猫バカ物語
 

禁断の恋

                                '02.08.31

 近頃我が家にくる野良猫が一匹。オスで、名前をハナキン・ランドウォーカー
という。我が家へ訪れる理由は、我が家の箱入り娘ミヨダラ姫(メス猫)に会い
に来ているようだ。2匹は、時折窓の網戸越しに愛を語らっているようである。
 普段は、よその猫には関心が無いどころが、一緒に住んでいるジャージーにさ
え脅えるミヨが、ことハナキンに対しては興味津々なのである。

ハナキン「さあ!僕と一緒に外の世界に飛び出そうよ」

ミヨダラ「いけないわ、私とあなたとでは身分が違いすぎるもの」

 一方ハナキンは、野良にしては、人なつっこく誰彼かまわず愛嬌を振りまいて
いる。そのため近所でも良くかわいがられている。以前は、近所の新築アパート
の辺りを縄張りにしていて、家の方までは来なかったのに、かわいがっているう
ちに、家までついてきてしまいミヨダラ姫とご対面となったわけである。ジャー
ジー(お婆ちゃんだけど一応女の子)にはあまり関心を示さなかったところを見
ると、猫にも好みがあるらしい。

ドアを開けると平気で入ってきて

「こんにちは、ミヨちゃんいる?」

だって。

 体重は、計ってみたところ3.5kgと家の猫達と同じ。オスであることを考
えるとまだ若いらしい。指を出すと噛むというより吸おうとするところを見ると
まだ子供らしさが残っている。1〜2歳程度だろうか。しかもこの人なつっこさ
からして、飼い猫だったに違いはあるまい。つまり捨て猫である。
 我が家周辺の猫の世代交代も結構激しく、野良犬に襲われたり、車に轢かれた
りで前にいた猫が姿を見せなくなったかと思うと、ハナキンのような新参者が現
れるのである。
 ピグモンのように子猫で捨てられることもあるので、どうやら我が家の周辺は
公園があったり、河原が近かったりで、猫を遊ばせている振りをしてそのまま置
き去りにする、つまり捨てるには丁度良いのかもしれない。しかし、これはとっ
ても許せない行為である。  

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さようならピグモン

                                 '02.06.25
 幸いなことに、我がマンションの隣の方が、ピグモンをもらってくれるということで、
里親募集は終了いたしました。

 元々、お隣さんには、通称「タレ(片耳がたれているのでそう呼んでいた)」、と我
が家で呼ばれていたチンチラシルバーのオスがいたのだけれど、数ヶ月前にとうとう老
衰で、亡くなりになったばかりである。タレは、年寄りではあったが、近所をノシノシ
と歩く姿は、なかなか立派であった。うちのジャージーとは天敵らしく、タレが、縄張
りに入ってこないかいつもベランダで見張っていた。

  
 そういえばピグモンは、チンチラの血が入っている上、キジトラの模様もあるところ
からタレとジャージーの子供といってもいいくらい似ている。そういえば、ジャージー
は前によくベランダ(2階)から脱走して、1時間くらい放浪してから帰ってきていたっ
け。残念ながら、ジャージーは避妊手術をされているため、子供を作ることはできない
ので、二匹の子ということは、あり得ないのだが・・・

 元気になったピグモンは、本当にかわいくなった。家中走り回って、なんにでもじゃ
れつくところは、本当に子猫である。最初はおっかなびっくりだった我が家のお嬢様猫
のミヨも、あまりのいたずらに切れたのか、時折追っかけ回すほどになっていた。しか
し、追っかけるときのミヨの尻尾が3倍くらいにふくらんでいるのを私は発見してしまっ
た。ミヨは、追いかけ回しながらも、結構びくついているのである。しかし、追いかけ
られているのピグモンにとっては、ただの追い駆けっこくらいのつもりなのかもしれな
い。もしかしたら、この二匹は仲良くなれたかもしれないなあ。でも、それももう叶わ
ぬ夢となってしまった。

