完全無視の違法商品でもある。
そして映画などのビデオ、VCD、DVDの”海賊版”はオリジナルよりも ぐっと粗悪な商品である場合も多い。
しかしこれが音楽、特に洋楽ROCK(JAZZもそうだが)のフィールドで 語られる時、全く違う「輝き」を放ち始める。
その時、それは”海賊版”ではなく海賊盤という名称に置き換わる のだが今では「Bootleg」(ブートレッグ)という名前の方が通りがいいのかも しれない。
Bootlegとは元々は”密造酒”を意味する言葉らしいがその歴史は案外古く Beatlesがリアルタイムに活躍していた頃まで遡る事が出来るようである。 Bootlegにはいくつかの種類に分類、出来るが大まかに言って

1・コピー商品
2・(純粋な?)ブートレッグ


と二つに括ることも可能。
「コピー商品」とはその名の通り、正規商品からのコピー。
専門用語としては「カウンターフィット」「パイレーツ」などと呼ばれている ようだがどちらにしても偽物である事にかわりはない。
「ブートレッグ」−私がこの項で中心に取り上げたいのはこれなのだが− は正規商品のコピーに対し、正規では出回っていない未発表音源を アーティストの承諾も得ず勝手に販売されたものである。
承諾を得ずに販売という事は当然ながら著作権料等はアーティスト側に 還元されず利益は全て制作販売した業者のものとなる当然の如く 違法商品。(特別に海外で著作権を登録して販売しているものが あり、これは「ハーフ・ブート」とか「ハーフ・オフィシャル」と 呼ばれているがこれもアーティストの承諾は得ていない。よく聞いた事もない アルバムが安い値段で売られている場合があるがこれがそれに当たる)
このブートレッグには正規で売られているCDアルバムのアウトテイク(いわゆるボツテイクですな)を発掘して音源化したアウトテイク集。ライヴを観客がカセットテープ(昔)やDAT(今)、8mmビデオ等で隠し撮りしたオーディエンス録音音源&映像。アーティスト側が自らの記録の為に録音、またはライヴ中、客席中央で音を調整するミキシング卓から流出したサウンドボード音源。TV、ラジオで放送された音源をそのまま利用する放送音源とカテゴライズ出来る。

これらアーティストに取って全く不利益この上もない存在である筈の「ブートレッグ」であるが意外にもアーティスト側には好意的に受け捉えている場合も多い。 −というか、このブートレッグを嬉々とコレクションしているアーティストが非常に多いのである。
例えば、LED ZEPPELINのJIMMY PAGE。先日、発売されたライヴの集大成DVD(VIDEO)は一部、ブートレッグからの映像で補完していたりもする。
またDEF LEPPARDのVo、JOE ELLIOTに至っては雑誌で自らコレクターである事を熱く語っていたのを読んだことがある。あのJOHN LENNONなんかも生前はかなりのものだったらしいと聞く。もっと調べれば色々、有名人の名前が挙がってくるだろうがアーティストだって元々は熱心なリスナーであった筈。我々と同じ興味や所有欲に駆られてというのは至極当たり前の事である。

ところでこのブートレッグが今や、日本が最大の生産地、及び流通地であることを ご存じだろうか?
「ROCKならアメリカやイギリスが本場だろう?」
と思うのだが意外や意外。今は日本なのである。もちろん、ここ10年ほど前ぐらいまではアメリカやヨーロッパがその生産の中心であった。しかし、こと著作権、肖像権の権利関係に厳しいかの地では(ブートレッグを生産、供給する事が)余りにも危険と判断。自然と衰退したというのが真相らしい。(音源、映像元は今でもアメリカやヨーロッパが中心ではある)
つい最近もBeatlesの元から盗まれた音源を製品化していた業者が摘発を受けたという事例からも業者の危機感は相当なものに違いない。その為、いつの間にかブートレッグの主な生産拠点がここ日本に移ってきた訳だがそれら違法商品が日本では摘発を受けたという事例をほとんど聞かないのも不思議な事である。(これに対し日本のアーティストのブートレッグはほとんどの場合、摘発を受けるようだ)
そんな「ブートレッグ天国」な日本を象徴するかのような街が東京、西新宿なのである。


続く
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