| 1 | 遠投系スピニングリールの軽量化経緯 | ||||||||||||||||||||||||||
| 遠投系大型リールにおいては,2001年にダイワがZ45Cで軽量化に成功し,2003年シマノがMgでこれを上回る軽量化を果たしたことによって,従前まで標準的だった500g前後の重量は,一挙に下がり400gを切る軽さが当たり前となってしまった。 ダイワが軽量化に火を付けて,それをシマノが追ったということになろうが,シマノとしては受動的に軽量化を目指したのではなく,2001年からシマノ自らが始めた18gキャスティング大会の利用には軽量化は不可欠と考えたからであろう。 18gはルアー系キャスティングの範疇とされているが,実際,競技においては,そのタックルはサーフ系キャスティングのものを用いている。18gというサーフ系の実釣では考えられない軽いシンカーであるため,パワーよりもキレ・スピード感が重要となり,そのためには,タックルの軽量化は必然とされたわけである。 通常,メーカー主催の大会といえば,当然のごとくタックルの縛りがかかるものであるが,シマノの18g大会は,この競技を盛り上げるべく,メーカーの英断もってしてタックルの制限をつけていない。 シマノ18g大会が始まった時点では,軽量遠投用大型スピニングリールはZ45Cのみ。したがって,リールに関しては,明らかにZ45Cの利用が目立っていた。 シマノ主催であるからには同社のタックル利用率が高いことに越したことはない。ロッドの軽量化に比べて,リールに関しては,リーリング感やライン放出等を優先し軽量化の動きには鈍かったシマノは現状認識を改め,ダイワの上を行く軽量化を狙った遠投系大型スピニングを開発・リリースすることになるのである。 |
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| 2 | MgとZ45Uの比較 | ||||||||||||||||||||||||||
このレベルのリールになると,どちらが優れていると簡単に結論付けることは難しい。 目指す方向は,飛距離であることに間違いない。しかし,それを実現する考え方・方法が異なっている。 ここではその考え方・方法別にこの二つを比べ得ることにする。 |
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| 1)ラインの巻き方 | |||||||||||||||||||||||||||
| Mgは密巻きを採用し,Z45Uはこれまでの45シリーズ同様クロスラップで通してきている。ともにライン放出にこだわりを見せるものの,全く異なった方法である。 密巻きに関してはFAQに記しているので,詳細はそちらをご覧頂きたい。 筆者としては,完全な密巻きになるならばスーパースローオシュレートを理解できるが,そうでない限り,クロスラップとのライン放出の優劣を決めることをできないばかりか,投てき直後のラインの一挙放出(いわゆるゴップ)を考えると,クロスラップの方が合理的ではないかと考える。 |
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| 2)スプール形状 | |||||||||||||||||||||||||||
| Mgはノーテーパー,Z45Uはテーパーである。これは,使用するライン素材にかかわりない形状である。スプール形状は,基本的に,ロングストロークであって,かつ,より大口径の方が放出抵抗が少ない。 このような考えのもと,Mgでは口径を重視し,Z45Uではストロークに重きを置いたことになる。 ただし,実際のところは,Mgは,よりストロークを伸ばしたかったのではなかろうか。あくまでも推測の範囲を出ないが,ストロークを伸ばすならば45mmを超えたい。しかし,構造上重量増は否めない。したがって,Z45Uとの差別化を図る上で,400gを切ることを前提に,スプールの大口径を優先し,ストロークは譲ったのではなかろうか。 他方,Z45Uについては,更なるストロークアップも選択肢にあったであろうが,Z45Cを創り上げる際に,これまでのスプール資産を継続したかった(過去の資産に引きずられているとの見方もある)がために,45のストロークありきとしたのであろう。 |
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| 3)重量 | |||||||||||||||||||||||||||
最軽量タイプは395gと全く同値になっている。 事を複雑にするのは,Mgでは今般,オプションパーツとしてスプールを新たにリリースしたことである。PE使用では,スプールの重さに違いはないが,ナイロン用のものを用いると,Mgは380g台にまでになり,最軽量となる。わずかな差であっても軽さに対する意識は高いものがあることから,この点ではMg有利と言えるだろう。 ところで,少ない投資での軽量化は意外に簡単な方法で可能になる。 右の写真に示した2つのハンドルの重量差は20gもある。Z45Cの極細使用は410gであるから,ショートハンドルを付け替えることによって,45Cは390gの最軽量モデルとなるわけである。 ただし,この方法には若干の問題がある。ハンドルが短くなる分,巻き上げがかなり重たくなるということである。 主にリール巻き上げによるサビキを行う者にとってはお勧めできるものではない。 筆者は,Z45C+ショートハンドルによる投げ込みを数回にわたりテストしたが,かなり巻き取りが重く感じられ,時として左肩がこってしまうほどの違和感を感じた。 |
