毎年1月中旬頃、JRAがその前年に行われたレースをもとに、それぞれの条件のもとに優れたサラブレッドを選出する「JRA賞」。この11日に、1998年度の各賞が発表になります。そこで、僕も、あくまで「私的な視点」で各賞を選んでみたいと思います。そういうわけで、これは「予想」ではありません。あくまで僕個人の判断で勝手に選ぶJRA各賞です。
年度 | 年 度 代 表 馬 | 性別・ 年齢 |
主 な 騎 手 | その年の 成績 |
主 な 勝 鞍 |
1993 | ビワハヤヒデ | 牡4 | 岡部幸雄 | 7戦3勝 | 菊花賞 |
1994 | ナリタブライアン | 牡4 | 南井克巳 | 7戦6勝 | 3冠、有馬記念 |
1995 | マヤノトップガン | 牡4 | 田原成貴 | 13戦5勝 | 菊花賞、有馬記念 |
1996 | サクラローレル | 牡6 | 横山典弘 | 5戦4勝 | 天皇賞・春、有馬記念 |
1997 | エアグルーヴ | 牝5 | 武豊 | 5戦3勝 | 天皇賞・秋 |
まずここで言及したいのは「おそらく実際に選出されるのはタイキシャトルだろう」ということ。確かに、GT3勝、うち1つは海外GT、という成績は文句がつけようもないし、マイルまでなら安定感は抜群だった。最後のスプリンターズステークスも完勝していたとしたら、さすがの僕もタイキシャトルを年度代表馬に選ばざるをえなかっただろう。
しかし、しかし、である。「タイキシャトルは1,600mまでのウマ」なのである。「たら、れば」で話を進めるのは危険かもしれないけど、「もしもタイキシャトルが2,000m以上のGTに出ていたら…」距離がもたなかった可能性は十分にある(もった可能性もないわけではないが、「父Devil's
Bag」という血統的な背景からすると、もたなかった可能性の方が高い)。2,000mを走り切れないウマを年度代表馬にしてしまってもいいものなの?
もちろん、「マイルのスペシャリスト」「6ハロン無敵のスプリンター」などと、それぞれの適性を生かした名馬たちの存在も認められるべきだろう。しかし、「年度代表馬」となると話は別なのではないか。「どんな距離でも勝つことのできる最強馬」これが僕の考える年度代表馬像である。これはあくまで「年度代表馬かくあるべし」という僕個人の理想に立脚したうえでの話なので、違う意見の人は聞き流してやってください。
そうなると、候補は2頭。セイウンスカイ(皐月賞、菊花賞)とエルコンドルパサー(NHKマイルカップ、ジャパンカップ)。どちらを選んだものか。僕もさんざん迷った。最後までセイウンスカイにしようかとも思った。なんてったってクラシック2勝馬だし。
でも、待てよ。ここでもう1つ問題にしたいのは、「エルコンドルパサーはクラシックに出られない外国産馬である」という点。ここでまた「たら、れば」であるが、もし仮に出ていたとしたら…ジャパンカップでダービー馬スペシャルウィークをひねったレースを見ると、どれか1つや2つ取っていた可能性は十分である。
セイウンスカイが強い馬であるということに異論はない。事実、僕は来年の天皇賞・春はセイウンスカイの3,200m逃げ切りで決まりとみている。ただ、有馬での4着が微妙に影を落としてしまった。エルコンドルパサーは6戦5勝、2着1回。その2着も、あのサイレンススズカに敗れた毎日王冠。まがりなりにもサイレンススズカについていけた馬はエルコンドルパサー1頭だけだった。レース内容、結果、そして安定感の全てを総合的に判断すると、ほんのわずかではあるがエルコンドルパサーが上、僕はそう思う。
最後に、今さら言っても詮無きことではあるが、もしサイレンススズカが無事だったら…。そう考えると、僕はサイレンススズカが年度代表馬になっても別にいいと思う。でも、年度代表馬になんてならなくてもかまわない。ならなかったとしても、みんなこの馬のことは忘れないと思うから。あれだけの逃げを見せる馬にまた巡り合える日がいつか来ることを祈りつつ。
ま、朝日杯3歳ステークスの勝馬なので。99年の牡馬クラシック戦線は、この馬とアドマイヤベガが中心になって回っていくのだろう。ともに鞍上武豊で、コジーンは弥生賞、ベガはすみれステークスからの始動となるらしい。ユタカはどちらでクラシックに臨むことになるのだろうか?