 私としては、最初は前にチョビ(旧八代通信14号「幼児虐待」に登場)をもらって
もらったように、ダイヤモンドシティの里親探しに出すつもりでいたけれど、あまりの
かわいさにちょっとためらいがないわけではなかった。しかし、3匹はちょっとね・・・
だからといって、ジャージーまたは、ミヨを捨てるというわけにもいかないし。

 隣にもらわれるということは、ある意味非常にラッキーである。タレの忘れ形見と言っ
てもいいくらい気に入ってくれているし、お隣なら、成長した姿を見ることもあるかも
しれないし。結果的に、一番いい結末になったのだ。

 それにしても、なんだかやっぱり寂しいなあ。
 
本当にこんなことがあった

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こまったもんだ

                             猫保護日 '02.06.15

 駐車場の方から猫の声がする。そう気が付いたのは、昨日の会社の帰りであった。我
が家の回りには、野良猫や野良犬(正確には野良ではなくて、ある家の放置犬なのだが)
が結構いるので、その時はあまり気にしてはいなかった。
 今朝早くから、再び猫の声がする。昨日と同じ鳴き声であるから、おそらく同じ猫で
あろう。
 昨日は、日本がW杯で予選リーグ突破を決めた日で、夜遅くまでニュースで、その余
韻に浸っていたため、早く起こされるのは、少々不満ではあるものの、好奇心には勝て
ずついつい2階のベランダから駐車場あたりを見回してみた。
 残念ながら、その時は、私の所から声の主を確かめることはできなかったのだが、隣
の部屋から先に起きていた妻が見ていたらしく、ごそごそと、玄関から出ていく気配が
あった。もう一度外を見ると、車の陰から小さな毛むくじゃらがヨタヨタと歩いている
のが見えた。そこへ、先ほど出ていった妻がかけよっていくではないか。
 そうして、とりあえずマンションの軒下に段ボールを置いてやり、仮保護された形と
なる。よく見ると、両目とも瞼は、目やにで貼りついているし、鼻水だらだらで、病気
のようである。 先に手を出した責任上妻が、朝一から動物病院に連れていくこととなっ
た。基本的に、私は、手を出すと責任が発生するため、よほどのことがない限り、野良
に関しては、手を出さない方針である。つまりずるい性格なのである。
 結局、その猫は、丸一日入院して面倒を見て貰うこととなる。幸い目は、目薬を差し
てひっぺがされた結果、大丈夫だということで、誰かに引き取ってもらえる確率は高く
なった。

とりあえず、目は開いたけど

きっちゃない猫!

  翌日の夕方、病院でシャンプーもされて戻ってきたので、晴れて我が家に入れること
となる。しかし、風邪が完全に治っているわけではないし、他にどんな病気があるか判
らないので、とりあえず、我が家の先住猫達とは隔離されることとなる。
 ポヨポヨした焦げ茶色の毛のせいで、後ろから見るとまるでピグモンの様である。こ
こで、ピグモンを知らない人のために説明しておくと、ウルトラマン(初代)に出てき
た、全身棘だらけの小さい(人間大)怪獣で、人間の味方である。
 体重は、660gで、病院の先生曰く、生後1ヶ月くらいとのこと。しばらくの間我
が家で暮らす為に段ボールハウスをセット。病院では、ろくに御飯も食べられなかった
そうだが、妻の努力の甲斐あって、離乳食あたりを食べられるようになった。
 初めは、御飯も食べられないので、長くはないかなあなんて思っていたのだが、なん
のなんの、段ボールハウスから飛び出せるくらい元気になってしまいおった。目もはっ
きりと見えるようになったのだろう。焦点が定まったような感じである。紐を追っかけ
てじゃれるようになった。
 目つきがしっかりすると、この子は結構かわいいことが分かる。チンチラの血が混じっ
ているらしく、顔の回りの毛も長い。将来美猫になるかも。
 鼻水も止まり、すっかり元気になったようで、とりあえずは良かった良かった。
 元気になると、次なる課題は、トイレである。おしっこは、段ボールに入れたティッ
シュの中でしてくれたのだけれど、うんちがまだ出ない。もうちょっと待って出ないよ
うならまた病院だな。しかし、病院に連れていくまでもなく、初うんちをしてくれまし
た。残念ながらトイレではなく、古新聞の束の上で・・・しかも、こういったときに限っ
て、拾い主の妻はいなくて私だけ。まあ、他の所でされなくて良かった。うんちを片付
け、ピグモン(すでに名前になっている)の汚れた手足とお尻をウエットティッシュで
拭いてやる。まあ、心配していたうんちも出たことで一件落着。後は、躾さえできれば、
りっぱに里親に出せるぞ。