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| 4)ベールアーム | |||||||||||||||||||||||||||
| キャスティング競技とは違った実釣で見れば,上記のような比べるポイントが些細なところあっては,明確な差を見いだすことは困難である。 決定的な差としては,ベール機構の有無である。Z45Uは,通常のリールが有するベールがあるが,Mgは,投げることに徹して,ベールを付けていない。実釣では,このベールはあってしかるべきパーツであり,当然,Z45Uのほうが優位であるといえる。 このベール関しては,それぞれ2社考え方に疑問を持ちたくなる。Mgはノーテーパーでしかもスーパーオシュレートを採用している。これは飛びだけではなく,一定スピードのリーリングを可能とさせるもので,明らかに実釣を意識した機構である。実釣を意識するならば,Mgはベールを装備すべきと考える。 他方,Z45Ucompeはキャスティング競技を強く意識したモデルである。Z45Uがあるのだから,compeのほうはベールの必要なかったのではないだろうか。これをはずせば,更なる軽量化が図られたはずである。(※ただし競技用といってもやはりベールはあった方が使いやすい。しかも,キャスティング競技用と名が付いても実釣に供したくなるものだ。) お互いを意識した結果,このような逆転現象が生じたのであろう。少々不思議な気がする。 妥協案ではないが,Mg,compeそれぞれ,ベール装着オプションや,ベール取り外しオプションを打ち出すのはいかがであろうか。Mgのベールオプションを望む人は決して少なくないと思うのだが。 |
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| 5)タラシ調整機能 | |||||||||||||||||||||||||||
| キャスティング競技を行う者達にとって,従前の半回転での調整では明らかに不十分であった。ラインはスプール半回転で10p程度となり実質的な調整幅はその半分の約5p。シンカーの乗り,飛び出し確度,方向性等はタラシの長さが極めて重要になるため,より細かい刻みのタラシ調整が求められていた。Mgは12分割で実質1p,Z45Uは6分割で実質2pのタラシ調整が可能,調整に関してはMgに軍配が上がる。 Z45Uは,ポップアップ機能を持たせ調整を行いやすくしているとともに,刻みが少ない分,剛性感がある。Z45Uは,過去のスプールも使えることになっているが,ことタラシ調整に関しては旧スプールでは,細かな刻み調整はできない。この部分には大いに不満が残るが,スプール形状に依存させずにタラシ調整を可能とするためには,リール本体に重量増を伴う複雑な細工をせざるを得なかったため仕方のないことなのだろう。 |
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| 6)替えスプール | |||||||||||||||||||||||||||
| Mg,Z45Uともに,替えスプールは付いていない。オプションとして,必要とされる号数,タイプを別途用意しているので,ユーザーの使い方に任せている。 この考え方は,余計なモノを付けられて高い価格設定がなされるよりも,ユーザーに歓迎される。 しかし,換えスプールが高価すぎる。特にMg用。キャスティングに供されるナイロン用は,1個2万円もする。投てき全てにスプールを交換する者ならば,インランドで3個,サーフ系キャスティングでは5個必要であり,かけ算するのが恐い金額に至ってしまう。ちなみにPE用は以前18000円だったものが10000円と半額近くの値段になったのだから,こちらの方もどうにかならないだろうか。 基本的に高額ということがあって,サードパーティーのジュラコンを使用する人もいるが,これではスプールの剛性が足りなく(剛性を保とうとすると標準より重くなり本来の軽いリールの意味が無くなる。)なるため,その形状がゆがむ可能性が高く,適当ではないだろう。 |
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| 3 | まとめ | ||||||||||||||||||||||||||
絶対的なことは言えない。これが答えとなってしまう。 それでは,選択するポイントはどうなるのか。それを記すと, ・密巻きが絶対有利だと考える者にとっては答えはMg。 ・必ずしもそれは当たらないと考える者にとっては,どちらでもよろしい。 ・刻みタラシ調整は使えないものの,45シリーズのスプールを持つ者にとっては,有効活用の観点からZ45U。 ・実釣中心ならば,ベールのあるZ45U。 ・両軸並みのタラシ調整を望むならばMg。 さらに細かくZ45Uとcompeではどちらがよいか。 飛距離重視となると,この二つではどうしても赤いcompeを選びたくなってしまうが,Z45Uのほうが若干ながら軽いし,こちらであってもタラシ調整はキチンとできるようになっているのだから,シルバーの選択肢もあり得る(※カタログ上ではタラシ調整はcompeだけのような書き振りだったが,Z45Uにも標準装備されているとは気がつかなかった)。シルバーを基本として,大口径スプールを使いたいならば,別途それを購入すれば済むからである。 ただし,赤いロッドには赤いリールが似合うと思いこむ人にとっては,軽さを捨ててcompeを選ばざるを得ないことになる。 どうでもいい話だが,世界選手権に出るならば,ロッド白−リール赤,ロッド赤−リール白の色使いがよろしいのでは。昔のホンダF1カラーを思い出させるナショナルカラーリングですね。 |
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