山田風太郎『叛旗兵』(廣済堂文庫)
◇あらすじ◇

 直江山城守兼続の養女伽羅に本多佐渡守正信の次男正重との縁談が持ち込まれた。これを嫌った兼続は、大谷刑部の忘れ形見左兵衛を婿として迎えた。
 が、腑抜けで覇気のない左兵衛に怒った伽羅は、直江四天王に彼を鍛えよと命ずる。

 ユニークな個性の持ち主で一筋縄ではいかない強者4人、伽羅の婿になりそこねた正重、その左右を守る宮本武蔵、佐々木小次郎までもが加わり、奇想天外な騒動が繰り広げられる。

(文庫カバーより引用)


◇感想◇

 いやー、面白かった。読まずば死ねって。

 四天王(そのうちの一人は前田慶次郎!)があれやこれやと、婿を鍛えるという名目で徳川方の大名に一泡吹かせていくんですが、そこに武蔵や小次郎、阿国、怪しさ大爆発の正重などがからみ、めちゃおもろい。
 これぞエンタテイメントぞな。

 とくに、主水と小次郎の決闘、加藤清正のエピソードが印象に残ってますね。

 そして、ラスト。涙せずにはおれません。あらすじを読めば想像がつくように、それまでどちらかというとコミカルなタッチで話が進んできてたんだけど、それだからこそ余計に、この結末は胸を打ちます。

 笑いあり涙あり。言葉にすると陳腐ですが、さすが山田風太郎という思いを新たにした作品でした。

(1996/12/20)

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