今度は本気の公認フィッシングマスター 2007年11月12日
 今般,公認釣りインストラクターの上位資格である公認フィッシングマスター資格の取得に出向きました。(社)全日本釣り団体協議会による公認資格で釣りインストラクターの上位に位置づけられるものです。

 インストラクターとしての活動は充分だったかと問われると,正直,自分のことばかりが中心で反省すべき点が多かったと言わざるを得ません。
 しかし,私も確実に歳を重ねてきました。次世代に引き継ぐキャスティング→投げ釣り→組織基盤・環境などを,マスター資格取得とあわせて,「ここで仕切り直しをして考えなおしていこう」,こんな考えのもとのアクションでした。

講習・受験会場
 講習会・資格試験は,我が青春の香り懐かしい品川にある東京海洋大学(旧東京水産大学)であります。昔はチープな感じがしたのですけれど最近の品川は小洒落た街。大学近くのモノレール駅は天王洲アイルです。魚臭ささに似つかわしくないところになってしまって,隔世の感があります。

 さて,本題。
 インストラクター資格では,釣りの技術,釣り場でのマナーおよびルール,水産資源の保護意識の向上,環境保全,釣り場での安全などが求められました。
 フィシングマスターにおいては,漁業者と同じ水域で同じ資源を利用することから,「釣り」という遊び的な範疇を越えて,水産基本法をはじめとする各種法令の理解習得や,釣りの持続的な発展を図る観点からの環境問題への理解及びその取組みに重きが置かれた資格内容となっています。

 テキストとして,それなりの難しい資料が配布されたのですが,身銭を切ってまでして受講する人達ですから,参加者の意識は極めて高いものがあります。
 講習は2日間にわたって行われたのですが,残念な点は,講師への質問時間が充分取られていなかったところ,参加者間での意見交換がなかったところです。時間は限られており,遠方から受講受験に来ている方もいましたから,難しい点ではありますけれど,改善を望むところです。

 釣りは一人で遊ぶことができますが,ルールやレギュレーションの改善を求めようとすると「個」の力ではいかんともしがたいところがあります。
 講習を通じて再確認した点は,釣り人としてキチンとした組織化を図るということです。言い古された定番的なことなどですけれど「組織化」は大切なことだと思います。より良い釣り環境・状況を確保するため対外的な交渉が必要となり,その際の看板に団体名は無くてはならないものとなります。
 徒党を組んで悪巧みするような感じを受けてしまいがちですが,これからは,キャスティングの練習や実釣への時間を泣く泣く削って,組織強化への取り組みをしてみたいと思っています。


 インストラクター同様,今回も○×試験がありました。
 主催者側曰わく「試験については,講義を寝ないで聞いていれば大丈夫です。常識的な範囲ですから。それに,皆さんは既にインストラクターなんだから」
 では,その問題の一部を載せます。トライしてみてください。

 国際海洋法条約では,沿岸国は200海里内において排他的経済水域(EEZ)を設定することができるが,相手国との距離が400海里以内の境界は中間線を基本とするものの,実際は力関係によって決まる。
 国際関係はきれい事では済みません。先取り特権,軍事力優先で決まることの方が当たり前の状況であることを理解しておかなくてはいけません。でも,釣りとどんな関係になるのかなぁ。
 ブラックバスを遊漁対象としている河口湖でバス釣りをしたが,その魚を持ち帰って近所の河川にリリースした。キャッチアンドリリースであり良いことをしたと思っている。
×  これはサービス問題でしょう。これをマスターに出題するのが間違いなくらいですね。
 水産基本法の制定により,外来魚駆除対策を打つことができたといって良い。
 結構ハードな問題です。基本法を読んでもダイレクトに設問のような条文は無いところに問題があります。基本法第17条中の「水産動植物の生育環境の保全及び改善を図るため・・・その他必要な対策を講ずるものとする」の「その他必要な対策」が外来魚駆除だそうで,逐条解説には載ってるマニアックなものですね。講師が口頭で軽く振れた程度でした。いやらしい問題です。
 海面における漁業と遊漁の調整について(昭和47年水産庁長通達)では,遊漁者の漁具・漁法の制限が示され,漁業者の使用する同一の竿釣り・手釣りと限定されている。
×  間違えやすい問題です。良く読めばおかしいのが分かります。漁業者と同一である必要はありませんね。通達において,船舶使用では竿釣り・手釣り等,船舶無しの場合は竿釣り・手釣り,たも網,投網など示されています。ひっかけ問題です。
 魚が釣れない(魚がいない)水面は埋め立てしても構わない。
×  このような場所ほとんどの場合環境バランス上必要なところで,小動物のナーサリーともなっています。大切な場所です。ただし,魚が釣れないと分かっている場所に行く釣り人はいないでしょう。キャスティングの投げ込みをする輩は別として・・・
 海岸に漂着するゴミは家庭系廃棄物ではなく事業系廃棄物として扱われ,その処理は原則有料である。ただし,海岸清掃のボランティアのゴミ処理は無料の特例措置がある。
×  海岸清掃ボランティアのゴミであっても事業系なので処理に金がかかります。制度的には不都合な状態となっているのです。不都合な真実。これで映画を撮ればノーベル賞!!
 問題は60問程度。試験時間は1時間ですが,大抵の人が早めに出来上がって試験室を退出します。私は退出しないで,ほぼ全問題のアウトラインを書き出しました。
 上はそのうちの一部を多少アレンジしたものです。

 みなさんはどう思われましたか。
 講義を寝ないで聴いていれば大丈夫な範囲とは思えないでしょ。
 マニアックな問題ですね。専門的で,常識的な範囲外だと思います。

 でも,最低限,こんなマニアックな部分が無いと,マスター称号の意味が無いというものなのでしょう。

 マスター・マスター・マスター・・・・・
 自画自賛でありますが,ジェダイ・マスターのようで格好いい。
 これからは夜に光り輝くロッドを使いましょうか。