'80年代初期にデビュー

 SIGMA Sa−1

  with SMC PENTAX 55mm/F1.8

 レンズメーカーとして有名なシグマのカメラである。普通カメラメーカーのレ
ンズというのは当たり前であるが、レンズメーカーがカメラを作って売り出すと
いうのは、なかなか勇気の必要なことだと思う。特にマウントに関しては、各カ
メラメーカーに対応したレンズを作っているだけに自社のカメラをどのマウント
にするか、ライセンスの問題もあるだろうし、独自規格を作るとレンズも専用と
なり、仕様を増やすだけである。バヨネットマウントの中で唯一規格を公開して
いたKマウントになったのは当然の成り行きと言える。他にリコーやチノン、コ
シナといった第2グループのカメラメーカーが採用していただけに他に選択肢は
無かったとも言える。もっとも、このカメラ実はリコーのXR−7とそっくりな
のである。そう公にはなっていないが異母(異父)兄弟と言っていいだろう。
 やや鈍角に仕上げたペンタ部の造形といい、右手側にスイッチやレバー類が集
中したデザインともに、80年代のメカデザインの典型では無かろうか。プラス
チッキーな外観からは高級感は無いが、結構好きである。当時のスターウォーズ
に代表されるSF映画の宇宙船の表面のデザインがごちゃごちゃしているところ
に通じるところがある。オーソドックスなXR−7とは違い、シグマのオリジナ
リティを感じる。
 当然ながら中古で手に入れたため取説なんか無いのである。そのためいじくり
ながら各種スイッチ類の機能を把握していくのだが(これが中古道の醍醐味でも
ある)、この時代のカメラにしては珍しく、意味不明のボタンが一つあるのだ。
だいたいカメラなんてレンズが付けられてフィルムが入れられてシャッターが切
れるだけなので基本操作は、どれも一緒。これは車も同じ。しかしそこに独自の
付加価値を付けていかにも高機能そうに見せるのがメーカーの腕なのだ。だから、
意味不明のボタンの一つや二つあってもおかしくない。それらを解明できたとき
の喜びは何物にも代え難い・・・なんてことはあまりない。グリップ部に付いて
いるスライドスイッチは、AEロックだと判った。その横に付いている長細い押
しボタンの意味が分からない。何故なら押してもなんにも変化しないのだ。2重
露光ボタンか?それにしては簡単に押せるし、明らかに電気スイッチだ。逆光補
正か?メーターを見ていてもなんにも露出値の変化がない。それとも壊れている
のか? まあ、機能しないならそれでもいい。気が付かないほどの機能なら必要
もないはずだから。
 ということで、わからんスイッチはほっておいて、まずは使ってみましょう。
レンズは残念ながらシグマの純正?で、Kマウントのものはあいにく持っていな
いので、Kマウント本家のペンタックスのレンズを着けて撮ってみました。ファ
インダー内のメーターが液晶なんだけどアナログ感覚で、なかなか凝っている。
おまけにレンズの絞り値読み取り窓もあってマニュアル機のファインダー情報と
しては文句なし。ミラーショックやシャッター音はやや大きめであるが、当時の
このクラスとしては普通。気になったのが、電源オンから、しばらくすると自動
的にファインダー情報がオフになるのである。これはごく普通で、通常この状態
からシャッター半押しで再びオンになるのだが、このカメラは半押しがない。ど
こまで押していいか判らず押し込んでいくといきなりシャッターが切れるのだ。
もちろんその状態でもオートは働くので露出自体は問題がないのだが、ちょっと
あせる。
 試し撮りを終えて、家に帰って再確認していてふと気が付いたのである。意味
不明のボタン・・・これは待機状態からの復帰ボタンでは? 確認すること5分、
表示オフの状態から例のボタンを押すと・・・やっぱりそうだったのね。これで
謎が解決。これで安心して寝られる。

 とにかく、オーソドックスな操作系と優れたファインダー情報によって、
SuperAのサブとして、いやこれだけでも十分私の場合メインとして使用で
きるカメラである。

※現在発売されている、AF一眼レフのSA−7やSA−9は、シグマオリジナ
ルマウントを採用しているためペンタックスレンズとの互換性は無い。

作例 博多リバレイン、ここはネコがたくさんいる。オブジェだけど(^_^)
道案内するネコ
55mm/F1.8 F2 Auto SUPERIA 100
ネコの集会
55mm/F1.8 F2 Auto SUPERIA 100