ダイワとシマノの投げへの取り組み 2004年4月30日
 釣り具の2大メーカー,ダイワとシマノ。(※D社を先に標記したのには特段の意図はありません。釣り具メーカーとしての歴史を優先しただけ。)
 少々前になりますが,リョービが釣り部門から撤退する前,ダイワの投げは相対的に弱くみえたし,元気がなかった,つまりダイワの投げに対する力の入れようが今ひとつという時期がありました。そのころは,因果関係は無いでしょうが,景気がバブル以降の下降線をたどっていたころと重なっています。

 そして,現在,ダイワの投げが元気になってきました。
 そのきっかけは,2001年のサンダウナー,Z45Cに始まります。変則3本継でしかもバットセクションを重くしたニューコンセプトのロッド,大幅な減量化に成功した大型遠投リール。この二つはダイワの投げに対する新たな姿勢を示す分岐点となりました。翌年にはサンダウナーのHスペック,更に2003年には虚飾を廃し競技モデルに徹したサンダウナーcompetition。そして,2004年,Z45Cの更なる軽量化と競技志向を目論んだリールとしZ45Uが,また,同社コンベンショナル3本継モデルの最高峰として赤のトーナメントサーフが,新たな投げのタックルに加わりました。

 シマノの投げのハードに対する姿勢は,軽量・大口径・平行密巻きリールのスーパーエアロテクニウムMgや11年の時を待ってニューキススペをリリースするなど,従前と変わらず,目立ち,かつ充実していますが,ここのところのダイワの連続的な攻勢は,投げ釣りフリークを驚かせるばかりといっても過言ではありません。

 「投げ」がダイワにとって儲かるのかどうかは分かりません。少なくともダイワは「投げ」分野において,明らかに後塵を浴びていたとの自覚があり,失地を回復したいと思っていたからなのでしょう。
 投げは,釣りの入り口でありながら,スポーツ・競技性も高く,この分野での名声は,社のトータルイメージにプラスになると判断したのかも知れません。
 バブル期。ダイワは「投げ」に対する情熱は薄れていた。そして今,ダイワは「失われた投げの10年を必死で取り戻そうとしている」ように見えます。

 古くはオリムピック,少し前までリョービもありましたが,今や残念ながらこの二つのメーカーが釣り人にとって頼みの綱なのです。良いモノ・素晴らしいモノは唯一無二でしょうから,1社でも構わないともいえますが,個々によって,合う合わないがありますし,何よりも選択肢は多くあってほしい。しかも上質の選択肢が。投げにおける選択肢が充実してきたと感じているのは私だけではないでしょう。

 ところで,毎年開催される投げ釣りのシマノジャパンカップ。シマノはソフトでの充実を図ってきています。今年からレギュレーションに大きな変更がありました。それはタックルの縛りを取り払ったということです。これまでは,ロッド,リールともにシマノ製であることが条件とされていたわけです。メーカー主催の大会だから当然とも言えるでしょうが,今年のレギュレーション変更にはビックリしました。
 条件緩和なのですから主催者からの詳細な説明は必要ないでしょう。
 でも,気になります。それはどうしてなのか。シマノに確かめていないので,こちらの憶測に過ぎませんが,
@投げ釣りタックルのシェアはシマノが優位である。タックルの縛りをかけずとも,大会でのシマノ使用率が高い値を示す自信がある。
A実釣での真のシェアを知るために,大会においてデータリサーチを行い,今後の製品展開にフィードバックさせる。
Bシマノジャパンカップは,歴史もあり真の投げ釣り王者を決めるグレードの高い大会でなければならない。がまかつやダイワの大会も行われるようになっくるなか,これら大会との明確な差別化を図る必要がある。
C2001年から始めた18gキャスティング大会はタックルの縛りはない。同様のタックルを用いる大会として整合性をとらなければならない。
 いずれにしても,シマノの懐の広さに脱帽,そして英断にエールを送りたいと思います。
 ただし,この条件緩和が,ワークス同士の熾烈な戦いにならないことを切に願います。最悪なのは,シマノ,ダイワの看板を背負った人達による代理戦争となってしまうことですね。インストラクターVSテスターなんていかがなものかと思いますね。
 「リールはダイワ,ロッドはシマノがいい」と思っている(その逆もある)人もいるわけで,このようなプライベーターが,使いたいタックルそのもので試合に参加できる状態を守って欲しいと思うわけです。(←これはお門違いかな。プライベーターがワークスに負けないようにがんばらなくちゃいけませんね。)
 
 今回のシマノの英断。がまかつやダイワはこれに対して如何に対抗するのか,少々楽しみです。何らかの手を打たなければ,シマノの大会はグレードT,他の大会はグレードUに甘んじなければならない。シマノは強烈な戦いを仕掛けてきたともとれますが。

 ちょっと,横道にそれますが,メーカーは商品開発に関与する外部の人達をインストラクターやフィールドテスターという表現を用いますが,とりわけ「インストラクター」については,いかがなものかと思います。
 良く言えば,「デモンストレーター」でしょう。その商品の良さをアピールする人なのですから。
 この件に関し,JOFIは農林水産省を主務官庁として発足した公式の釣り人のための団体としてキチンと主張すべき。釣りにおいて使われるインストラクターはどのような者を指すのかを。