成田エクスプレスは１０日間有効の往復チケットを利用したので（新宿〜第２空港ビル間往復で４４００円）窓口で指定席券を発行してもらい、タイミング良く新宿行きに乗車。しかしよく考えてみたらどうせ列んで指定を受けなければいけないので、ちょっとお値段がお得という以外はそれほど便利なものでもないことに気づく（快速エアポートならこの切符でそのままグリーン車に乗れるらしいが）。ただやはり二割はお得なので有効期限内の行程なら利用価値はあるかも。
　これもあっという間に新宿まで出てしまった。さいちゃんとはここで解散。そう言えば一週間も一緒にいたのであった。新宿駅に到着したのはラッシュ前の時間だったが思いの外混雑していて荷物は空港で宅配にして正解だった。外国人旅行者がこのような場所へ出てくるとどのように感じるかなどと思いを巡らす。地下鉄なんてどんどん潜っていってしまうので、地獄の三丁目までつながってはいないかとさぞ不安に感じることだろう。

　地元の交差点界隈も一週間留守にしただけなのに少し趣が違って見える。荷物も少ないので早速、駅近くでフィルムを現像に出す。一時間ほどで仕上がる。出来上がった写真を見るうち、本当に行ってきたのかどうか分からない不思議な気持ちにおそわれる。何とはなしに虚無感のようなものが漂い、なにかを向こうに置いてきてしまったような気がする。魂か。
　そのなかで思い出に浸るためこれらの写真とあるかなしかの記憶を元に、美術・博物館を都合６ヶ所廻ったアカデミックかつアーティスティックな旅にちなんで、いまはニューヨークの風景や出来事を水彩で描きなおしている。旅先に持っていくつもりで用意しておいた、ミニチュアのチープでキッチュな固形絵の具は、まさにそこはかなさと現実的な色合いを醸し出すものでありました。