タバコを止めてみました 2003年12月11日
 キャスティングとタバコを結びつけて論じようとするものではあまりせん。
 ここでは,私がタバコを止めた訳をお伝えするだけのものです。
 まず,タバコ歴。ルールどおりにタバコを吸い始めました。つまり,二十歳になってからということ。初めて吸った1本は,吐きそうになるくらい気持ちが悪かったことを覚えています。これ以来25年8ヶ月,タバコを吸い続けました。元々どうしても吸いたいという願望があって始めたわけではなかったので,禁煙トライを何回かしましたが,我慢ができず失敗に終わってしまいました。40歳くらいだったときに,それなりの決心をして禁煙に臨んだことがありました。半年間,東京で寮生活をおくるのを機会に,合わせ技で禁煙をしてやろうと狙ったわけです。苦しみながらも1週間近くは禁煙できたでしょうか。しかし,この寮生活,昼間は勉強を強いられ,夜は六本木で.....こんな過酷かつ素晴らしい環境で禁煙なんてうまくいくはずがありませんでした。

 こんなこともあって過去の経験を総括すると,「禁煙したい自分はあるけれど,結局はずーっと吸っちゃうのかなぁ」と思っていました。「タバコは緊張感を緩和させるし,使いようによっては有効。例えば,キャスティング試技の合間のタバコは,おいしいというよりも,気分を落ち着かせる。」なんて。この考えは,ほんのつい最近まで思っていましたし,実行していましたね。大会で吸う本数は,酒飲みの際と同様,通常日よりも多くなっていたのも事実です。

 タバコの害をここで説くつもりはありません。あまた多くのHPに載っていますので,繰り返しになることは避けます。とにかく,身体に良くないことは確かなのですから。
 それがなかなか止められない。軽いタバコに変えようが,結局は吸ってしまっていたのです。

 2003年9月上旬,タバコを止めることにしました。理由は体調不良からです。タバコを吸えないほどの体調不良ではないのですが,なかなか身体がスキッとしないものですから,願掛けの一つぐらいの軽い考えで,止めたのです。禁煙ではありません。禁煙は,喫煙者ベースの人がタバコを吸わないことをいうのであって,タバコを止めることとは非喫煙者になるということです。

 今回の「タバコ止め」は,特段の禁断症状もなく,これまでのところすんなりときています。
 危機的状況が無かったわけではありません。「タバコ止め」をして,1週間後に飲み会がありました。禁煙破りをしてしまいがちな悪魔的会合です。正直,参加することに恐怖感を持っていました。酔っぱらって1本でも吸ったらおしまいだと。
 信じられないかも知れませんが,これがなんなりとクリアできたのです。私はどちらかといえば酒に強い方ではありません。ビール1本飲めばかなり酔っぱらった状態になれます。酒の席は乾杯で始まりますよね。酒に弱いのですけれど私は最初の一杯はグググイッと飲み干すのがスキなのです。そして,即,アルコールが効いてくる。通常はそこから一服ですね。
 変な理屈になりますが,過去に禁煙を経験している私は,禁煙後の一服の強烈さをしっかりと覚えています。スーッとニコチンが身体に回っていくのが,すごくよく分かるのです。しかし,そのときはこう考えたのです。「酔っぱらってしまった今,これをやっては損だ。どうせ「タバコ止め」を破るならばしらふの状態じゃないと,タバコのうまみが無いではないか」。そう思うとタバコの誘惑を簡単に退けることができたのです。禁煙後の一服のすごさを身につけていたことなのか,はたまた,ニコチンに身につけさせられていたといった方が良いのか,いずれにしても過去の禁煙失敗が逆の意味で功を奏したのです。
 翌日,タバコを吸うことはありませんでした。今度は,「酒の席のタバコを我慢できたのだから,しらふでわざわざ「タバコ止め」を破る必要はないのでは」と。

