子供をインターネットから守る?

NEWS.COMに、インターネットを利用している子供を持つ親の半数以上が、インターネットのコンテンツやチャットの内容をチェックするサービスにお金を払っても良い[news.com]と言っているという記事が出ていました(1998年6月)。この記事によると、68%の親は、自分の子供がインターネットから悪い影響を受けるのを恐れていて、実際に、66%の親は子供が個人情報を出すことを禁止し、62%の親はオンラインショッピングを、54%の親はアダルトサイトを見ることを禁止しているのだそうです。また、そういう親の心配に目をつけて、子供がインターネットのどこを見ているかを、こっそり記録するソフト[hotwired]まで出ているようです。Wired Newsのこの記事を書いた記者は、こうしたソフトは子供のプライバシーを損なうだけで、正しい解ではないとコメントしていますが。

子供に悪影響が出る情報というと、すぐにエッチな絵がたくさん載ったアダルトサイトが思い浮かびますが、アメリカで親が問題としているのは、そうしたポルノ的な情報ばかりでなく、チャットをうろつく危ない人たちとか、子供に粗悪品を売りつけようとするショッピングサイトも問題になります。また、子供が、自分の情報をインターネットに流すことによってトラブルに巻き込まれる可能性もあります。それは、確かに言えています。大人だって、インターネットでトラブルに巻き込まれる時代ですから。例えばクレジットカードの番号をインターネットに漏らすだけで、来月の請求書には利用限度額が請求されているかも知れませんし、いつのまにか金融業者から借金していることになっているかも知れません。もちろん、これは極端なストーリーですが、小学生にそこまで理解してインターネットを楽しめといっても、彼らは理解できるだろうか。

その一方で、文部省と郵政省は、どんどん子供にインターネットを経験させようという懇談会を開いています[mpt.go]。出席者にマイクロソフトの代表取締役とか出ているところを見ても、否定的な結論には至らないとは思いますが、ここでも、いかにインターネットにある有害な情報から子を守るかと言う点が議論になっています。この第4回の「議事の内容」を見ても、何をもって、その情報が子供に有害であると判断するのかとか、判断したとしても、それを排除することは難しいとか、そうした危ない情報を見る目を養うことが必要だとか意見が並んでいます。でも、結局、現場の学校の先生としては、教室のパソコンに金髪美人のヌードが表示されるのは困るわけで、情報のフイルタリングは避けられないということになる。そうすると、目を養わせるのは学校ではなくて、家庭であるって言うことなんでしょうか。お父さんの、ブックマークが教材かな(苦笑)。

例えば、家庭のパソコンから子供がインターネット・サーフィンするとして、一番有害となりうるホームページはどこかといえば、これは、検索サーバーでしょうね。あそこで、「アダルト」というキーワードを入れてボタンを押せば、裏ビデオ情報からギャンブル情報に至る多種多様な「有害サイト」が表示できます。そんなわけで、子供向けの検索サーバーなんていうのもできています。例えば、子供向けyahoo[yahoo]とか、ひらけ・ゴマ[krp]とか、こどものなび[wave]とか、いろいろあります。ふむ、多分、子供のパソコンのブラウザを起動すると、これが表示されるようにしておけば、いきなり変なところには行かないでしょうねぇ。でも、成長するに従って耳年増になるのは目に見えているわけで、自分が子供の頃に、仲間内でエッチ本を回し読みした経験のあるおとうさんなら、当然、中学生くらいになると、あぶないURL情報を回すであろうことは想像できますね。

それでは、学校のインターネット教育の方はどうでしょうか。こっちの方は、自分の学校のホームページを作ったり、海外の学校と交流したりする積極的な自治体と、条例でそれもできない所とばらばらのようですね。それに、ホームページを出している所でも、自治体がガイドラインを作って規制しているようです。例えば、私が見かけたのでは江東区のガイドライン[koto.ed]というのがあります。これを読むと、子供の個人情報の流出に神経質になっていることがわかります。ホームページには、子供の名前はもとよりアップの写真すら載せることができません。参考までに、江東区教育ネットワーク[koto.ed]のページには区内の小学校のホームページがリンクされています。他の例では、清水市[shimizu]のガイドラインというのも見かけましたが、内容は似ています。こっちのページでは、「インターネットへの誤解」という項目で、インターネットからの情報は有用とは限らないので、判断力の未熟な子供にそのまま見せるのは問題だと書いています。まぁ、ここまで言い切ってしまえば、それまでですが。そうか、私のホームページの情報もいい加減と言われりゃ、否定はできないな。(2000年10月現在、清水市のガイドラインが書かれていたURLは無くなっています。)

結局そんなわけで、子供にインターネット・サーフィンをさせようとすると、いろいろな問題点を考えないといけません。まず、プライバシーの流出。インターネットには、子供の情報を集めるのが趣味のおじさんもいますから。彼らは、小学生の作ったホームページなどをまめにチェックしています。電子メールアドレスを公開したら、そういうおっさんからラブラブなメールがくるかもしれない。それと、へんな物を衝動買いされるのも困る。お父さんのパソコンにインストールした電子マネーを使えば、子供だって買い物ができます。相手も、子供が買っているのか、大人が買っているのか判断できません。あと問題なのが、インターネットからの「親が見せたくない」情報。こっちは、意見が分かれるでしょうね。特に、インターネットの先住民族は、規制を嫌います。それに、なにが危ないのかというガイドラインは、まず決まらないでしょうし、それを決めて規制したところで、それに引っ掛かるようなサイトはアンダーグランドに潜るだけです。個人的には、どこかの機関が規制したり、フィルターしたりするのに任せるよりも、そうした機関が、どこに問題となりうるWebサイトなりメールリストなり、ニューズグループがあるかという情報を流し。それを、フィルタリングソフトに入力するのは、親が判断するというのがよいのではないかと思います。でも、やっぱ、中学生くらいになると、親の心配をよそに勝手にやってくれそうですけどね(^_^;。

1998.06.26
このページにリンクの依頼が来ましたので、ページ内のリンクを更新するとともに、文章も手直ししました。以前、文中でリンクしていた南砂東小学校は、2年の間に他の小学校と統合されて南砂小学校[minamisuna-sho]に名前もURLも変わりましたね。江東区のガイドラインページも読みやすくなりました。一方、三保第二小学校[mihonisho-p]のホームページにあった清水市のガイドラインのリンクはなくなっていました。清水市のホームページでも見つからないので、今も同じ内容のガイドラインを使っているのか確認できません。そんなわけで、上の記述は1998年6月の状況であるということで御了承ねがいます。(^_^;
2000.10.16
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