今の時点ではスティンガー(阪神3歳牝馬ステークス)が1歩、2歩くらいリードしてるでしょう。岡部さんに悲願の桜花賞を取らせてあげてください。あとは、プリモディーネ、ゴッドインチーフなどかな。でも、99年デビュー組から伏兵が出てこないとも限らないし、どうだろう…。
理由は前述の通り。候補はたくさんだけどね。エルコンドルパサー、セイウンスカイ、スペシャルウィーク(日本ダービー)、グラスワンダー(有馬記念)…。言えることは、「98年の4歳は強い」ってことだろう。99年の古馬戦線は5歳で決まりなんじゃないの。
これはファレノプシス(桜花賞、秋華賞)とエリモエクセル(オークス)の一騎討ち。でも、まあ順当に考えればファレノプシスだろう。単に「2勝vs1勝」ということではなく、勝負内容、安定感のいずれを見てみてもファレノプシスの方が上ではないか。エリモエクセルも強いと思うけど。99年のエリザベスは、この2頭に加えて、エアデジャヴー、エガオヲミセテあたりが有力候補になるのではないか。でも、ファレノプシスは距離適性を考えてマイルチャンオンシップに回るかも。
他に候補を挙げるとすればメジロブライト(天皇賞・春)くらいだろうけど…ここはぶっちぎりでサイレンススズカ。あの悪夢の故障が起こるまで、他のどの馬にも己の前を走らせなかったのだから。金鯱賞や毎日王冠なんていつまでも語り草にできるようなレースだろう。
これもメジロドーベル(エリザベス女王杯)とエアグルーヴ(ジャパンカップ2着)の一騎討ち…って、他にもう1頭いたよ。シーキングザパール(モーリス・ド・ギース賞)。何といっても、海外GT初勝利だった。でも、1,300mねえ。これがタイキシャトルみたいにその道で無敵を誇っていれば話は別だけど、高松宮記念、安田記念、マイルチャンピオンシップ、全部トンコロだもんねえ。まあ、前2つは道悪に泣いたんだろうけど。やっぱり、ドーベルとグルーヴのどちらかだと思う。しかし、そこは事実上の古馬牝馬No.1決定戦エリザベスでの直接対決の結果を重視したい。本質的な強さや馬格ではグルーヴの方に軍配を上げるとしても(安定感抜群だったもんね、グルーヴって)、98年に関して言えばドーベルの方が最優秀5歳上牝馬にふさわしいと思う。エリザベス女王杯って、そんなもんでしょ。
(すみません。10日にアップしたとき、この部門を落としていました。というわけで、この部門だけは事後の記事になっていることをご了承ください)
今現在コンスタントに活躍馬を出している「内国産種牡馬」って限定されてるよね。メジロライアンか、マルゼンスキーか、そこらへん。98年デビューの新種牡馬はけっこういけそうだけど(トウカイテイオー、ビワハヤヒデ、ウイニングチケット、サクラバクシンオー、フジキセキetc.…)。そうなると、この部門の受賞対象馬も絞られちゃうよね。ともにメジロライアンを父に持つ、メジロブライトとメジロドーベルくらい。ま、ここは、天皇盾の重みと、有馬2着の実績、そしてAJCCから天皇賞・春までの連勝街道を評価して、無難にブライトでしょうな。
これは文句なし。1,600mまでの無敵ぶりはケチのつけようがない。最後の最後にミソつけちゃったような印象なのがちょっと残念。
はっきり言って、交流重賞で輝いていたのはアブクマポーロ(船橋)1頭だった。地方競馬のアブクマポーロに賞をあげられない以上、ここは「該当馬なし」が適当。
個人的には生観戦していた中山大障害・春の勝馬ノーザンレインボーなんてどうかとは思うんだけど、一時のポレールほどの傑出した馬がいなかったような…。まあ、僕個人が障害レースに関心薄かっただけかもしれないけどね。「ジャンプレース」と命名された99年以降、障害戦線は活性化していくのでしょうか?
くどいようですが、あくまで「私的」ですので(事実、97年には僕は年度代表馬をサニーブライアンとしたくらい)、「実際のものと全然違うぞ」「なんでそんなウマ選んでるのよ。おまえの目は節穴以下」とかそんなことは言わんといてくださいな。ひらにお願いー。
ま、予想通りとはいえ、僕の選んだのとは違ってましたな。でも、「4歳牡馬」のエルコンドルパサーと「5歳以上牝馬」のメジロドーベルが僕と同じだったのにはビックリ。そっか、ダート路線にはウイングアローもいたんだよな。でも、これだって「該当なし」が1番多かったしね。以下に結果だけ載せておきます。しかしまあ、毎年ヘソ曲がりの記者っているもんだよなあ。「4歳牝馬」の「エガオヲミセテ 1票」って誰が入れたんだよ。0票だったエリモエクセルが怒るぞ。
1998年度代表馬 | タイキシャトル |
最優秀3歳牡馬 | アドマイヤコジーン |
最優秀3歳牝馬 | スティンガー |
最優秀4歳牡馬 | エルコンドルパサー |
最優秀4歳牝馬 | ファレノプシス |
最優秀5歳以上牡馬 | タイキシャトル |
最優秀5歳以上牝馬 | メジロドーベル |
最優秀父内国産馬 | メジロブライト |
最優秀短距離馬 | タイキシャトル |
最優秀ダートホース | ウイングアロー |
最優秀障害馬 | ノーザンレインボー |
特別賞 | サイレンススズカ |