 禁煙パッチ,ガム等,今や禁煙グッズは巷にあふれています。個人的には言わせてもらえればこのようなものはいりません。「タバコを吸うこと自体が病気である。当然病気は直した方が良いのだから,タバコを止める」とすればできるものです。ニコチン中毒という病気なのですから,わざわざパッチなどを使ってニコチンを補給する必要はないじゃありませんか。「タバコを止める=ニコチンと縁切りする」なのです。
 「競技中リラックスするため」も勝手な理屈付けなのだとも分かってきました。タバコを吸わない人がしょっちゅうイライラしていて「F」率が高くなっているなんてありません。通常タバコを吸う人が,ニコチン切れになるとイライラするのです。つまり元々イライラはタバコが生じせしめていたものなのですね。
 「体調不良だからタバコを止めたんだろう」とおっしゃるかも知れません。「願掛けの一つ」と前述したように,その意味も確かにあります。
 一般的な禁煙のすすめで表現されているものとして「禁煙すると次第に体調が良くなってくる。」とされています。今の私にはその感覚はありません。体調は良好というよりも,かえって不具合さえも生じている次第です。ならば,再び喫煙者となることに何の抵抗もないはずです。
 しかし,ここが考えどころと思っています。長年にわたりニコチンの毒牙に犯されていた証拠なのではないか。タバコを止めて不具合がでるので再び喫煙させようとするニコチンの秘技・魔術的な誘惑のようなものであると。本来は悪くなっていた体の部分を,ニコチンが中毒というその巧みな技を披露することによって,本来表に出すべき症状を隠しているとも考えられます。ずーっと隠してくれれば万病を抑える妙薬となるはずですが,そうではない。ある日突然なのか,徐々になのか,悪い部分は確実に表面化させていくのです。この巧妙とも言えるニコチン・タールコラボレーション作戦に乗るわけにはいきません。仮に体調が戻らないとしても,タバコを止めなければ更に悪くなっただろうと思っていますし,私は,密かに待っているのです。体調万全となって,飛距離の増となって体現できることを。

 「タバコ止め」をして一つだけ残念に思っていることがあります。それは,「タバコ止め」をした日を特定できないということです。9月上旬と記しましたが,その日を記念日のごとく扱わなかったのです。よくあるじゃないですか。「○月○日からスタート」なんて。
 こんな,気軽な取り組みがこれまでうまくいった一因かも知れません。とりあえず1日やめよう。OKならば次の日も。3日目も大丈夫だ。ついでだからこのまま「タバコ止め」を進めようと。(宣言したらダメだったかも。宣言するとかえって意識しすぎるし,喫煙者から喫煙プレッシャーをかけられるから)

 タバコをお吸いのキャスター(あたりまえだけどキャスターを吸っている投げ釣り人ではない)にひとこと。
 タバコを止めたからといって,飛距離が伸びることはありません。だからといって「F」率が増えることもないのです。これは,別の方法をもってリラックスすれば済むことです。例えば,飲み物を一口含み,椅子にゆったりと座って,かつイメージトレーニングを組み込みながら深呼吸をするなんて。
 飛距離に関係ないならば,吸っても吸わなくてもどちらでも良いということになりますが,それは違います。今,私はこう考えています。「タバコを吸い続けると飛距離が落ちる可能性は高くなる」と。キャスティングはスポーツです。タバコが手放せずタバコに依存して競技を行うことはスポーツとしてあまりにも不自然ですし,健康を害してそもそも投げることができなくなるおそれもあるのですから。

 タバコを止めてもうすぐ5ヶ月,禁煙ではないのですから,もう吸いません。計算上,毎年10万円以上浮くことになります。これは何に使うべきか。そんなこと分かり切っています。ニューロッドを買えばよろし!仮に飛距離が伸びなくとも,ニューロッドを持てることは嬉しいじゃないですか。
 JTに行ったお金が,今年はダイワ,来年はシマノに行くというように。
 2箱以上吸っていた人は,毎年,2社のニューロッドを手に入れられる。素晴らしい。

 携帯吸い殻入れなんて配る必要なんてありません。「タバコを止めて釣り道具を買おう!」キャンペーンをやればいいのに。