大切なグラウンド確保のこと 2005年10月3日
 大会や記録会,さらには練習をするにも,タックルと同様大切なモノはグラウンドです。参加される方であっても多くの方々は,ご存じないかも知れませんが,結構,大変なんです。「キャスティングとしての使用することのお墨付きをもらう」,「何かことが起きれば借りた人が責任をとる」,「事故があったら二度と借りられぬ」etc.。キャスティング競技とは,安全面が満たされ,計測ができるグラウンドがキチンと確保されて成り立つものなのです。無許可でゲリラ的に行うのではなく,許可を受け独占排他的に使わせてもらわなくてはダメです。キャスティング競技のために,わざわざ遠方から参加してくださった方に,「許可無しで使っていたのがバレて急きょ大会取りやめ」なんて,無責任なことはできないからです。

 実釣大会ではここまですることは珍しいのではないでしょうか。というよりも,管理主体の許可を得て「投げ釣り大会」をすることはないということ。まれに,「地元の了解を取れ」などと,訳の分からない条件を出すお役所があるやに聞きますが,基本的に海岸は,公共物であり自由使用の原則があって地元の了解などは必要としないはずです。地域振興にも寄与するのだから地元が排除しようとすること自体がおかしいと思います。最近は「海岸清掃運動」なども取り入れる傾向にありますから,「どうぞ,我が地で大会を開催してください。」なんていう誘致もあってしかるべきかと思うくらいです。
 少々というか,かなり話しがずれてしまいましたが,実釣大会の場所確保に比べて,キャスティング大会のそれは,かなりの努力と責任が必要になるということです。

 このグラウンド確保。これまでも掲示板等で触れてきたイシューではありますが,トップキャスターズで勝つこと同様きわめて難しい事柄です。茨城では,数々のトライ&エラーや場所探しを繰り返しながらも,いくつかのグラウンドを確保することができるようになりました。古くは日立市久慈川河川敷G,定番となった水戸市柳河G,新たに加わり夏の東北大会の定番となったお隣の県の福島県いわき市勿来G(「なこそ」と読みます。),そして主に練習Gとして使われている通称ひたちなか練習場です。
 この,ひたちなか練習場が,今後使えなくなる可能性がでてきました。
 もともと,この場所は,売れないもしくは売れているが使われない工業団地で,公には立ち入り禁止とされていますが,事実上は,ゴルフ,ラジコン,そしてキャスティングの練習に使われており,管理上は実質的にほぼフリーに使えていました。

 まもなく,ここが使えなくなる,つまり,企業立地がなされるとのことです。ここのところ,やっと景気が上向いてきたことを反映してのことなのがどうかはわかりませんが,何かが建つことは確かです。それも巨大なモノらしい。
 漏れ伝えられるところによれば(確かな情報ではないということ),中国,韓国の低価格半導体に対抗すべく,経産省の掛け声により国内の半導体メーカーが結束して一大生産拠点を構えるというもので,とてつもない規模になるとのこと。九州のどこかの県と茨城県が引っ張り合いをしているようで,どうも茨城に落ち着きそうなのです。

 バブル以降,景気の低迷が続く中での工業団地は売れ行きは,土地価格の下落により,流通の優位さを考慮して,東京圏に近いところから売れていく状況にあって,その点で茨城の団地は今ひとつといったところでした。
 こんな中で広大な工業団地が売れ企業立地がなされる。1000人規模の雇用創出も付け加えられ,地元経済には最良の起爆剤となるのではと思われます。
 私たちが勝手に言うひたちなか練習場は,本来の使用目的に使われ,しかも地域経済に貢献し,国家レベルでまで言ってしまうと,半導体市場の覇権を征することができ,素晴らしいことです。

 しかし,我々にとっては,わがままは承知の上で,ゴルフ練習の人達と軋轢を起こさず大切にしていたグラウンドが無くなってしまうことの方が大問題です。

 正式な手続きを踏んでキチンとした形でグラウンドを使いたい。求めるところは,これになります。
 これについても若干の逆風があります。指定管理者制度という言葉だけでは何を指すか分からない制度ですが,要は,これまで,市や町が直接管理していた施設等を民間に任せて経費節減を図ろうとするものです。
 グラウンドを借りるに当たって,管理者である窓口が民間になったら,キャスティングに貸すかどうかということ。これまで貸してもらえたものが管理者が代わることによって,キャスティングを目的外として扱うことは充分考えられます。
 これまでの積み重ねが水泡と帰すことになりかねません。

 キャスティング競技が盛り上がる一方で,グラウンド確保は難しくなるばかり。とりわけ,サーフ系キャスティング大会は広大な場所を必要とするので,大変です。

 今我が仲間は,新しいグラウンド確保に向けた調整を進めています。とりあえず,広い場所を使わなくて済む18g用のグラウンド。シマノさんのエコパスタジアム,ビートキャスターズさんの小田原城山競技場のごとく,第一級グラウンドを確保すべく,がんばっています。
 ワールドゲームズにも入っている種目なので,比較的,管理者には説明しやすい(理解を得やすい)競技ですが,実績がないものですからハードルは高い。ラバーシンカーを使うなど,高い安全性を説いても,「糸が切れたらどうなる」「人に直撃したら」「スタジアム外に飛んでいったシンカーにつまずいたら」等々,対処できる防護策だけではなく,レアのレアケースまでの問いかけもあり,難儀しています。
 これまでのグラウンド確保でもあったことですが,ここが我慢のしどころです。こちらにできることを誠意を持って伝え,どうにか使用許可の方向になるようにしていきたいところです。実績さえ作ることができれば,その後の継続的使用に繋がるのですから。

 キャスティングというスポーツが広く認知されグラウンド確保に困らないような時代にならないかと思っています。しかし,これは,ただ待っていて自然に相手から来るものではありません。競技をしたい者達の根気強いグラウンド確保に向けた努力が,これをもたらすのだろうと思います。

 皆さんに伝えたいのは,グラウンド確保の苦労話を聞いてもらいたかったわけではありません。キャスティング競技は,まず,そのセットが大変なんだということ。キャストフリークが集まれば,直ぐにできるというものではないということ。
 メジャースポーツになるには,この競技に興味あるすべての人達の協力が必要なのです。

 スノボやBMXがオリンピック種目になるくらいですから,キャスティングがそうなる可能性は充分あります。でもその時に,日本人が上位入賞でいないなんて寂しいじゃありませんか。

 ちなみに,もしキャスティングがオリンピック種目になったならば,その時の年齢的なことも考慮して,解説者で参加したいと思う次第であります。