まだまだ続く!ばんますのひとりごと

Sadalsuud
Sadalsuud

Feb.22, 2004

2004年2月15日、インド標準時23時30分。ばんますを乗せたシンガポール発ハイデラバード行きシルクエアー997便は、ラジブ・ガンジー・ハイデラバード国際空港への最終着陸態勢に入っていた。エアバスA320型機の窓の外に広がるのは暗黒の世界。ただ、ところどころに白熱色の灯りが見えるだけだ。これがインド大陸なのか?

大地に舞い降りた飛行機からブリッジを渡り、ターミナルの通路に入る。白いタイル張りの床。緑やエンジ色のサリーを身に纏った浅黒い人々が、土地の言葉で何やらうるさく喋りながら歩いていく。通路の案内版は、英語の他に、タミル語なのかヒンドゥー語というのか、アラビア文字とも少し違う何かの2つの言語が併記してある。一応エアコンは効いているのか、ムッとした空気は感じない。窓の外は真っ暗で、何があるのかよく分からない。ここは一体地球のどこなのだろう?

入国手続きの部屋へ来た。やはり白いタイル敷きだ。壁も白い。入国審査のカウンターは、木製で少し歪んでいる。何か、山奥の古ぼけた村役場か何かのようだ。記入しておいた入国書類、ビザ、そしてパスポートを差し出すと、審査官は無表情に何やら書類に書き込んだ後、何も訊かずに「行け」という風に合図した。

その後、セキュリティチェックと思しきゲートをくぐる。このゲートもまた木製だ。見ていると、金属を身に付けていようがいまいが、人が通ればブザーが鳴るという代物のようだ。しかも、ブザーが鳴っても誰も何も咎め無く、フリーパスである。一体全体、何の意味があるのかさっぱり訳が分からない。

空港を出る、、、。そして、ばんます遂にインドの土を踏む!そこでばんますを待っていた光景とは、、、
なんと、昭和30年代しかお目に掛かれなかったような、余りにも時代錯誤な不格好な車の隊列であった。そして、その背後では、スクーターとも人力車ともつかない、分類不可能な妙な乗り物が走り回っている。見ると、夜の夜中だというのに、サリー姿の女性の一団が腰を屈めながら箒でこの空港の周りを掃除している。

ここは一体地球のどこなんだ!?

何とか無事に迎えの人に会うことが出来、車でホテルまで送ってもらう。一応、まともに鋪装されている道だ。幹線道路らしく、片側2〜3車線あってかなり交通量も多い。しかし、その道の真ん中を人が堂々と歩いているのは何なんだ?それも一人や二人ではない。平気な顔をして悠然と道を横切ろうとする人もそこかしこにいる。スクーターが何台も何台も脇から湧いて出てくるように割り込んで来る。前を見ると、今度は対向車が中央線を大胆に超えて追い越ししようと突っ込んで来る。みんな当たり前のようにクラクションを鳴らしまくる。一体なんなのだろう、このカオスは?交通法規などこの国では意味を持たないのではないか?そもそも、信号機なんて殆ど無いじゃないか?

呆気にとられたままホテルに到着。早く眠りたい。部屋の鍵を開けてみる。
すると、それは素晴らしく広い部屋であった。そして綺麗。設備も至れり尽くせりだ。さっきまでの街路の混沌とは全く別世界だ。5つ星だとは聞いていたが、やはり外国人の賓客用ホテル、ということなのだろう。国民一人当たりの年間所得平均が500ドルにも満たない最貧国インドにあって、たった一泊で100ドルもするのだから、、、。ただ、我々外国人にとっては、身の安全はお金には換えられないということなのだ。
混乱した頭を少しでも休めたい。とにかく眠ろう。



翌日からばんますはスナップショットを撮りまくった。百聞は一見に如かず。


ハイデラバードの朝。サリー姿の女性が見える。


3輪自転車の少年、そして時代錯誤な車。これでも2004年だ。


賑やかな看板が並ぶ商店街。常に人が溢れている。


通り過ぎる民衆は何を思うのか、、、


果物売りの男、そしてオートリキシャ。


車窓から見える建設中のハイテクビル。そして時代錯誤な白い車。


そのハイテクビルの向かいを歩いて行く男。

現地の人に車で案内してもらいながら、ハイテクビルの建設ラッシュに感銘を受けた後、わずか数分間車を走らせたところで我々は否応無しに車を停止しなければならなかった。何故か?それは、バッファローの一団が道路を横切って行ったからである、、、嗚呼、インド。

All photos taken by ばんます, Feb.2004.

(To Be Continued)

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