 ということで、突然ですが、里親募集中! これからかわいい盛りの女の子で
す。生後、1ヶ月(6月中旬現在)くらいです。病気になったから捨てられたのではな
いかとお医者さんが言っていましたが、そうかもしれません。しかし、必死に生きよう
と泣き叫んでいました。おかげで元気になりました。かわいがってやってくれる方は
メール下さい。

 たった二日で
 こんなにかわいくなりました。

 トイレもきちんとできるように
 なりました。

時々先輩猫にちょっかいを出して叩かれている。

こんなにかわいくなるとは捨てた奴も思ってはいなかったろう。
この写真を見て悔しがっているかも。

でも、おまえには返してはやらん!

それにしてもこんなにかわいい子を捨てるとは、許せん!

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水島神社の猫たち (旧八代通信より再録)

                             猫遭遇日 '01.12.08

 球磨川の河口付近にある水島神社というのがある。陸から鳥居が繋がり、小島の横
にある水上神社である。水上と言っても宮島の厳島神社を思い浮かべてもらうと大変
恐縮してしまうほど、ちゃちな神社(こんな書き方をすると罰が当たりそうだけど、
本当に小さい)なので、特別観光地といった趣は少ない。でも、景色はなかなか良い。
特にこの小島まるで盆栽のように木がみっしり生えていてしかもそれが紅葉している
のがいい。
 堤防から橋を渡り、神社及び小島に行けるようになっている。土曜日の午後ともな
ると、近所の子供達の遊び場にもなるらしい。もっとも、近所と言ってもあまり民家
は無い。
 ここに、親子と思われる2匹の猫がいた。最初は、近づいても一定の距離を置き警
戒ていたのだけれど、しばらくそばにいて危害を加えないと判るとさわれるくらいに
なったことから、どうやら捨て猫のようである。
 生まれながらのノラだと決して人間に近づかない。初めての人が餌をあげても遠く
へ離れるまで、出てこないのが普通である。
 二匹とも決して大きくはなく、特に小さい方は、まだ半年くらいの大きさで、かわ
いい盛りだ。大きい方といっても我が家の近所のノラ達と比べると小柄なので、この
子もまだ若いのではないだろうか。もしかしてヤンママ?
 子猫が母猫に抱きつき顔をくしゃくしゃにしても、母猫は怒りもせず子猫をなめて
やっていたりする。また、子猫が妻にくっついて歩いていくと、後から母猫が心配そ
うに追いかけていくのである。
 この二匹が、じゃれ合ったりする様は、本当に絵になるのである。しかし、その猫
を写真に撮るためにはいつくばっている私は、なんて無様な格好に端から見えたこと
だろう。人がいなくてよかった。

  

 あまりにも可哀想なので、モデル代ということで、そこからちょっと離れたところ
にあるスーパーで、猫の餌を買ってくることにしました。戻ってきたときにはいない
かもしれないけれど、残ったらうちの子達にやればいいし。
 夕食の買い物もしたのでちょっと遅くなったけれど、戻るとやっぱりいました。ネ
コ缶一つを二匹でぺろりとたいらげ、ドライフードも必死で食べている。やっぱりお
腹が空いていたんだね。
 近所に餌をくれる人はいないのかい?と聞いても猫たちはただ必死に食べるだけ。
二匹で喧嘩しないところを見てもやはり親子だろうな。きっと、小さい子には、兄弟
がいたはずだけど、車に轢かれたか、海に落ちたか、トンビにさらわれたかしたのだ
ろう。
 お腹は減らしていたけれど、決してガリガリに痩せてはいなかったので、神社の掃
除に来る人がきっと餌を与えてくれているのではなかろうか。そう思い、その場を後
にした。
 帰り際に、別の黒猫(がっしりした大型のオス猫)がやってきた。子猫の父親かも
しれないけれど、子猫の模様からするとどうやら血縁は無さそうだ。
 二匹の餌を狙っているのか、それとも夕方に誰か餌をくれる人が来るのか、堤防の
階段に陣取ったまま動かない。我々が近づくと警戒して逃げるところから、彼は生粋
のノラらしい。 見ている限り、二匹にちょっかいを出す風もないので、猫達の勢力
図はすでにできあがっているようなので一安心。
 思えば、うちのミヨも親子で捨てられていたんだったよなあ。母親と兄弟は、多分
保健所に連れられていったはず。逃げてきたミヨだけが、縁あって我が家にもらわれ
てきたのだけれど、当の本人はその辺はとっくに忘れてホットカーペットの上でぬく
ぬく暮らしている。ありがたいと思っているだかどうだか・・・

 

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 水島神社の猫たち、その後

                             猫遭遇日 '02.06.02

 あれから、どのくらいの月日が流れたろう。今でもあの子達は無事に生きているだ
ろうか。そんな思いから、再び水島神社へと、車のハンドルを向けることとなった。
 前回来たのは、日付を確認すると、丁度半年前のようだ。はたして、あの子達はま
だいるだろうか?不安と期待を込めて、神社へと通じる堤防を乗り越えると・・・
 橋の上をスローモーションでこちらへと走ってくる二匹の猫が見えた。頭の中では、
ヴァン・ゲリスの音楽が鳴り響いている。その時私は思わず叫んでしまった。
「タロー!、ジロー!」・・・(^_^;)\(・_・) オイオイチガウデショ
 妄想モードはこちらにおいといて、本当に二匹が走ってきたのである。一匹は、間
違いなくあのときのチビミケである。しかし、もう一匹は、あのときの母猫ではない
ぞ。まだらグレーの猫で、チビミケと同じくらいの大きさだ。
 神社の方で、二匹を写真に撮っていると、見覚えのある猫が出てきた。そう、半年
前の母猫である。
 そうか、おまえも生きていたんだな。寒い冬を二匹+一匹は無事に越したようで、
安心したぞ。
 黒茶ブチの母猫は、相変わらず、子供達の見張りをしていて、以前よりちょっとしょ
ぼくれた感じがする。人間との距離を一定に保つことも、猫としてもプライドを捨て
たわけでは無さそうだ。
 チビミケもすっかり大きくなり母猫と同じくらいになっている。人なつっこさも人
一倍強く、好奇心も旺盛といった感じ。

 

 以前は見かけなかった、黒灰まだらの子は、ミケチビと同じくらい。まだらの感じ
からしてやっぱりシャムの血が混じっている感じだ。チビミケと仲が良くもしかする
と兄弟かもしれない。あのときはたまたま隠れていたのだろうか?
 そうこうしていると、堤防の方からお参りに来た人達がやってきた。すると、猫達
は、彼らの方の出迎えに出ていくのである。どうやら、この猫達は、やってくる人達
みんなに愛想良く振る舞っているようだ。たとえ何もくれなくても。
 しかも、この子達は、決して神社のある島から出ていかないのである。橋を渡って
堤防までは行くけれどそれから先には、行かないみたいである。まるで、神社の神の
使いのようだ。
 ここで、ひとつ疑問がわいたのは、どうやって一冬過ごしたのかである。体からし
て決して痩せているとは思えないので、なにか食べているのは間違いないだろう。誰
かが時折餌をくれることもあるだろうが、それだけでは生き延びられるとは思えない。
 しかし、その疑問に対する答えが、神社の床を見ると落ちていた。所々に鳥の羽の
固まりがあった。雀だ。野生の雀を時折捕まえて食べていたようである。他にも波打
ち際に上がる魚なんかも食べているんではなかろうか。かわいい顔とは裏腹に、猫達
は、猫なりに環境に順応し野生化しているようだ。それでも、人間に媚びることを忘
れていな所が、心にグッと来るものを感じる。
 幸い、この辺には猫に悪さをする人間もいないみたいだし、いざとなったら、島の
茂みの中に逃げ込めば誰も手出しはできないだろう。彼女らにとってはここは、格好
の住処なのだ。

  

 猫達のじゃれ合っている姿を見ているのは本当に飽きないくらいかわいいのだけど、
いつまでもそうしているわけには行かないので、名残惜しいが、帰ることにする。
 次は、いつ会えるか判らないが(実際には、近いのでいつでも来られるのだけど)
それまでがんばって生きていてくれよ。

 

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 ゆるせん!

                                '02.05.26

 宇土の海岸沿いに、住吉公園というのがあって、紫陽花で有名なところなのだが、
あいにく行った日は、まだ早かったらしく、二〜三分咲といった感じでがっかりだっ
たので、ベンチで休んでいたら野良猫が出てきた。
 せっかくだから、猫と紫陽花でも撮ろうと思いカメラを向けると、もう一匹出てき
た。どうやら彼らは、紫陽花目当ての花見客からお弁当の残りなどをもらっているら
しく、人を見ても怖がらない。残念ながらなにも持っていなかったのだけど、車にネ
コ缶があることを思い出し、被写体になってくれたお礼にとあげることにした。

    

 女房が、餌をとりに行っている間に、茂みからもう一匹出てきたのである。合計三
匹が、特に何かを私にねだる風もなく、猫特有の間合いを置いて、猫同志で、なめあっ
たり、している姿がなんともかわいいではないか。
 しかし、最後に出てきた猫の様子がどうも変だ。耳が両方とも無いのだ。最初は、
スコティッシュフォールドの様に、耳がつぶれているのかと思ったが、そうでは無い
ようだ。だいたい、どう見ても日本猫の模様と体つきだ。顔だって日本猫の顔立ちだ
よなあ、とよく見ると、鼻も変だぞ。鼻の先端がそぎ落とされたように無いのである。
鼻孔の奥に白い骨が見えている。

 

 もしや、これは、最近流行の猫虐待か。特に血が出ていたりかさぶたになっていた
りしていないところを見ると、どうやらだいぶ前にやられたらしい。体の大きさから
すると一歳くらいだろうか?決して大きくはないので、小さいときにやられたかもし
れない。
 ミケがこんな容姿になるためには、人間以外の可能性を考えてみたものの、切りそ
ろえたように左右揃った耳の形や、鼻先の切られ方は、猫同志や、他の動物にやられ
たものではとても無い。そうなると、やっぱり人間か・・・
 人間とすると、いくらおとなしい猫でもこれほどのことをされて、おとなしくして
いるはずはない。押さえている人間の手足を思いっきり引っ掻いてでも暴れたはずで
ある。
 普通の人間なら、それほど暴れる猫を取り押さえて切り取れるとは思えないので、
まだ、本当に力の弱い子猫の時にやられたのではないかと想像される。なんともむご
たらしい話である。
 とりあえず、ネコ缶2缶を3匹に与え、猫達をしばらく観察する。初めに出てきた
のが茶トラのオスで、やはり、1歳くらいの若猫である。二番目に出てきたのはやや
大きい白に黒のブチ模様。風格からして、3匹のボスのよう。最後が、先ほどの虐待
児童じゃない虐待猫で、三毛模様のメスである。耳・鼻が無いけどかなりのかわいい
容姿である。

 食後、ボスが、三毛の体を一生懸命なめてやっている姿を見ると、こんなにひどい
目にあった子を、大事にしていて、さすがはボス、かっこいいぞと声を掛けてやりた
くなった。でも、なんだか変だぞ・・・
 だんだん、ボスがミケの背中に回り首根っこを噛むような仕草に変わってきた。
 おいおい、我々の見てる前でなんと大胆不敵な奴。どうやらあの毛繕いは、このた
めだったようだ。何が起こったのか、これ以上は書けませんのでご想像にお任せいた
します。

  これ以上はお見せできません

 こんな姿のミケでも、このボスはちゃんと嫁さんにし、子孫を残そうとしている彼
らを見ると、なんだか人間達の方が愚かな生き物のように感じるのであった。

 それにしても、ミケをこんな姿にした奴は、地獄に堕ちるがいい!

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